特別編『手紙の続きを、今、スクリーンで』
――あの日のファンレター。今度は、“映画の台本”として贈られる。
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■Scene 1:手紙、ふたたび
春のある日。
玲奈の事務所に届いた一通の封筒。手書きの宛名、丁寧な文体。
開封した千田マネージャーが眉を上げる。
「……これはまた、誠実な手紙ね」
便箋には、こう綴られていた。
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拝啓 綾川玲奈様
初めてお手紙を差し上げたのは、まだ高校生の頃でした。
あの時と変わらぬ敬意と感謝を込めて、再び筆を取ります。
現在、私は映画専門学校で監督を目指し、短編制作に取り組んでいます。
このたび、どうしても綾川さんに主演をお願いしたい脚本が完成しました。
内容は、“言葉にならなかった想い”を追いかける物語です。
お忙しい中大変恐縮ではございますが、もし少しでも興味を持っていただけたら、
一度ご一読いただけますと幸いです。
―― 神谷悠人 拝
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千田はその名前に、口元をゆるめてつぶやく。
「……ほんとに、真面目なんだから。玲奈さん、また泣いちゃうかもね」
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■Scene 2:ふたたび、サプライズ訪問
数日後、都内・映画専門学校。
悠人たちの短編映画『朝が咲くころ』は、追加シーンの再撮影に入っていた。
スタッフたちが準備を進める中、教室のドアがノックされる。
「失礼します。見学ということでお時間いただけますか?」
教室内がどよめく。
「えっ?」「また!?」「え、また綾川玲奈!?」「まさか……マジで……!」
悠人はポカンと立ち尽くす。
玲奈は笑顔を浮かべながら悠人を見つめ――口パクでこう言う。
(来ちゃった。手紙、届いたよ)
悠人も驚いたまま、口パクで返す。
(なんで本当に来るの!?)
玲奈は教室中央に進み出て、講師に一礼。
「本日は、神谷くんからの依頼で、正式にオーディション参加の意思表示を持って来させていただきました。
もし演じさせていただけるなら、光栄です」
教室全体が拍手に包まれる。
講師も苦笑いしながら、「神谷……あんたすごいな」とつぶやく。
誰も、彼女が“監督の妻”だとは気づいていない。
でも、演出席にいる悠人だけが、玲奈のすべての表情を読み取っていた。
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■Scene 3:自宅にて、“お疲れさま”のご褒美
その夜。
別荘に帰宅した悠人は、緊張と感動の入り混じった1日を振り返っていた。
玲奈はキッチンで紅茶を入れて、リビングに戻ってくる。
「今日は、お疲れ様。よく頑張ったね、監督さん」
「……玲奈さんこそ、突然でびっくりしたよ。
ていうか、あのオーディションって……本気でやる気だった?」
「うん。本気だったよ」
玲奈はカップをテーブルに置き、そっと悠人の膝に座る。
「私ね、現場であんたを見てて、
“この人の作品に出たい”って、心から思ったの。
女優としても、ひとりの女としても」
悠人がその言葉に目を見開いた瞬間――
玲奈が優しく、でも深く唇を重ねた。
ソファの上で、ふたりは抱き合うようにして、
長く、濃密なキスを交わした。
唇を離した玲奈が囁く。
「……これ、“お疲れさま”のキスね。まだご褒美の本番じゃない」
悠人の耳まで赤く染まる。
「じゃあ……ご褒美の本番は?」
玲奈はそっと笑って、彼の耳元に囁いた。
「……クランクアップしたら、撮影打ち上げ。
あんたと、二人きりでね」
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