表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/182

第16話 その後


 2人と一緒に34階層のゲートから少し離れたセーフゾーンへと移動する。ダンジョン内のセーフゾーンは各階層のところどころに存在しており、セーフゾーンの境界線には緑色の光の線が光り輝いている。


 外で34階層はかなり深い階層となっているため、このセーフゾーンには誰もいなかった。セーフゾーンの一番奥の一角にマジックポーチから出したテーブルと椅子をセットする。


 相変わらずダンジョンの仕組みは分からないが、なぜかここにいるモンスターはセーフゾーンには入ってこないのだ。それを利用して、探索者や配信者はここで休憩を取ったり野営をする。


 ……まあ、俺みたいにダンジョンに住んでいるやつはいないだろうけれどな。ちなみに俺の家はまだ誰も来ていないだいぶ下の階層にある山肌を含んだセーフゾーンにあり、そこに洞穴を掘って居住区を作り生活している。


「改めて、何度も私たちを助けていただきまして、本当にありがとうございました!」


「ありがとうございました!」


 セーフゾーンに移動するなり、2人がいきなり頭を下げてきた。


「いいから頭を上げてくれ。前にも言ったが、あれは契約の範囲内だったから、そっちが気にすることはないぞ。それにしてもいろいろとニュースを見たが、2人ともいろいろと大変だったな」


 虹野なんちゃらはダンジョン法の緊急避難により大きな罪にはならなかったが、仲間を囮とした上にその罪を華奈に擦りつけたため、今もまだ叩かれ続けているらしい。人気がある者ほど、非難の的になった時は酷いものである。


 やはりダンジョンへ潜る際の仲間は本当に大事だ。自分の命を握らせていると言っても過言ではない。……まあ、ソロの俺には関係ないけれど。


「本当だよ! あれからいっぱい取材や配信のお誘いがきて、ずっとそれに出演してたから、全然休める暇もなかったんだ……」


 そう言いながら一度上げた頭をぐったりとテーブルに伏せる瑠奈。


 例の会見のあったあと、相手がトップダンジョン配信者ということもあって、2人は瞬く間に時の人となった。ニュースやダンジョン配信業界の話題は華奈と瑠奈の一色になったらしい。


「それにマネージャーがクビになったので、事務所内は本当に修羅場でした……」


「ああ、当たり前だけれど、あのマネージャーはクビになったんだよな」


 結局、自ら受け持つダンジョン配信者を裏切ったことがバレて、あのマネージャーもかなり叩かれていたな。


 記事を読んだところ、あの虹野なんちゃらに大金をもらい、別の大きな事務所で雇われるという好条件を受け、2人を裏切って嘘の証言をしたそうだ。


 他にもあの会見の進行役などが、虹野なんちゃらからお金を受け取っていたとして、結構な数の人が処罰されたらしい。


 むしろダンジョン協会の方が積極的に今回の関係者を処罰していたのはちょっと怖くもあるところだ……


”たぶん虹野虹弥の次に叩かれていたと思うぞ。そりゃ一番味方にならなきゃいけないマネージャーが裏切るとかマジゴミだよな! @ケチャラー”

”配信チャンネルを一緒に作り上げてきたのに、担当するダンジョン配信者を裏切ったんだから当然だ。すでに本名や住所まで特定されて、晒されていたぞ。 @月面騎士”

”特定厨マジで怖い……もうまともな職に就くことすら難しいだろうなあ…… @ルートビア”

”ぶっちゃけ見てる方は痛快だったぞ。悪いことをしたら天罰が下るの見本だったし。事務所からも多額の賠償請求で訴えられててマジざまあwww @たんたんタヌキの金”


「本当ですよ! ずっと信じていたのに!」


「僕も本気で頭にきたよ! 今まで一緒に頑張ってチャンネルを作ってきたのにさ!」


 俺のダンジョン配信のリスナーさんたちのコメントを見て、華奈も瑠奈もうんうんと頷いている。


 テーブルにはデバイスが置いてあり、俺の腕輪と連動して、今ドローンで配信している映像とリスナーのコメントを映し出せるようになっている。今はこんな便利な配信デバイスがあるのかと感心した。


 ちなみに今日の配信は限定公開となっており、俺の許可したリスナーさんしかこの配信を見ることができない。ダンジョン配信に限定公開なんて機能があるのを初めて知ったぞ。予め2人のことを知っているリスナーさんには招待状を送っておいた。


 まあ、俺の配信チャンネルの登録者数は相変わらずだから、限定にする意味もないのかもしれないが、今日は2人と会うことだったので一応な。俺が例の会見の際にいろいろとお世話になったということで、もちろん2人にも許可をもらっている。


”しかし、どこのメディアも例の会見のニュースでも2人のことばかりだ。トレンドにも載っているし、一躍トップ配信者の仲間入りだな。 @†通りすがりのキャンパー†”

”チャンネル登録者数が爆増していたもんな。まったく、今頃2人の魅力に気付くなんて遅いぞ、このにわかどもめ! @ルートビア”

”いや、お前もちょっと前にチャンネル登録したばかりの超にわかだからなwww @たんたんタヌキの金”


「おかげさまでチャンネル登録者数が一気に増えました。ちょっと不本意ではあるんですけれど……」


「今まで仲の良かったリスナーさんが事件の直後は酷いコメントをして離れていって、僕たちの言っていることが本当だって分かったら、実はずっと信じてたとか言うんだもん……僕人間不信になっちゃうよ……」


 どうやらリスナーさんからも酷いコメントを投げられたらしい。リスナーさんの大半は軽い気持ちで見ている人が多いのだろう。


「でも、私たちをずっと信じてくれていたリスナーさんもいてくれたことが救いです。いろいろとありましたけれど、ずっと応援してくれていたリスナーさんのためにもダンジョン配信を続けていきたいと思います」


「うん! ずっと応援してくれてきたリスナーさんのためにも頑張るよ!」


「そうか、まあ頑張れ」


”華奈ちゃん、瑠奈ちゃん、マジ健気! @ケチャラー”

”頑張って! 2人とも応援しているよ! @WAKABA”

”これが人気になるべくして生まれたダンジョン配信者か。ヒゲダルマも少しは見習え! @月面騎士”


「でも僕たちのことよりもヒゲさんのほうがすごい話題になっているよね!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【コミカライズ連載中!】
(画像クリックで作品ページへ飛びます)

2dw35xypkzhv3gl2hg7q35cee9fn_xk1_p0_b4_54rp.jpg


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ