表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
契約結婚は円満に終了しました ~勘違い令嬢はお花屋さんを始めました~  作者: 九條葉月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/94


 このあとも予定が詰まっているとのことで殿下はお帰りになった。


 何も買わずに。


 何も買わずに。


 何も買わずに。


 王子様なのだから「この店の花をすべていただこうか」くらいしてくれてもいいのに。お金持っているのだから散財してくれてもいいのに。生徒会時代に散々仕事を押しつけてきたのだからそれくらいしてくれてもいいのに。まったく気の利かない殿下である。


 まぁ、殿下が強引(ゴーイン)グマイウェイなのは昔からなのでそれはいいとして。

 私とアルバート様がお別れしたことを確認したのだから、もうやって来ることもないでしょう。あとは若い二人で頑張ってください。


 いや私も一応同い年なんだけどね。若いんだけどね。前世の記憶がある分ちょっとスレているというか大人びているというか。


 おっと、今は店内のレイアウトだ。殿下襲来のせいで忘れそうになってたわ。


 木箱を奥に入れることはできなさそうなので、まずは中身の茶葉を取りだし、作業場の棚に並べていく。この棚も本来ならアレンジメント用の器を保管しておくものなのだけど、まだ器も買いそろえていないしね。とりあえずはここに置いておけばいいでしょう。


 あとは空になった木箱の処理をどうするか。釘抜きでも買ってきてバラすしかないかしら。でも釘抜きなんてどこに売っているんだろう? この世界にホームセンターなんてものはないし。


 鍛冶屋に頼めば作ってくれるかな? いやでも木箱を三つバラすためだけに注文するのもなぁ……。受注だと高そうだし……。ああ! 鍛冶屋と言えば! セバスさんに公爵家御用達の鍛冶屋を紹介してもらうの忘れてた! ハサミやナイフを作ってもらおうと思っていたのに!


「……なんかもうダメダメだぁ」


 肩を落とす私だけど、ま、しょうがない。いきなり何でも完璧にできるわけじゃないのだから、ゆっくりやっていけばいいのだ。


「よし! とりあえずは街に行きましょうか!」


 街を歩いていれば鍛冶屋さんが見つかるかもしれないし、アレンジに使う器も購入したい。あとはこの街で暮らすのだから食料品や日用品を購入できる店も探さないと。


 やることはいっぱい。落ち込んでいる暇はない。というわけで私は財布を片手にお店を出ようとして――


『――にゃあ』


 そんな鳴き声が聞こえた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ