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第164話 大切な友人


「俺がしたいようにしただけだ。それに俺だってあの2人にはいろいろと助けてもらっている」


「ふっ、あんたはいい男だな。俺には子供がいないから、真剣にダンジョンへ潜っているあの娘たちや若者を応援しているんだ。今後もあんたのできる範囲内であの娘たちを助けてやってくれるとありがたい」


「ああ、華奈と瑠奈は大切な友人だからな。できる限り2人の力になると約束するよ」


 出会った頃ならともかく、今では2人も大切な仲間だ。


「おう、俺には武器や防具を整備するくらいしかできないから助かるぜ」


「武器や防具はダンジョンから無事に帰れる可能性を底上げしてくれるから、これまであの2人が進んで来られたのは鉄森さんのおかげだ。それに俺も鉄森さんが作ってくれた属性付きの武器に助けられたこともある。俺の方こそ感謝をしている」


 イレギュラーのベヒーモスが現れた時、瑠奈が生きていたのは鉄森さんが整備していた防具のおかげかもしれないし、六本木モールでは人質を取られた時に鉄森さんが作ってくれた風属性の武器がなければ人質を無事に助けられなかったかもしれない。


 那月さんたちが火属性の属性付きの武器を使っていたようにダンジョンを探索するうえで武器や防具を整備してくれる鉄森さんのような職人さんは非常に大切なのである。


「そう言ってくれりゃあ、俺たち職人も浮かばれるってもんだ。今後も武器や防具についてなにかあったら教えてやるから遠慮なく持ってこい」


「ありがとう。その時はよろしくお願いします」




 鉄森さんと別れ、2人と合流してタクシーを拾うために駅の前まで歩いていく。


「ヒゲさん、鉄森さんとは何を話していたの?」


「ああ、武器や防具についてなにかあったら相談に乗ってくれるってさ」


 一応その前のことについては俺と2人で話したいということだったし、華奈と瑠奈には言わない方がいいだろう。


「鉄森さんはとても楽しそうにしていましたね。何度か鉄森さんが私たちの武器を作ってくれるところを見させていただきましたがあれほど楽しそうに話していたのは初めて見たかもしれません」


「武器や防具にすごくこだわりのある人だし、なんとなくだけれど、ヒゲさんと似ているかもね」


「ああ、そうかもな」


 武器や防具にこだわりのある人だったし、料理やいろいろな物を作る俺と少し似ている気がする。


「私たちが25階層を超えたくらいからずっとお世話になってきました。鉄森さんに武器や防具を作ったり整備してもらうためには直接ご本人と会って話をしてからになるのですが、ヒゲダルマさんは問題なさそうでしたね」


「確かに自分が作った武器や防具をどんな人が使うのか気になるのかもしれない」


 ダンジョン配信が始まってからはDQN配信者のようにマナーの悪いやつも増えてきた。ああいった連中に自分が丹精込めて作った武器や防具を使ってほしくないと思うのは職人として当然の気持ちなのだろう。


 ……たぶん俺が華奈と瑠奈の命の恩人だからといって、俺の武器や防具を整備してくれるのかは別問題だっただろうな。今日出会ったばかりだけれど、それはそれ、これはこれと普通に言いそうだ。


「私たちがイレギュラーモンスターのベヒーモスに襲われた時は本当に心配してくれました」


「うん。それに虹野に嵌められた時はずっと僕たちを信じてくれていたからね!」


「……そうなんだな」


 さっき鉄森さん本人からも聞いた。確かに優しくて真っすぐなこの2人のことを知っていれば、応援したくなるという鉄森さんの気持ちもよくわかる。


 なんだか鉄森さんとは長い付き合いになりそうな気もする。


「さて、今日は長い時間付き合ってくれてありがとうな。お礼にご飯でもご馳走するぞ。この前那月さんたちにモンスターの食材を使うおいしい店を教えてもらったんだ」


「「えっ!?」」


 鉄森さんを紹介してくれて、長時間待ってくれた2人にご飯でもご馳走しようとしたのだが、なぜか2人ともものすごく驚いている。


「……そこまで驚くことじゃないと思うんだが。それとももしかしてこのあとなにか予定があったりしたか?」


「い、いえ、予定はないです! ヒゲダルマさんの方から誘ってくれたのがとても嬉しかったので……」


「ダンジョンの外でヒゲさんが誘ってくれるなんて初めてかも! 嬉しい、3人でデートだね!」


「………………」


 そういえば、ダンジョンの中で2人を食事に誘うことはよくあったが、ダンジョンの外でというのは初めてか。それにいつもの食事では限定配信でリスナーさんたちと一緒だが、2人だけというのも初めてかもしれない。


 3人でデートという時点でいろいろとおかしい気もするが……


「とりあえず変装しているからといって、週刊誌の記者とかには気を付けるとしよう」


「うん!」


「ええ、気を付けないといけませんね!」


 そう言いながら、こっちの方に身体を寄せる瑠奈。華奈のほうもいつもよりなんだか距離が近い気もする。


 こんなところを2人のファンに見られたらとんでもないことになりそうだ。それにリスナーさんたちにもとてもじゃないけれど見せられないな。


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