表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
契約結婚は円満に終了しました ~勘違い令嬢はお花屋さんを始めました~  作者: 九條葉月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/94

ハサミ購入


「で? どんなもんが欲しいんだ?」


 職人の顔になったドワルさんが確認してくる。


「ハサミは二種類欲しいです。切れ味が良くて頑丈なものと、剪定鋏(せんていはさみ)を」


「切れ味が良くて頑丈とは贅沢な……で、もう一つの『せんてい鋏』ってのはなんだ?」


「あれご存じないですか?」


「少なくとも、俺は初めて聞いたな」


「う~ん」


 剪定くらいあると思ったのだけど……。ちなみに『剪定鋏』だと長いのでプロは『剪定』と略して言うことが多い。


 剪定。

 その名の通り枝を切る『剪定』という作業をするための鋏だ。いちいちノコギリで切断していては時間が掛かるからね。細めの枝は剪定で切ってしまうのだ。


 バラも一応木だからね。普通のハサミを使うよりは剪定を使った方がいいのだ。


 しかし、まさか剪定で通じないとは……。あ、でも、前世の世界で剪定が初めて作られたのは1800年くらいのことだと聞いたことがあるし、こっちの世界だとまだ作られていない可能性もあるのか。


「よく分からんから、とりあえず描いてみてくれ」


 イメージを絵で伝える客は多いのか、ドワルさんが紙とペンを差し出してきたので剪定の絵を描く。ハサミとしての下の刃は切るというより枝を支える『(とこ)』のような役割があり、切れ味もない。肉厚な上の刃で切断するという形だ。


 そういうことを説明しながらイメージ図を描くと、ドワンさんも納得してくれたみたいだ。


「初めて見るハサミだが、面白そうだ。しばらく時間が掛かるが、構わんか?」


「う~ん、まぁ普通のハサミでも使えないことはないので、大丈夫ですよ」


「おいおい、そんな悲しそうな顔をするな。代わりと言っちゃ何だが普通のハサミはいいものをくれてやるよ」


 ドワルさんが一旦店の奥に引っ込み、しばらくしてハサミを持ってきてくれた。


 持ち手の部分までもが鉄で作られたハサミ。前世でいうと生け花の時に使われる『古流』のハサミに似ていた。


 ドワルさんが小さな枝を持ってきてくれたので、さっそく試し切りをしてみる。太さは小指くらいあるので中々切るのに苦労しそうな――


「――うわっ」


 なんというか、ぬるっ。ぬるっという感じで枝が切れてしまった。すっごい切れ味。このハサミがあれば剪定はいらないのでは?


「凄……。このハサミ、おいくらですか?」


「そうさなぁ。金貨一枚ってところか」


 金貨一枚。前世で言えば10万円くらいか。職人が作ったものとはいえ、ハサミに出すのは躊躇する値段だ。


 ふっふっふっ、しかし! 今の私はアルバート様との契約結婚のおかげで懐が温かいのだ! 店舗を借りるために貯めていたお金も使えるしね!


 というわけで空間収納(ストレージ)の中から金貨一枚を取りだした私であった。やはり良いものを買うときには躊躇してはいけないわよね。


お読みいただきありがとうございます。

面白い、もっと先を読みたいなど感じられましたら、ブックマーク・評価などで応援していただけると作者の励みになります! よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ