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第7話「父になる日、母としての誓い」


■Scene:母と同じ産婦人科へ、静かな入院


玲奈は都内の郊外にある、落ち着いた佇まいの産婦人科へ足を運んでいた。

ここはかつて――母、美乃梨が彼女を身ごもっていた頃に通っていた病院。


あの時と同じ、木の香りが残る廊下。

優しい看護師たち。変わらぬ雰囲気に玲奈は少しだけ、肩の力を抜いた。


医師:「お久しぶりですね、玲奈さん。……お母様が通われていた時と、なるべく変えないようにしてるんですよ」


玲奈:「ええ……本当に、懐かしいです」


そして、その日から玲奈は入院生活へと入った。


病室は個室。窓からは木漏れ日が差し込み、心も身体も静かに整えられる空間。

彼女の体調は安定していたが、双子ということで慎重な管理が必要とされていた。



■Scene:病院の一室で、マネージャーと主治医の会話


その翌日、千田マネージャーと玲奈の所属事務所の社長が、こっそり病院を訪れる。

産婦人科の主治医と対面し、深い話を交わしていた。


千田:「先生……この出産、どうか“秘密裏に”お願いできないでしょうか。玲奈の立場を考えると、公になると大変なことに……」


医師:「もちろん。その覚悟があって、こちらを選ばれたのだと思います。お母様の時代からお世話している関係ですし、我々も最大限の配慮をいたします」


社長:「玲奈を支えるのが、私たちの役目ですから。必要なら病院名の公表も一切なしで、メディアにも完全非公開でお願いしたいのです」


医師:「承知しました。玲奈さんのためにも、できる限り穏やかな環境でお産を迎えられるよう準備します」


千田:「ありがとうございます……」


――その静かなやりとりの背後では、玲奈がゆっくりとお腹をさすっていた。

病室の窓辺、遠くの雲を眺めながら。


玲奈(お母さん……私、あなたと同じ場所で、命を迎えるんだね)



■Scene:SNSに綴られた、たった一言の報告


そしてその夜、玲奈は病室のベッドでスマホを手に取り、静かにSNSを更新した。


《しばらく、お休みをいただきます。

 この時間を、大切に、大切に過ごしたいから。

 ……ありがとう、すべての人へ》


画像もハッシュタグもない、ただの文字だけ。

だがそこには、“いま”の玲奈のすべてが詰まっていた。



■Scene:それぞれの反応――5人の家族と仲間たち


そのツイートは瞬く間に拡散され、ファンや関係者の間で様々な憶測を呼んだ。

だが、本当の意味を理解したのは、限られた人たちだけだった。


——


■光(悠人の兄・俳優):

都内のカフェにて。台本を手にしていたが、ふとスマホが震えた。

画面を見た瞬間、小さく笑った。


光:「……おめでとう、玲奈さん。いよいよだね

   あと、悠人おめでとう。これで俺は叔父さんか笑 」


——


■心音(悠人の妹・女優):

スタジオ撮影の合間。楽屋でスマホを開いて、思わず口元を押さえる。


心音:「……玲奈さん、やっぱり……。今度、お見舞いに行きたいな」


——


■澪(玲奈の妹):

高校の昼休み、購買横のベンチでスマホを確認。


澪:「姉さん……そうなんだ。やっと、心と身体、休めるといいけど……」


——


■朝比奈紗良・橘優菜:

ふたりは放課後のカフェでお茶を飲んでいた。

同時に玲奈のツイートを見たふたりは、顔を見合わせる。


優菜:「……聞いてた通り、妊娠だったね。」


紗良:「うん、きっと。でも、玲奈さん……すごく静かに、強くて、綺麗な言葉だった」


優菜:「そうだね……私たちも、何かできることがあればいいんだけど」


紗良:「“女優”ってさ、きっと孤独なんだよ。でも、“家族”って言葉があるから、踏み出せるんだよね」


優菜:「もし産まれたら私達と澪さんと一緒に会いに行こうね。」


紗良「 だね。」


——


玲奈の静かな決意の投稿は、5人の心に、確かに届いていた。


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