プロローグ2・転生したこの世界で
生まれてから、ずっと思っていた。
――どうして、わたしには魔力がないんだろうって。
この世界に生まれたものはどんなものでも黒か白の力をもって生まれてくる。
数年前までは、「黒 VS 白」!!って感じでいがみ合っていたらしいけれどね、このまんまじゃダメだって上の方の人たちが話し合ったみたい。
黒と白はゆっくりと歩み寄り始めて、遠い噂では黒の魔術師と白の魔術師さんで結婚した人も出たんだとか!
でもわたしには、どれも関係ないなって思ってたんだ。
だって、そもそも魔力がないんだから。
両親はふたりとも白魔術師だった。白みがかった髪の色が多い白魔術師の家系なのに、わたしの髪は琥珀がかった黒。瞳は青みがかったこちらも黒……かといっても、黒魔術が使えるわけでもない。
親戚は蔑んだし、友達もできなかったし、使えないながらに知識だけでは負けたくなくて、小さいころからずっと魔術理論の勉強ばかりしてきたけど、それでも結局使えないままだ。
それでもグレずに生きられたのは両親がわたしを愛してくれていたから。
そして10歳の誕生日、すべてを思い出したわたしは納得した。
わたしは、外つ国、いわゆる「異世界」からの転生者だったんだ。
脳内にあふれてくる知らない世界の知識を何とか呑み込みながら、わたしは悟った。
魔力がないんじゃない。
元々、魔力を持ってなかったんだ。
わたしの名前はリエ……改め、「リーヴェ」。
思い出したことは沢山あるけれど、現在15歳のわたしにはこの世界の風と土の匂いの方がずっと馴染んでいた。