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第153話 火の属性付き武器


「ブモオオオオ!」


 零士さんの双剣が振るわれる度に炎の渦がタイタンエレファントを襲う。


 炎だけでは分厚い毛皮を持つタイタンエレファントの致命傷にはならないが、零士さんはそれを承知で目を狙っていく。当然タイタンエレファントは炎から目をかばうため、下の方で前足を狙う那月さんと大和さんの攻撃を捌ききれない。


 そこを2人が炎を纏ったロングソードで斬りつけていく。先ほどまでのロングソードでの斬れ味に加えて、その炎がタイタンエレファントの体毛を燃やしていく。そしてその炎は周囲の雪を一気に溶かして那月さんたちが戦い易い足場を作っていく。


「よしっ、効果はありそうだ!」


「ああ、このままいくぜ!」


「了解!」


 なるほど、属性付きの武器はいろいろと便利だな。この階層にいるモンスターは寒さには強いが火への耐性なんてもっていないだろうし、純粋に斬撃にプラスで炎や風なんかの攻撃を付与できるんだからすごい。


 唯一の欠点は燃費の悪さだろう。一応魔石を交換すればその魔石の大きさに応じた威力の属性攻撃を使うことができるらしいが、今みたいなペースで使用をしていたらかなりの出費となるに違いない。この階層に来てからこれまで属性攻撃を全然使っていなかったのはそういう理由だ。


 以前に六本木モールで立てこもり犯が使用していた剣についていた魔石はおそらく今那月さんたちが使用している魔石と同等のものだろう。ぶっちゃけあのモンスターの素材分以上の価値があってもおかしくはない。


 それに加えて那月さんたちは複数の武器を用意しているらしいからな。俺の場合はすべて自分で武器や防具を作っているからいいが、探索者は入って来るお金も多いが、出ていくお金も多いものだ。




「お疲れさま。まったく問題なさそうだったな」


「ありがとうございます。無事に倒すことができて本当によかったです」


 那月さんたちは誰ひとり大きな怪我をすることなく、無事にタイタンエレファントとの戦闘が終了した。


 両方の前足を削ったところで、巨大な四足歩行のモンスターであるタイタンエレファントはまともに動くことができなくなり、そこで勝負は決した。あとは鼻を振り回して暴れているタイタンエレファントを後ろから安全に仕留める作業だったな。


 他のモンスターも現れなかったし、那月さんたちを援護するような危険な事態も起こらなかったので、結局俺は何もしていない。


「俺たちもここ数日でちったあ強くなってんのかもな」


「そうだね。ヒゲダルマさんの動きに多少慣れてきたら、他のモンスターの動きなんてあまりにも遅すぎるからね」


「それに以上にモンスターの動きを考えるようになったと思うよ。これもヒゲダルマさんのおかげですね!」


「……いや、3人の今までの積み重ねの賜物だよ」


 本当にお世辞とかではない。


 俺は那月さんたちに指導らしき指導はしていないからな。もちろん、俺が3人のパーティプレイを見て学んだように、3人が俺の戦闘の動きを見てなんらかの参考になったかもしれないけれど、本当にそれくらいだ。


 強くなったと感じるのは間違いなくこれまでの3人の積み重ねの上に、戦闘第一である俺の動きや戦い方が少しプラスされたくらいだろう。


「さて、問題はこいつをどうするかだな……」


「さすがにこんな場所で解体作業はできないからね。こいつの固い牙や分厚い毛皮なんかはいろいろと使えそうだから、多少は持って帰りたいかも」


「とりあえずもう少し探索を続けて、解体はセーフエリアへ着いたらだな。一旦俺のマジックポーチへ入れておくけれど大丈夫かな?」


「こっ、これほど大きな物も入るのですね……」


 今回は横浜ダンジョンのモンスターを持ち帰る気だったから、大きな容量のマジックポーチを5個持ってきている。とはいえ、他の食材もたくさん確保したから、俺のマジックポーチもそろそろ限界になる。それくらいこのタイタンエレファントは大きかった。




「……おっ、あれはもしかして」


 タイタンエレファントを収納して探索を続け、時間的にもそろそろ今日の探索を終えて帰還ゲートへと戻ろうかという時に、吹雪が止まっているエリアと、その中心にある青いゲートが見えた。


「ふう~やっとこの53階層が終わったよ! さすがにもうこんな階層は勘弁してほしいね!」


「ああ、まったくだぜ」


 次の54階層へ進むための青いゲートをようやく発見することができた。ゲート付近はセーフエリアと同様に吹雪を通さないので、ようやく一息つけた。


「今日の探索はそろそろ切り上げるつもりだったのでラッキーでしたね。これで帰還の時間もだいぶ省けます。それではここは寒いですし、一度54階層へ移動しましょう」


「ああ、賛成だ」


 吹雪は通さなくても寒いものは寒い。さっさと次の階層へ進むとしよう。


【お知らせ】

いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾


いよいよこちらの作品がカドカワBOOKS 様より2025/2/10に発売となりました!


それに伴ってタイトルも改題しました。

また書影が公開されましたらお知らせします!

ヒゲダルマがどんなイラストになったのかお楽しみに(笑)

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【コミカライズ連載中!】
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