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第74話 50階層


「よし、ついにここまで来たか」


 順調に探索を続けてついに50階層へとやってきた。時間は横浜ダンジョンに入ってから36時間ほど経過している。


 月面騎士さんからは定期的に連絡をもらっており、母親の容体はまだ大丈夫らしいが、月面騎士さんの言っていたタイムリミットだとあと50時間~74時間ほどで危険な状態になる。


 41階層から50階層に来るまでに宝箱を5個ほど見つけたが、天使の涙は未だに出現していない。階層が上がれば上がるほどレアなマジックアイテムを入手できる可能性は上がっていくのだが、やはりマップ情報がないと各階層ごとの探索時間はかなり掛かってしまう。


 このペースだと60階層まで行ってボスモンスターを周回するよりも、この50階層のボスモンスターを周回する方が時間的に効率的なようなので、この階層を周回することになる。


「階層は古代の遺跡みたいなイメージみたいだな」


 辺りを見回してみると、周囲には蔦や苔の生い茂った古い遺跡があった。遺跡の上を跳躍して飛んでいけば時間もだいぶ短縮することができる。洞窟型の階層でなくて、まずはホッとした。


 洞窟型の階層も初めて探索する際には通路とフロアに分かれていてマッピングはしやすいから良いのだが、狭い通路を通らなくてはならず、モンスターのタゲを取りやすいから、早く攻略するのには向いていないんだよな。


「さっさとこの階層のボスモンスターへのゲートを見つけるぞ」


 俺の配信についてはたったこれだけの時間で横浜ダンジョンの50階層まで来られたこともあって、かなりの人に拡散されているみたいだ。ただでさえものすごく増えていたチャンネル登録者数や同接数がさらにとんでもないことになっていた。


 しかし残念ながら、今のところ天使の涙を保有しているという人は現れていない。この一般配信のリンクに貼ってある連絡先に何人か連絡があったようだが、リスナーさんたちの確認によると、その情報はすべてガセだったらしい。


 天使の涙もそうだが、41~50階層のマップ情報さえも売ってくれるという探索者も現れなかった。41階層以降だとたった3組しか探索者に会わなかったし、やはりこの辺りの階層を探索している探索者の数は相当少ないらしい。


 もしかしてという淡い期待もあったが、やはり現実はそう甘くないようだ。




「見つけた、ボスモンスターへのゲートだ!」


 50階層の探索を始めてから2時間が経過したところで、ようやく50階層のボスモンスターへのゲートを発見することができた。この階層を周回するつもりであるため、これまでの階層以上にしっかりとマッピングをしてきたため、次回にこの階層を探索する時はだいぶ早くここまで辿り着くことができるはずだ。


「おい、マジか……」


 この階層の半分くらいのところでボスモンスターへのゲートは発見することができたのは良い。だが、ひとつだけ問題があった。ボスモンスターへのゲートの前に()()()()()()()()


「おいおい、まさかこんな深い階層で別の探索者と会うなんて珍しいこともあるもんだぜ」


 1人目の男は茶色のドレッドヘアを後ろに束ねた大柄な男だ。ガタイも良くて身長が180センチメートル近くはありそうだ。立派な鎧を身に着け、左手には大きな盾と右手にはロングソードを持っている。この中で一番防御を固めているので、恐らくは敵の攻撃を防ぐことに特化したタンク役なのかもしれない。


「えっ、しかも1人じゃん! まさかこのレベルの階層でソロとかマジ!?」


 2人目の男は小柄な男性で、ドレッドヘアの男よりもだいぶ装備は軽装で左右の腰に短剣を差している。機動力を重視した双剣使いといったところだろうか。武器の方もかなり立派な物だし、属性の付いた武器かもしれない。


「……見たことがあるね。最近話題になっていたダンジョン配信者のヒゲダルマさんかな?」


 3人目は少し大きめのロングソードを持ち、立派な胸当て、籠手などのキラキラとした金色の防具を持った男性だ。容姿も整ったイケメンだし金色の防具も相まって、まるでアイドルのように輝いているようだ。


 ゲートの周囲はセーフゾーンと同様にモンスターは入って来ることができない。マジックポーチの中にある荷物を広げて、食事や飲み物などを補給しているところを見ると、準備を整えてからボスモンスターへ挑むつもりなのだろう。


 腕輪を横目でちらっと見ると、一般配信の方に新たなコメントが続々と書き込まれていく。


"おお、この人たちは金色の黄昏団だぜ!"

"まだ20代前半なのに最前線で活躍している有名な探索者パーティだぞ!"

"メディアとかに出るのも全部断っているんだよな。すっげ~初めて見た!"


 どうやら彼らは有名なダンジョン探索者パーティらしい。この辺りの階層を探索している時点でかなり有名な探索者であることはよく分かる。


 当然だが、ボスモンスターへ挑むのは早い者勝ちだ。10階層レベルのボスモンスターなら数十分で戦闘を終えられるかもしれないが、このレベルになるとボスモンスターも手強くなってきて、倒すまでに数時間掛かることもザラにある。


 そしてそんな時間を待っている余裕は俺にはない。よりにもよって、こんな時に50階層のボスモンスターへ挑む探索者とかち合うとはな……


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【コミカライズ連載中!】
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― 新着の感想 ―
[良い点] ヒゲダルマさんが紳士的 [気になる点] なぜダークヒゲダルマにならないのか? 配信一時停止→PvP不意打ちで無力化→ないないする でボスモンスター独占の目的を達成しないの? [一言] 面白…
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