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第2話「現場で交わす、目に見えない愛」



声には出せない、触れられない。

けれど、“愛してる”は、きっと目に見える。



■Scene 1:撮影初日、冷静な監督とプロの女優


朝、都内ロケスタジオ。

クランクイン初日の現場は緊張感に包まれていた。


主演女優・綾川玲奈が現場入りすると、スタッフたちは一様に背筋を正した。

だが玲奈は微笑みながら軽く会釈し、空気を和ませる。


一方、監督席には真っ直ぐな眼差しの悠人。

玲奈に視線を向けることなく、

「よし、セッティングOK。リハーサル入りましょう」と淡々と声を出す。


玲奈もまた、プロとして表情ひとつ変えずに応じた。


だが、カットがかかった直後――


玲奈は小さく、

(うまく撮れた?)

という口の動きで悠人を見つめた。


悠人はうなずき、手元の台本に◎をつける。


――言葉にしなくても、伝わっている。



■Scene 2:昼休憩、離れているふたり


食堂。

玲奈は主演席ではなく、他のキャストと一緒に食事をしていた。

スタッフも皆、好感を抱いている様子。


遠く離れた角のテーブルで、悠人は別の助監督たちと昼食を取りながらも、

ときおり玲奈の方に視線を送る。


玲奈もまた、カップの縁から視線だけで彼を追う。


助監督がこそっと囁く。


「監督、綾川さんと前から知り合いだったんですか?

なんか……ちょっと空気が柔らかいっていうか……」


悠人は静かにスプーンを置き、さらりと答える。


「信頼できる女優さんです。それだけです」


(――夫婦、ですけどね)



■Scene 3:深夜のLINEと、愛の返信


その夜、帰宅。


玲奈はソファに倒れ込み、クッションを抱きしめた。


するとスマホに一通のメッセージ。


【悠人】

今日もありがとう。現場では言えないけど――

やっぱり玲奈さんの芝居が、世界で一番好きです。


玲奈は思わず、唇を押さえて笑う。


【玲奈】

明日も“監督さん”に惚れ直す日になりますように。

ねぇ、寝る前にひとことだけいい?


“おやすみ、旦那さん。”


数秒後、既読がつき、スタンプで返された。


【悠人】(ぎゅー)


玲奈は画面を見つめたまま、小さく呟く。


「ほんとに……愛してるよ、悠人」



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