第5話「ひとときの“家族”、そして未来へ」
一緒に笑って、写真を撮って。
他人のふりをしていたはずなのに――
それは、間違いなく“家族”だった。
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■Scene 1:三人だけの休日ドライブ
天気は快晴。
悠人の運転で、玲奈と心音は後部座席に並んでいた。
行き先は、都内から少し離れた郊外の花畑とカフェ。
撮影も仕事もない、ほんの一日だけの“逃避行”。
「ドライブなんて久しぶり!」と心音ははしゃぎ、
玲奈も笑顔で「助手席、譲ってごめんね」と言っていた。
「いや、いいの。玲奈さんと後ろで女子トークするの、憧れだったし」
バックミラー越しに視線が合うと、玲奈は悠人に小さく微笑んだ。
(ほんとは“妻”なのに、“友達のお姉さん”みたいに振る舞ってくれて、ありがとう)
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■Scene 2:菜の花畑でのスナップショット
菜の花が一面に広がる小さな丘。
心音がスマホを構え、「玲奈さん、ポーズして!」
玲奈は少し照れながら、ふわっと笑って花の中へ。
悠人がそれを撮影する構図になり、
何気なく何枚かのショットを押さえる。
「はい、じゃあ次は三人で!」
心音がセルフタイマーを使って、三人が肩を寄せ合って並ぶ。
シャッターのカウントが始まる。
「いくよ、3、2、1――」
パシャッ。
その瞬間、玲奈が心音の肩を抱き、悠人に手を伸ばして。
まるで本物の“家族写真”のようだった。
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■Scene 3:カフェにて、心音のつぶやき
そのあと立ち寄った木造カフェ。
テラス席でホットサンドを頬張りながら、心音がぽつりとつぶやいた。
「将来さ……結婚って、どんな感じなんだろうね」
玲奈がスプーンを置き、心音を見つめた。
「うーん……意外と、“ふつう”だよ。
朝起きて、“おはよう”って言って、
疲れて帰ってきたら“おかえり”って言ってくれて。
手を繋いで、一緒に笑える時間があるって……
それだけで、十分に幸せ」
心音は「ふーん」と笑いながら、
「玲奈さんが言うと、ちょっとリアルに感じる」と呟いた。
悠人はその会話を聞きながら、胸がじんわりと熱くなるのを感じていた。
“秘密の夫婦”は今日だけ、“家族ごっこ”をやっていた。
けれど――
(俺は、こんな日がずっと続けばいいって、本気で思ってる)
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■Scene 4:夜の帰り道、“未来”への沈黙
帰りの車内、心音は後部座席で静かに寝息を立てていた。
玲奈が助手席で、そっと声を落とす。
「ねぇ、悠人。……子どもって、可愛いね」
「うん」
「……でも、まだ先でいいよ。
あなたが、“一人前の男になったら”って思ってるから。
あたしも、ちゃんと待つから」
「ありがとう、玲奈さん」
その言葉だけで、すべてが伝わる。
車の中、握り合った手はただ――温かかった。
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