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第178話 打ち上げ


「治療がうまくいって何よりだったよ」


「ヒゲダルマ、本当にありがとう! WAKABAさんも本当にありがとうございました!」


「気にしないでいいわよ。おかげ様でと言っていいかは分からないけれど、私も二人にリアルで会えたからね」


 確かにこういった状況でもない限り、ダンジョンの外でリスナーさんと会う機会なんてないだろうからな。


 結果的にはすずさんの母親を治療することができたし万々歳だろう。


「で、でも本当にこんなに高そうな料亭でご馳走になってもいいのかな?」


「遠慮はしなくていいぞ。以前にも言ったが、ダンジョンの中でお金を持っていても仕方がないからな」


「やったね!ヒゲダルマさん、遠慮なくご馳走になるわ」


 タヌ金さんがちょっと遠慮しているのを見てWAKABAさんが気を利かせてそう言ってくれたみたいだ。


 ここは以前に那月さんたちから教えてもらったモンスターの食材を使用した高級料亭だ。華奈と瑠奈とも一緒に来たし、ワンパターンと思われるかもしれないが、数年間ダンジョンに引きこもっていた俺はの店なんてここくらいしか知らないのである。


 まだお昼だから学生であるタヌ金さんがいても問題ないだろう。


「ああ、遠慮なく食べてくれ」




「すごい、ダスクワイバーンのお肉なんて初めて見た……」


「他の食材も本当にすごいわよ。このレベルのモンスターの食材を取り扱っている料亭で食事できるなんて、これだけでもこっちまで来た甲斐があったわね」


「それにその食材を調理している料理人の腕がすごいよなあ。俺も毎日料理はしているけれどほとんど我流だから、こういった手の込んだ料理は参考になるよ」


 出てきた料理をみんなで食べる。


 食材自体は普段俺が食べている食材の方が上だが、それを調理する料理人の腕はこのお店の人の方が間違いなく上だ。きっとこれまでにひたすらモンスターの食材を調理してきたのだろう。


 ダンジョンの外にあるお店で食べる料理は勉強になるな。


「でもヒゲダルマさんは最初に配信をしていたころに比べたら、だいぶ料理の腕も上がってきているわよね。当時は本当に解体して焼くだけだったから」


「キャンパーさんに血抜きのやり方を教わってから少しずつ意識が変わっていったよね。ダンジョン攻略を止めたあとは畑を作ったり、いろんなものを自分で作り始めて、見ているこっちものんびりとして楽しく見られたなあ」


「ダンジョンの中に家を作ろうなんて言い始めた時は面白かったわね。みんなでダンジョン法に問題がないか確認したり、家具なんかに必要そうな素材を検討したりして、なんだか私たちまでダンジョンで一緒に生活しているような感じがして楽しかったわ」


「あの頃は本当にみんなには世話になったな」


 ダンジョン攻略を止めたあともリスナーのみんなにはお世話になった。ひたすらモンスターと戦う配信からいきなり物作りや料理をメインとした配信に切り替わったというのに、当時のリスナーさんたちは誰一人離れずに快くアドバイスをくれた。


 配信を始めた時からこれまでみんなにはお世話になりっぱなしである。


「ヒゲダルマは自分で全然調べなかったもんね。それにモンスターの生態には詳しかったけれど、他の知識は全然なかったなあ」


「俺が自分で調べるよりもみんなに聞いた方がすぐに返事が返ってきたからな。それに俺は手を動かしながらアドバイスを聞けるから効率も良かった。当時はひたすら効率よく行動することを考えていたんだよ」


 当時はいかに効率よくダンジョン攻略をするかを考えていたから、そのあと何に際しても効率を中心に考えていた。まあ、それは今もそれほど変わっていないかもしれないが。


「ヒゲダルマさんは今もそうだけれどデバイスの操作が遅いもんね」


「元々そういったデバイスをあまり触ってこなかったというのもあるな。会社で働いていたころも周りはみんなデジタルだったけれど、俺だけアナログだった」


「でもヒゲダルマが会社勤めだった頃なんてあんまり想像できないかな」


「そうね。今みたいにヒゲを剃って身だしなみをちゃんとした時はちゃんと見えるけれど、普段の配信の姿を見ているとなあ~」


「さすがにヒゲはちゃんと毎日剃っていたぞ。確かに人付き合いは少し苦手だったかもんな。でも自分で言うのもなんだが、結構有能で大きな仕事を任せられていたんだぞ」


 当時はちゃんとスーツを着て毎日出社していたからな。ヒゲは一日でも忘れるとかなり伸びてしまうので、毎日欠かさず剃っていた。


「……やっぱりヒゲダルマがダンジョンにこもり始めた理由はその会社のせいなのかな?」


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