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ドラゴン喫茶  作者: 木苺
ドラゴン達
3/10

旅立ち & 最初の道場やぶりと夕餉のしたく

古龍に見送られ ダンジョンを旅だった4匹のドラゴン達。


「見送られた」形ではあるが、(はた)たして戻ってきたときに

古龍が気持ちよく迎え入れてくれるかどうかはわからない、

実質「体よく追い出された」に過ぎないのかもしれない、とは

どの若龍たちも内心では思っていた。


なにしろ、目覚めた古龍の力が どれほどのものであるのかを確かめたわけではないのだから、

はたして古巣であるダンジョンを守り切れるほど力が戻ったのか、

あるいは復活した力を使って 乗っ取りをたくらんだりしないのかはよくわからないのだ。


 初代マスターを務めていたころの古龍は強かった。

 引退してからの古龍は 1日の大半を寝て過ごしていたが、

 これからは どうやって過ごすつもりなんだろう?


 昔は 若くて、大先輩の腹のうちなんて わからなかった。

 今も 古龍の腹の中がわかるほど 話し合ったことはない。



「それで これからどうする?」緑龍(グリーンドラゴン)


「いくつか目星をつけたダンジョンがある。

 まずは それらの支配権を手に入れよう」神龍(シェンロン)


「どうやって?」氷龍


「ダンマスに一騎打ちを申し込むのさ」神龍


「お~ 道場破りの旅かぁ。いいねぇ」火龍。


(どっちみち 退屈すぎて あのダンジョンにとどまり続けることが苦痛になっていたものなぁ。


 ダンジョンの守り役として古龍が結界を張ってくれるのなら、それもまた良し。

 外の世界を放浪して回るのもまた 楽しからずや)

というのが4人に共通する思いでもあった。



というわけで、4匹は 神龍を先頭に飛び立った。



目的のダンジョン入口についた。


4頭は 声をそろえて叫んだ。「頼もう!」


念話と威圧を込めた4頭の叫び声は、ダンジョンの入り口からダンジョンマスターの居る最下層まで

反響しながらとどろき渡った。


マスター以外の ダンジョン内生物たちは気絶した。


「な なに」ダンジョンマスターである「一つ目」は震えながらつぶやいた。



 神龍は 以前、「2代目ダンジョンマスター」だった時に、古龍が持つ全能力をこっそりとコピーしていた。


ただ それを 古龍の前で使って面倒ごとが起きると嫌だったので隠していた。


しかし ダンジョンの外に出てしまえば、古龍に気兼ねすることなく 己の力を存分に発揮できる。


なので、神龍は「ダンジョンマスター一つ目」を、コアルームからダンジョンの外に引きずり出した、念力を使って。



 神龍の足元に転移させられた「一つ目」は、4頭の龍に囲まれて うずくまった。

気絶しなかったのは 仮にもダンジョンマスターであった意地である。


「降参します。命ばかりはお助けを」


神龍は 一つ目の能力をスキャンした。

(良いスキルを持っている。魔力は弱いが どのスキルもマックスじゃないか)


神龍は一つ目の能力を すべて吸収してから言った。

「ダンジョンマスターを降り、その権限をすべて我にひきわたし

 お前は 私の眷属となるか?」


「すべては 神龍様のお心のままに」

一つ目は 己の力をすべて神龍によって奪われたことに気付き、

神龍の前で平伏し 従属を誓った。


「よかろう。

 その言葉をたがえることなく、我に忠義を尽くせよ。

 我の眷属となった祝いに スキルを与える」

神龍は 一つ目から吸収したスキルをコピーして、その大部分を付与という形で一つ目に返した。


「我に邪心を抱けば 即座にそなたは消滅することを忘れるな」


「ははぁ」一つ目は平服したまま答える。


「そなたは 料理上手で

 このダンジョンは 食材生産が充実しておるようじゃの。

 これからは 我ら4人の夕餉(ゆうげ)の支度をせよ」


「はい」


「目付として わしの眷属を残す。

 この者の指示をよくきき、しっかりと励めよ」


神龍は 己の分身の一人を「オハー(竜)」と名付け眷属にした。

 この(竜)とは、神龍の分身であることを示す。

 このオハーが、一つ目のダンジョンの、マスターとなり、

 一つ目は、オハーの監視のもと マスター代行として諸々のことを行うことになった。


なお、これまで 一つ目の居たダンジョンの呼び名が決まっていなかったので、

「夕餉オハー」と名付けた。

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