第1話「二人の春、新しい扉」
Second season始まります
――もう一度、恋をする準備ができた春。
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■Scene 1:それぞれの“はじまりの日”
四月。
東京の桜はほとんど散りかけていたが、どこか新生活の香りをまだ残していた。
カメラを担いだ若者たちが続々と集まるのは、都内の映画専門学校。
悠人はリュックに脚本ノートとノートパソコンを詰め、緊張と期待を胸に校門をくぐった。
「……よし、やるしかない」
一方、玲奈は朝6時からの撮影準備で、都内のスタジオ入り。
ドラマ『ミチルとユメの約束』の初回撮影日。新たな役柄に気を引き締めながら、悠人と同じく“春”を迎えていた。
(新しい仕事、新しい役、新しい日々……)
そしてふたりは、誰にも知られないまま、秘密の夫婦としての春を迎えていた。
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■Scene 2:映画学校の授業風景
「はいじゃあ今日は、脚本分析から入ります」
講師の厳しくも情熱的な声が響く。
教室では、『ショーシャンクの空に』の脚本解釈をテーマに意見が飛び交っていた。
悠人は隣の男子に小声で尋ねる。
「……あの、これってラストの“海”の意味、どう思います?」
「解放。絶対それ。あと、“光”のモチーフ。君、神谷くんでしょ? 映画好きそうだもん」
笑顔で話しかけてきたのは、佐久間アオイ。元・演劇部の脚本志望で、人の分析が得意な皮肉屋タイプ。
さらに隣では、明るくてちょっと騒がしい藤村ひかり(演技専攻女子)が「ねえねえ、次の撮影実習って何着てけばいいの?制服コスプレでもいい?」と茶化す。
後方の席では、無口な機材オタクの中井レンが、マイ三脚を大事そうに磨いていた。
悠人は、そんな仲間たちに囲まれながら思う。
(この世界で、自分だけの映画を作るんだ)
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■Scene 3:帰宅、そして“女優の妻”の声
授業終わり、編集室でグループ課題の素材を深夜までいじっていた悠人は、終電を逃しそうになりながら帰宅。
玲奈のいる郊外の別荘。
鍵を開けると、リビングの明かりはついたまま。ソファには毛布をかけて眠る玲奈の姿が。
「……ごめん、遅くなった」
玲奈は目を覚まし、微笑んだ。
「おかえり。……疲れた?」
「うん。でも、すごく楽しかった」
「よかった」
玲奈はキッチンに立ち、夜食にスープを温め直す。
「女優の仕事も、今日から新しいドラマの撮影始まったよ」
ふたりはカウンター越しに、別々の現場でのことを報告し合う。
“夫婦”らしい会話。でも誰にも見せられない日常。
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■Scene 4:休日、客席からの視線
日曜。悠人は玲奈の主演映画**『残光のドア』**の先行試写会へ向かっていた。
客席には一般のファンと同じく、並んで静かに座る。
帽子を深くかぶり、玲奈の名前入りパンフレットを開いた。
スクリーンの中で、玲奈は全身全霊で「過去と向き合う母親」を演じていた。
涙をこらえながら祈るように語る台詞――
「過去が私を責めても、私だけは未来を愛していたい」
(……玲奈さん)
映画が終わり、舞台挨拶。
司会者が玲奈に問いかける。
「今回の作品、かなり感情的な役どころでしたが、どう向き合ったのでしょう?」
玲奈は一瞬だけ客席を見渡し――悠人の方向に、ほんの数秒視線を止めた。
そして答える。
「この作品は……私の人生で、一番素直になれた時間でした」
それは、会場にいた誰にも理解できない。
でも、悠人にだけは届いた言葉だった。
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