第10話「秘密のまま、そしてこれから」
誰にも言えない恋だった。
でも――誰にも壊せない愛でもあった。
舞台の上では言えない。でも、心の中ではいつだって叫んでる。
「あなたと生きていきたい」と。
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■Scene 1:沙彩の“秘密の人”
映画の最終試写が終わり、スタッフ控室で歓談が行われていた。
玲奈と悠人が休憩スペースに並んで座っていると、
共演者の三宅沙彩が、ふたりのもとにそっとやってきた。
「ねえ、言ってもいい? “私の好きな人”の話」
玲奈が少し緊張した面持ちで頷くと、沙彩は小さく笑って打ち明けた。
「……“その人”、女なんだ」
「――えっ?」
思わず声をあげたのは悠人だった。玲奈も少しだけ目を見開く。
「昔、舞台で一緒だった女優さんで……もう、連絡も取ってないけど。
彼女が舞台袖でひとり泣いてたとき、私がタオル差し出したらね、
“ありがとう、あなたの声が好き”って言ってくれたの。
それからずっと……忘れられないんだ」
玲奈はそっと沙彩の手に自分の手を添えた。
「……その気持ち、大切にしてね。きっと届くよ、いつか」
沙彩はふっと息をついて、少し照れくさそうに笑った。
「だから……玲奈さんたちの秘密、私は絶対に守る。
だって、“好き”って気持ちを抱えてる人間にしか、守れない秘密ってあるもんね」
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■Scene 2:映画大ヒット、舞台挨拶
映画は予想を超える大ヒット。
週末の動員ランキングで1位を記録し、主演の玲奈にも多くの称賛が寄せられた。
そして迎えた、映画公開初日の舞台挨拶。
ステージには悠人監督、主演の玲奈、そして主要キャストたちが並ぶ。
悠人が紹介され、拍手の中で登壇。
続いて玲奈が呼ばれ、柔らかな笑みで客席を見渡した。
会場は満席。フラッシュと視線が、彼女の一挙手一投足を追っている。
マイクを持った玲奈が、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「この作品は、私にとって――
“いちばん素直になれた時間”でした。
自分が女優である前に、“ひとりの人間”なんだと。
そう、思わせてくれた時間でした」
悠人はステージ端から、玲奈を見つめていた。
その言葉が、自分だけに向けられていると――ちゃんと、分かっていた。
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■Scene 3:秘密のキス、そして永遠に
舞台挨拶のあと、関係者控室。
玲奈が控え室に戻ると、悠人が静かに立っていた。
ふたりきりになった瞬間、玲奈は言葉もなくそっと近づき、
肩を抱き、頬に唇を寄せる。
「んっ……悠人、お疲れさま。……すごく、すごく良かったよ」
悠人は玲奈の髪に顔をうずめながら呟く。
「俺こそ……ありがとう、玲奈さん。
この映画の主演があなたじゃなかったら、きっと完成しなかった」
ふたりは抱き合ったまま、言葉を交わす。
「このまま、秘密のままでもいい。
公にされなくても――
あなたが“あなた”でいてくれる限り、俺はずっと好きだよ」
玲奈はそっと、微笑みを浮かべて。
「誰か、じゃなくて。
“あなただから”結婚したの。
これからも――それだけは変わらないから」
そしてふたりは、静かに唇を重ねた。
小さなキス。だけど、永遠のキス。
誰にも見せられない――
だけど、世界で一番確かな愛のかたち。
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