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第11話 記憶の在り処

 東の森にきたがガストンはどこにいるのか分からない。


 別れてから時間は経っていないが森のせいで視認しづらい。


 あの感じからしてそんなに遠くには行っていないと思うが捜すのは大変そうだ。


「東の森って相変わらずだね」


「こっちも初めてだ、あの変な魔物と出合ったのも」


「あれは変な魔物だったね。ちーとか、今思えば面白いかも」


「だが人を迷わせる魔法は厄介だ。しかも茂みを隠れ蓑にしていた」


 また合いそうだ。そのときは普通に対応するか、あの魔物はここから南にいたはずだが。


「いたよ」


「んん?」


「どうやら付けられてるみたいだね」


「だな。やってくれるか」


「うん」


 それとなく気付かぬ振りで立ち止まった。茂みも止まったことを気配で察し急に走り出す。俺は木の影に隠れセリカは横切っていった。


 茂みはセリカを追うために俺を素通りしようと考えたはずだが急に気の影から飛び出した。茂みは急に現れた俺に驚き急停止しようとした。


「今だ! セリカ!」


「任せて!」


 そう言ったあとに横に退き糸が横切るのを気配で感じ取った。糸は真っ直ぐ進み茂みの中に入り込んでいた。


「よし! 捕まえたよ! ディアス!」


「よし! そのまま取り出せ!」


「分かった!」


「ちー!? 恥ずかちー!? 茂みほちー!」


 気付く前に矛盾したことを言ったが今はもうどうでもよかった。セリカが茂みから取り出した魔物はあのときのだろうか。それとも新手なのだろうか、


「二度ちー! 茂みほちー! 恥ずかちー!」


 間違いなくこいつは俺とセリカを迷子にさせた魔物だ。だがどうして後を付けていた。まだ謎の魔人に唆されたのか。懲りない奴だ。


「おい! 茂みがほしければ聴け! どうして付けてきた?」


「魔人ハイド様だちー! 前も付けてたちー!」


「魔人ハイドとは北の塔にいる奴のことか! それといつから付けていた!」


「ちー!?」


「ディアス! その魔物は混乱しているみたいだね!」


「ならここにだれかこなかったか!」


「きたちー! 北ちー!」


 もう俺にはこの魔物がなにを言っているのかが分からない。来たなのか北なのか。語尾にちーを付けるは端折るはでもう無茶苦茶だ。


「北に向かったってことじゃないかな?」


「そうなのか?」


「ちー!」


 どうやら今回も嘘は付いていないみたいだ。信じるしかないのも癪だが今度もこの情報に頼るとしよう。このまままた変なことをされるのは嫌だと言っておこうか。


「おい! 茂みに帰してやる! だが今度したら本気で茂みを燃やすからな! 分かったか!」


「分かっちー! ……恥ずかちー! 茂みほちー! 逃げちー!」


 変な魔物をまた解放させた。茂みに向かって走っていき中に入り込んだ。今度こそ茂みの魔物を退治することに成功したようだ。さすがに三度目はないと思いたい。


 それにしても北か。そう言えばガストンの弟がなんか洞窟にどうのこうのと口走っていたはずだ。どうして今頃になって気付いた。そうか。北の洞窟か。


「ガストンは北にいるんだよね? あれ? あの弟がなにか言っていたような気が――」


「多分だが北の洞窟にいるのだろう。暗くなる前に着いておきたいところだ」


「洞窟ってことは松明がないと入れないんじゃ?」


「否定は出来ん。だがここまできて引き下がる訳にはいかない」


「意地だね。んじゃ行こう。目指すは北の洞窟だ」


「すんなりと会えればいいのだが最悪の展開も有り得る。着いた後は慎重になるべきだろう」


 茂みの魔物のお陰で北の洞窟を思い出し俺とセリカは向かうことにした。あれから時差が開いた。下手すればすれ違いも有り得る。もし北の塔に行ったのなら早急に追いかけないと駄目だ。


 どうか無事でいてくれと想いつつとにかく今はガストンを追いかけるべく北の洞窟目指して走らなければいけない。これから向かう北の洞窟はどんな場所なのか分からないがきっと俺が思うに安全ではなさそうだ。

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