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ドラゴン喫茶  作者: 木苺
ドラゴン達
2/10

ダンジョンに住むドラゴン

「あー 退屈だ。刺激が欲しい」

マスタードラゴンが言った。


禿同はげどう(激しく同意)」

口から炎を吐き出す火龍ファイヤードラゴン


「あんまり暇なんで、君の蛮行を咎める気にもならないよ」

炎で焼け焦げた地面を ウィンク一つで緑の大地にかえた緑龍グリーンドラゴンがつぶやいた。



「そういえば 昔は

  草を燃やすな、

    vs

  息を吐くときに炎が出るのは 自然現象だから文句をつけるな


 って君たち二人がよくケンカしてたよねー」


氷龍アイスドラゴンはつぶやき、ため息をつくように氷のブレスを吐いた。



「君のおかげで ここの植物は すべて 冷気耐性を完璧に身に着けたね」

緑龍グリーンドラゴンは答えた。



「そろそろ ダンジョンの外に出て見よっか」

ダンジョンの奥まった階層で のんびりと仲間とくつろいでいたマスターが言った。


「いくら退屈でも 人間達と争うのは嫌だなー」火龍ファイヤードラゴン


「弱っちい癖に 執念深く襲ってくるし、しつこいし、数が多くてうっとうしい」

氷龍アイスドラゴン


禿同はげどう(激しく同意)」火龍ファイヤードラゴン



「それなんだけど、

 ダンジョンコア付属の探知機能によると、

 探知範囲内から人間がいなくなったようなんだ。


 そして かつての都市の代わりに ダンジョンがいくつもできている。


 だから 僕たちも そろそろこのダンジョンの外に出て

 ほかのダンジョンを平和的に訪問してみてもよいのではないかな」マスター



「でも 留守中、ぼくたちのねぐら、つまりここを 襲われたらどうするんだよ」

氷龍アイスドラゴン



「お前さん達 若者が探検に出かけている間、

 わしがマスターとなって ダンジョンコアを守りつつ

 ダンジョンの入り口に結界を張って 留守を守ってやってもよいぞ」

古龍エンシェントドラゴンが片目を開けて言った。



「じいさん いつ起きたんだい?」マスタードラゴン



「さすがのわしも 眠るのに飽きてのぅ

 最近は ずっと起きておったわい。


 しかし わざわざ目を開けてあたりを見るほど面白いこともなかったし

 かといって お前さん達としゃべるのも面倒だった。


 じゃが おぬしらが外出する間、

 うたたねしながら留守番ぐらいはしてもよいかと思ったまでだ。」

言い終わると 再び両目を閉じた古龍エンシェントドラゴン



古龍エンシェントドラゴンに比べれば若い4頭のドラゴンたちは、どうしたものかと 互いにひたいを寄せて相談した。



「一番の問題は、ぼくたちの体が大きくなりすぎて、

 ダンジョンの階層と階層をつなぐ通路を通り抜けられなくなったことだよ」氷龍


「それについては、ぼくの権限で、転移魔法を使える不死者を呼び出せば、問題ないと思うよ」マスター


「ダンジョンの外に出てから、内部との連絡はどうする?」火龍


「ならば ここに残す不死者の一人に爺さんの世話をさせ、

 もう一人の不死者を 僕たちとの通信係にするのはどうだ?」

そう言って、マスターは 古龍の方に向き直った。


「爺さん 爺さん」マスター


「なんじゃ」


「爺さんは 実際の所 どれくらい起きていられるんだ?」


あくびをしながら古龍は答えた。

「なんじゃ お主たちを送り出したあとは、結界を張って

 だれかが その結界に傷をつけたら起きて対応する

 もしくは お主たちが戻って来た時に扉をあける、

 では ダメなのか?」


「それだと、長期不在にするのが心配なんだよなー」マスター


「「「禿同」」」ほかの龍達も口々に同意した。


「そもそも お爺ちゃんに、結界を張ったり、結界の外に居る僕たちと通信できるだけの力が残っているとは思ってなかったよ」氷龍


「失礼な!」古龍


「すみません。」氷龍


「ふむ 行き過ぎた敬老精神じゃ! と言いたいが

 実際 おぬしらにマスターの座を譲ったころのわしは かなり衰えておったからのう。」古龍



そう、古龍は このダンジョンの初代ダンジョンマスターだったのだ。

そして 長年にわたり、ダンジョンを訪れる人間達とわたりあい、

やがて 疲労半分 うんざり半分で、ダンジョンマスターの座を後輩に譲ることにした。


その結果誕生した2代目ダンジョンマスターが 現在のマスタードラゴンであった。



「お前さん達に マスターの座を譲ってから ずいぶん年月がたったからのう。

 わしもぐっすりと眠って ある程度の力は取り戻した。

 だから さっき言った程度のことはできる。


 だが 一人でいつも臨戦態勢で お主たちの帰りを待てと言われても困るわい。


 お主たちを送り出したあとは、適当にわしの眷属(けんぞく)を作って、過ごそうかと思っておったのじゃが。」古龍


「あー それなら、マスター権限の一部を 僕の眷属である不死者に委ねます。

 爺さんは、ダンジョンの出入り口に結界をはって、ダンジョンへの侵入者を阻むとともに

 ダンジョンコアの守りに徹してください。


 このダンジョンのマスターは あくまでも 僕が続けるということで」

マスタードラゴンこと神龍(シェンロン)は言った。


「ふん! 若造が。

 いっちょこまえに!」

古龍はバシンと尻尾を振り下ろして 床を叩いた。


「少しは ダンジョンマスターとしての分別が身についたようじゃの。

 (マスター権限の保持を心掛けるとは!)」古龍


「マスター権限を手に入れた後、

 前マスターをいたわって共に暮らそうなんて考えて実行するほどのお人よしのお(ぬし)のことだから

 今度は あっさりと マスター権限を手放すかと思ったら

 がっちりと 握って離さぬ意志を示すとは!」


そういって 口から細い煙を吐き出したあと 古龍は居住まいを正して言った。


「お前さん達も このダンジョンの外に出たら、弱肉強食のおきてを忘れるでないぞ!」古龍


「「「「はい!」」」」



というわけで、4匹の若い龍は、古龍にダンジョンの留守番をさせ、

外の世界へと旅立つことにした。。


もちろん、神龍の眷属である不死者たちが、マスター代行としてこのダンジョンに残り、

いざという時には 連絡をよこすことになっている。


ちなみに、2代目ダンジョンマスターを務めていたドラゴンの種類は神龍シェンロン

2代目マスターと一緒に、マスター権限の一部である「ダンジョン内の植生管理」を受け持っていたのが緑龍であった。

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