第9話「撮影最終日、バレそうなキス」
記者の目、スタッフの目、共演者の目。
隠し続けてきた関係が、ふとした瞬間に――手からこぼれ落ちる。
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■Scene 1:記者会見のリハーサル
映画のクランクアップと同時に行われる制作発表会。
会場のスクリーン裏で、悠人と玲奈はリハーサルの最中だった。
「このあと僕が登壇して、続いて玲奈さんが紹介される。
それで最後に共演者全員で手を振って退場……」
「分かってる。でも――これ、無意識に手をつなぎそうになるね」
ふたりは小声で確認し合いながら、
会場内のあちこちからスタッフやカメラマンの視線を感じていた。
(ああ……この緊張感、懐かしい。
けど、もう“ファンと女優”じゃないんだよな)
悠人がそんなことを思った矢先、玲奈が袖で手を差し出してきた。
だが、握る寸前に――
「手、つなぎかけてるよ」
背後から声がした。
振り返ると、共演者の女子俳優・三宅沙彩が立っていた。
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■Scene 2:気づかれてしまった“秘密”
沙彩は二人をじっと見つめた。
「ねえ、あなたたち――付き合ってる?」
沈黙。
悠人も玲奈も一瞬だけ言葉を失ったが、玲奈が先に口を開いた。
「……お願い。これ、まだ“秘密”なの。
誰にも言ってないの」
沙彩は腕を組み、しばらく黙ってから笑った。
「ふーん。まぁ、何となくそんな気はしてたけどね。
でも、秘密ならちゃんと守るよ。こっちにも人に言えない“好きな人”いるし」
玲奈が驚いたように尋ねた。
「誰……?」
沙彩は、ふふっと笑って一言だけ呟いた。
「玲奈さんも知ってる“あの人”。だから――
お互い、内緒ね」
その意味深な言葉に玲奈と悠人は思わず顔を見合わせた。
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■Scene 3:エレベーターの中で
会見が終わった直後。
人混みを避けて、玲奈と悠人はスタッフ用のエレベーターへと逃げ込んだ。
監視カメラがあると分かっていても、
狭い空間でふたりきりになると、抑えきれない気持ちが募る。
玲奈がそっとつぶやく。
「さっき、手をつなぎたくて仕方なかった」
悠人は玲奈の手を取らず、
そのかわり――視線で合図を送った。
そして、口元だけを近づけ、
唇が触れるか触れないかの距離で、バレないように“形だけ”のキスをした。
「ん……んっ……悠人、ダメだって……」
そう言いつつも、玲奈の目は微笑んでいた。
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