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日常2

「もう休憩は行かれましたか?」


「まだ。でも先に行ってきちゃいなよ。私は次の撮影が終わるまで行けないから」


じゃあ、お言葉に甘えて、と私は手に持った注文書をまとめて席を立った。

笹倉さんは青いドレスにブーケを持って微笑む少女の手の形が気になるようで視線を上げることはなかった。


荷物をまとめてお店を出た。

「スタジオ タイム」は大きなショッピングセンターの一角、華やかなテナントが並んだ端っこだ。

色とりどりのテナントは眩しくて、私はそそくさとテナント街を素通りした。

従業員共通の休憩所には大きなテーブルがいくつか並び、何人かの従業員がお互いに距離を置いて座っていた。

華やかな表とは逆に休憩室は打ちっぱなしのコンクリートで殺伐としていた。

私は休憩室の一角の隔離された喫煙所に隠れるように入った。


ここが私の定位置。


喫煙者の数は少ないので大概、ここは無人だ。

人との距離を測る必要はない。


さて、さっきの「満足できていない」という言葉について考えよう。

満足はしてない。確かだ。

でもちゃんと生きてる。

人間として課せられた決まりには従っている。

お金を稼ぎ、税金を払い衣食住を確保している。

友人関係も今のところ落ち着いているし、もう半年、恋人はいない。


満足するも何も。今はこれくらいがちょうどいいと思っているんだ。

身の程にはあっているし、心地も悪くはない。


良くもないけどね。


皮肉めいた言葉がまた脳内で浮かぶ。

…こういう時のタバコはなぜか、うまい。



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