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第2話「クラスメイトと、夢の話」



――夢は語れる。でも、“妻”のことは語れない。



■Scene 1:演出基礎の授業


都内の映画専門学校、午前9時。


「はい、今日から演出基礎に入ります。まずは“人物配置”と“感情導線”について考えてもらう」


講師が黒板に映したのは、4人が囲むダイニングテーブルのセット写真。

「誰が主導権を握ってるか、どこに緊張があるか――それをカメラでどう表現するか、考えてみて」


悠人は思わず手を挙げた。


「カメラ位置は俯瞰気味だし、手元に視線が集まるように光も抑えられてるので、“秘密がそこにある”って示唆だと思います」


「いい読みだね、神谷」


他の生徒たちが一斉に振り向く。


「おー、神谷また当てた〜。マジで撮影監督の卵じゃん」

「てか、俳優より向いてる説あるよね?」

「でも、脚本も書けるとか最強じゃね?」


にぎやかな中で、悠人は照れながら苦笑する。


「いや、まだまだ……」



■Scene 2:仲間と交わす“夢の会話”


放課後。

校内のカフェラウンジで、アオイ・ひかり・レンとともにグループワークの話し合い。


「てかさ、将来どうなりたい?みんな」


ひかりが聞くと、アオイは即答した。


「舞台脚本。絶対やる。小劇場で役者泣かせの台詞書きたい」


「私は……女優、ってよりコメディエンヌ? 笑われるの、大好きだし」

ひかりは屈託なく笑いながら、ストローをくるくる回す。


レンはポツリと「機材屋さん、かも。照明って、神なんだよ」と呟く。


そして、皆の視線が悠人に向いた。


「神谷は? ガチの映画監督? それとも脚本家?」


悠人は答えた。


「……映画監督になりたい。

“誰かの人生を変えるような作品”を、いつか撮りたいんだ」


皆がしばし静かになり、そして拍手が起こる。


「いいね、熱いじゃん!」

「泣ける系? ラブストーリー?」

「タイトル“光と影”とかつけがちだな、神谷〜」


みんなの声に、悠人は笑った。でも、内心ではこう思っていた。


(本当は、“すでに人生を変えてくれた女優”が、そばにいる)



■Scene 3:玲奈、“女優”として試される


その頃、玲奈は都内某局のバラエティ番組に出演中。

番宣を兼ねた出演で、隣には若手の俳優、軽妙なトークと笑い声が飛び交う。


だが、司会の芸人が不意に切り込んできた。


「ところで玲奈さん、最近なんか恋してます? オーラ出てません?」


会場にどよめき。

玲奈は一瞬だけ固まったが、すぐに微笑を作った。


「うーん……あったかもしれないけど、忘れちゃいました」


「出た! 大人のかわし方〜!」


拍手と笑いの中、玲奈は心の中で呟く。


(“夫がいます”って、言えたらどれだけ楽なんだろう)


控室に戻ると、千田マネージャーが苦笑して言った。


「よく乗り切ったね。でも……ああいうの、増えるよ。ヒットしちゃうと」


玲奈は静かに答えた。


「いいの。今は、嘘つくことも“守る手段”だから」



■Scene 4:夜、交差するふたりの本音


夜、ふたりの部屋。


悠人は台本を書きながら、玲奈は台所で洗い物をしていた。


「今日、TV出てたよね。……録画、観たよ」

「……そっか。観られてたのね」

玲奈は照れくさそうに笑った。


「“忘れちゃいました”って言ったとこ……ちょっと寂しかったな」


「仕方ないじゃない。……“夫が高校出たばっかの映画オタク”って言える?」


悠人は笑いながら近づき、そっと彼女の後ろから手を添える。


「言わなくていい。でも、忘れられたら……僕が泣くから」


玲奈はふっと笑いながら振り返る。


「忘れるわけ、ないでしょ。だって私は、あなたに人生変えられたんだから」


二人の影が、キッチンの白い壁に重なっていた。



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