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第8話「映画館の約束、心音とふたり」



「玲奈さんみたいな人と、家族になれたらいいのに」

無邪気なその一言が、胸に刺さる。

まだ“秘密”であることが、こんなにも苦しいなんて。



■Scene 1:三人で映画館へ


週末の昼、悠人・玲奈・心音は、再び都内の映画館を訪れた。


今回は心音が出演するCMの監督が手がけた青春映画。

舞台は同世代の高校生たちの恋と夢――

そしてエンドロールには、しっかりと心音の名前が“特別協力”として記されていた。


映画が終わった直後、

客席の灯りが点き、三人はその余韻に浸っていた。


「ねぇ……玲奈さん、どうだった?」

心音が小声で尋ねると、玲奈はふわりと微笑んで答える。


「うん、すごく瑞々しかった。心音ちゃんのナレーション、よかったよ」

「ほんと? よかったぁ……!」と心音は嬉しそうに頬を染めた。


悠人もまた、そんなふたりのやりとりを優しく見守っていた――

“まるで、家族のように”。



■Scene 2:無邪気な一言と、動揺


帰り道、カフェに立ち寄ると、心音がぽつりと口にした。


「ねぇ、悠人兄……玲奈さんみたいな人と、

いつか“家族”になれたらいいなって、ほんとに思ってるんだ」


その瞬間、悠人は一瞬言葉を失った。


玲奈は静かにコーヒーを飲みながら、微笑みだけを残す。


「うん……心音ちゃんなら、きっと素敵な誰かと出会えるよ」


「えー……やっぱり私、女優は向いてないかなあ」

「そんなことないよ」

玲奈は即座に返す。


「女優に必要なのは、自信じゃなくて“覚悟”。

心音ちゃんには、その片鱗が見えてると思う」


その言葉に、心音は少しだけ泣きそうな笑顔になった。


「玲奈さんみたいに、誰かをまっすぐ好きになれる人間に、なりたいな……」


その想いが、どこまで真実に近いのかは分からない。


けれどその“まっすぐさ”が、いちばん強い。



■Scene 3:夜の帰宅、玲奈のキス


自宅に戻り、心音は早めに就寝。

寝室で静かに並んだふたりは、映画と心音の言葉を思い返していた。


「玲奈さん……心音、いつか全部気づくよね」

悠人がぽつりと呟く。


「そうね。でも――そのときまで、守ろう」


玲奈はそう言って、ゆっくりと悠人の頬にキスを落とす。


「あなたが、あなたらしく歩いてくれたら、

それが一番、誇らしいの。私にとっては」


そして――今夜も、そっと唇を重ねる。


「ん……悠人……好きよ」


その甘くて静かなキスが、ふたりの“秘密”をまた少しだけ、温めた。



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