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第89話 金色の黄昏団


「ヒゲダルマさ~ん!」


「那月さん、大和さん、零士さん、今日は来てくれてありがとう。みんなのおかげで俺の友人の家族を助けることができた。改めて感謝するよ。俺の友人からも本当にありがとうと伝えてほしいと言伝を預かっている」


 横浜ダンジョンの19階層のとあるセーフゾーン。那月さんたちには本当に申し訳ないが、先日に地図を送って今日はここまで来てもらった。


 昨日いろいろとダンジョンを探索して大宮ダンジョンにはいないモンスターを狩っていた時に見つけた20階層以下のセーフゾーンの中で、一番人が来なそうな場所を選んだ。


「いえ、こちらこそ時間を合わせてもらってすみません。お役に立てたようでなによりですよ。ご友人にも確かに言伝を受け取りましたとお伝えください」


 金色の装備に身を包んで、それとは別にキラキラとした背景が見えるような眩しい笑顔の那月さん。


「間に合ったようで良かったね」


「けっ、そいつは何よりだったな」


 少し小柄な双剣使いの零士さんと大柄なドレッドヘアの大和さん。大和さんはちょっとぶっきらぼうな言い方だが、俺たちのために天使の涙を手に入れようとしてくれた良い人だ。


「私たちもヒゲダルマさんのおかげで、初見で50階層のデュラハンを倒すことができましたよ。まあ、あれを初見と言っていいか分かりませんが」


「ヒゲダルマさんのデュラハンとの戦闘配信をあれだけ見たら、さすがに初見とは言えないよね。それにしても本当に早かったよ。僕たちなんか3人でも30分以上かかったもんね」


「……まあ、それについては感謝しておくぜ」


 どうやら3人とも俺のデュラハンの周回配信の動画を見てくれたらしい。


「おめでとう! 俺の配信が少しでも役に立ったみたいで良かったよ」


「少しでも安全に攻略できそうになるならと動画を見させてもらいましたが本当に参考になりました。今までのモンスターと比べて明らかに一撃の力があったので、普通に戦っていたら危なかったかもしれませんね」


 ダンジョンの攻略をすべて自力で行いたいという探索者もいるが、那月さんのように安全を重視して使える情報なら何でも使う探索者の方が多い。そりゃゲームとは違ってコンティニューなんかないわけだし、安全のためには使える情報は何でも使うと言ったスタンスの方が多いに決まっている。


「そういうわけなので、先日いただいたこちらのアイテムポーチはお返しします。宝箱の探索を手伝ってもらった友人たちにはすでにお礼をしておりますからご安心ください。本当はハイポーション6本でも多いくらいなんですけれどね」


 そう言いながら那月さんは、以前に俺がハイポーションと一緒に置いてきたこの横浜ダンジョンで手に入れたマジックアイテムをすべて入れていたマジックポーチを返してくれた。


「……俺にとってあの時の天使の涙はそれ以上の価値があったからぜひもらってほしいんだけれどな」


「いやいや、さすがにこれはもらいすぎだよ! これ全部売ったら、普通の人なら余裕で一生生活できるくらいあるからね。こういう対価は正当なものじゃないと受け取れないな」


「俺たちは礼をもらうためにてめえに協力したわけじゃねえ。あん時のお前が必死にダチの家族を助けようとしていたから少し手を貸したまでだ。あんまり舐めてんじゃねえぞ!」


 ……零士さんと大和さんにそう言われてしまうと返す言葉もないな。


「分かった、それじゃあこっちのアイテムポーチはありがたく返してもらうよ。だけど今回の件は本当に感謝しているから、何か困ったことがあったら遠慮なく声を掛けてほしい。俺もいろいろとレアなマジックアイテムを持っているから、何かの役に立てるかもしれない」


「ええ、分かりました。どうやらヒゲダルマさんはかなり攻略が進んでいるみたいですからね。私は自分たちで解決できないことは迷わず人に助けを求める性格なので、その際は遠慮なく声を掛けさせてもらいますよ」


 臆面もなくそんなことを言う那月さん。いや、マジで顔だけでなく内面もイケメン過ぎるな。


「ああ。遠慮なく声を掛けてくれ」


 月面騎士さんの母親を助けることができたのは那月さんたちのおかげだ。何か協力できることがあったら、迷わず手を貸させてもらうとしよう。


「あっ、いたいた! ヒゲさん!」


「すみません、少し遅れました」


「ああ、ちょうどいいところだったぞ」


 ちょうど那月さんたちとの話がひと段落したところで、瑠奈と華奈がやってきた。元から仕事で少し遅れるとは言っていたからな。2人は月面騎士さんに助けられたことがあって、その月面騎士さんの母親を助けてくれたみんなに直接お礼を伝えたいと那月さんたちには伝えてある。


「初めまして、ツインズチャンネルという配信をしている華奈と申します」


「同じくツインズチャンネルの瑠奈です」


「もちろん知っておりますよ。先日の会見の事件もそうですが、女性で40階層近くまで探索を進めているダンジョン配信者は本当に少ないですからね。金色の黄昏団のリーダーをしております那月と申します」


「うわ~本当に華奈ちゃんと瑠奈ちゃんだ! 配信で見るよりも全然美人だね! 初めまして、零士だよ」


「……大和だ」


 大和さんは女性である2人に対しても、そっぽを向きながらぶっきらぼうに返事をしていた。


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