第4話「小さな背中と、大きな夢」
――夢は、隣にいる誰かの影で揺れる。
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■Scene 1:短編制作始動
映画学校の授業も中盤に差し掛かり、クラスでは短編映画制作のグループ課題が始まっていた。
悠人の班は、アオイ(脚本)、ひかり(主演志望)、レン(撮影・照明)、そして悠人(演出・監督)という構成。
ホワイトボードに「テーマ:目に見えないもの」と書かれた瞬間、アオイが呟く。
「……“秘密の夫婦”とか面白そうだけど、やりすぎか」
悠人が一瞬手を止める。
(あまりにも、現実すぎる……)
ひかりが元気に提案する。
「じゃあ、ちょっと不思議な話にしない? 同居してる男女の部屋に、“毎晩誰かが花を届けにくる”とか!」
「いいね、それ。カメラは定点、光は朝焼けだけで」
レンが珍しく乗ってきた。
「脚本は任せて」とアオイが言い、悠人は指示出しの表を作り始めた。
だがその手は、どこか迷っていた。
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■Scene 2:“彼女”を出せない現実
その日の帰り道。
悠人は1人、電車の中でiPadに絵コンテを描いていた。
(主演、どうしよう……)
ふと、頭に浮かんだのは玲奈の顔だった。
(玲奈さんが主演だったら、どんな演技をしてくれるんだろう)
だが、すぐに思い直す。
(……ダメだ。俺たちは、秘密の夫婦。学校に呼ぶなんて)
そう自分に言い聞かせるが、心にはモヤモヤが残ったままだった。
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■Scene 3:玲奈、“浮気疑惑”で記事に?
その夜、玲奈が帰宅すると、彼女の手にはある週刊誌が握られていた。
「……これ、見た?」
「え?」
差し出された雑誌には――
《綾川玲奈、共演俳優との“深夜の距離感”に現場騒然?》
写真:肩に手を置かれて笑う玲奈の姿。
悠人は驚きながらも、冷静に言った。
「でも、これ……仕事中の写真だよね? 表情も作ってるし」
玲奈は笑って言う。
「わかってる。でもね……たまに思うの。“結婚してます”って言えたら、余計なこと言われないのにって」
悠人は玲奈の手を取り、真剣な目で見つめた。
「……僕が、早く名前を出せるくらい立派になればいいんだよね」
玲奈の目が揺れる。
「悠人……」
「あと何年かかっても、玲奈さんを“公に守れる存在”になる。だから、信じて待ってて」
玲奈は静かに頷き、微笑んだ。
「……じゃあ今夜は、ちょっとだけご褒美あげようかな」
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■Scene 4:ふたりの“夢”の話
寝室のベッド。
肩を並べて横になるふたり。
「悠人くんの映画、いつか観客として観たいな。私じゃなくて、ひとりの客として」
「じゃあ……玲奈さんの映画、僕が撮るよ。
スクリーンの中の玲奈さんじゃなくて、ちゃんと“本当の玲奈さん”を映す」
「……それ、口説いてる?」
「うん。もう何度でも」
玲奈はふふっと笑い、顔を近づけ――
そっとキスを落とす。
「そういう監督には、いい演技、してあげたくなるのよ」
ベッドの上の静けさの中で、ふたりの唇がもう一度重なった。
夢の話をしながら、現実の温もりを確かめるように。
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