入口
「暗いな」
外輪山の縁に並んで首を突き出して ダンジョンを覗き込んだドラゴン達の一人が言った。
ポン! 火龍が足元の岩を蹴り落とした。
ひゅーん! ポヨン ころころ
岩の塊は、火口の縁から飛んでいき、暗い火口に吸い込まれていくかと思ったら、
まるで なにかの膜に当たったかのようにポヨンと跳ねて転がった。。
ふむ?
ドラゴンたちは 外輪山のあちこちに散らばって 淵に向かって足元の岩を蹴り落としてみたり、
あるいは 岩の塊を抱えて 火口の上を飛び回って あちこちから岩を落としてみたりした。
その結果 わかったこと、
どうやら 火口の中にあるはずのダンジョンを ぴったりと覆うように黒い膜が存在している。
「ふむ 膜が蓋のように ダンジョンを覆っていては 中に入れぬぞ」神龍
「少し焦がしてやろうか」
火龍が 火口の上空から中央部分に向かって炎を吹き付けた。
炎は膜の上をすべるように走って行って外輪山に内側からぶつかり 岩肌を焦がした。
「じゃあ 水はどうかな?」
氷龍が 外輪山の縁に立って 勢いよく水を吐いた。
水流は 激流のように膜の上を流れていき 対岸にぶつかると泡立ちながら壁に沿って広がった。
(氷龍は 水を吐き出すこともできたのだ!)
「おー 浅瀬ができたぞ。
せっかくだから 埃を落とそうかの。」
神龍が 火口の内側に張られた膜の上に水が溜まり 一見 池のようになったところへ飛び込んでいった!
「ひゃっほーい!」
ぽーん! ずぼっ!
両足をそろえて 飛び降りたら、神龍の重みで膜が破れて ずぼっと神龍の足が沈んだ。
破れ目から水も抜けた。
が しかし、神龍の胴体が通れるほどの穴ではなかったようだ。
「え~い!」
神龍が 勢いよく 前肢を振り下ろしてみたものの、膜は破れない。
「それっ!」
体を前に投げ出すようにして 膜に頭突きをかました神龍。
今度は 頭の部分が 膜を突き破り、前のめりになった反動で 先ほどまで挟まっていた胴体が抜けたものの、今度は 足が宙を蹴る羽目になった。
つまり 今度は 別の穴に 頭を下にして 肩までズボッと挟まってしまったのである。
「無様な!」
神龍は 己の姿が 傍からどう見えるかを考えるとムカッとしたので
今度は 全身から衝撃波を放った。
膜は 破れた!敗れたw
一度は 頭を下にして落下しかけたものの
すぐに宙返りして頭を上にして羽ばたく。
「フン!」
神龍は 全身の穢れを払うかのように 豪快に浄化魔法を放ちながら 火口の浅い部分を飛び回った。
(龍だから 浄化魔法を身にまとわせて体を清めるのではなく、
憂さ晴らしもかねて 浄化の光を周囲に放ちながら飛び回って、
己の体も心も清めたのでした。)
すると・・・
下の方から せりあがってきた物がある。
なんと 扉だ。
「小さい! こんな小さな扉では我は通れぬぞ!」神龍は叫ぶ!
「そうだ そうだ」他の3頭の龍も和した。
すると 扉の表に文字が浮かび上がった。
「しばらくお待ちください。
ただいま ドラゴンサイズに中を改装中です」