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第152話 レアモンスター


「もしかしたらレアモンスターかもしれないね」


「ああ。これだけ探索をしたのにこの階層では初めて見るモンスターだしな」


 レアモンスター――特に明確な定義はないが、その階層でほとんど出現しないモンスターだ。イレギュラーモンスターのようにその階層のモンスターと段違いの強さを誇るわけではなく、イレギュラーモンスターほど発生率が低いわけではない。


 ただ単に出現率が低いだけで弱いモンスターもいるし、珍しいからといって必ず強かったりおいしいモンスターであるとは限らない。


 とはいえ、あのタイタンエレファントというモンスターはかなりの大きさだし、少なくとも弱いということはないだろう。やはりモンスターの身体の大きさは強さに直結することが多い。


「……名前と姿だけは把握しておりますが、あのモンスターの強さまではわからないです。身体も大きいですし、体毛も分厚い。少なくとも耐久力はだいぶありそうですね」


 事前にこの階層の下調べをしている那月さんもあのタイタンエレファントの情報については持っていないようだ。あのモンスターの姿から見るに、雪原階層や寒い階層にしか現れないモンスターなのかもしれない。そもそも雪の積もる階層自体がかなり珍しいからな。


 5メートルほどの高さで大きな鼻と2本の牙を持ったゾウのようなモンスター。ゾウとの違いはその毛深くて分厚い毛皮だ。那月さんの言う通り、耐久力はだいぶありそうだな。もしもマンモスが絶滅していなければ、あのタイタンエレファントのような姿だったのかもしれない。


「どうする、蒼? 向こうは気付いてないみたいだし、無視して進むのもありだよ」


「無駄な戦闘を避けるのも手だが、あんだけ大きなモンスターと戦う経験もあんまりないぜ」


「………………」


 2人の言葉に考え込む那月さん。


 俺としては今まで食べたことがないモンスターだし、ぜひとも倒してその肉の味を知りたいところだが、今日は那月さんたちと一緒に探索をしている。これまでと同様にパーティリーダーの那月さんの指示に従うつもりだ。


 撤退する場合はまたひとりで探索をして探してもいいしな。


「大和の言う通り、この階層での巨大なモンスターとの戦闘経験は後々役に立ちそうだ。とはいえ、無理をするつもりはないから、倒せそうになかったら撤退も常に視野に入れておこう」


「うん、了解だよ」


「ああ、わかったぜ」


 どうやら戦闘を選ぶようだ。確かにこの階層での戦闘経験は貴重だ。少ないとはいえ、こういった階層もあるからな。


「ヒゲダルマさん、申し訳ないのですが、もしも私たちが危なくなったら援護をお願いしてもよろしいでしょうか?」


「ああ、もちろんだ。周囲に近寄ってきたモンスターの相手もするから、あのモンスターとの戦闘に集中してくれ」


「はい、ありがとうございます!」


 那月さんたちなら大丈夫だとは思うが、いざとなったらすぐに援護するとしよう。




「……よし、行くよ!」


「うん!」


「ああ!」


 こちらには気付いていないようなので、しばらく後ろからあとをつけて観察をして、いよいよタイタンエレファントに攻撃を仕掛ける。


 やはり相手に気付かれなかったのはラッキーだったな。こうやって多少なりともモンスターの情報がわかるし、こちらのタイミングで仕掛けられる。


 今のところは動きが遅く、耐久力のあるモンスターに見える。いざとなったら援護をするため、俺もすでに白牙一文字を構えてつつ様子を見守る。


「はっ!」


「おらあっ!」


「ブオオオオ!」


 那月さんと大和さんが同時に攻撃を仕掛ける。


 狙いはタイタンエレファントの両前足だ。あのモンスターの身体はかなり大きいから、まずは四足歩行モンスターの機動力の要である前足を削るのは正しい判断である。


 俺も首を狙って駄目だったら、まずは前足を狙いにいくだろうな。


「……くっ、やはり固い!」


「ちっ、毛皮だけじゃなくて体毛も固えな」


「こっちの投擲したナイフも駄目かあ」


 那月さんと大和さんがロングソードで前足を斬りつけたが、やはり一撃では切断することができなかったようだ。同時に零士さんがナイフを投擲していたが、こちらもタイタンエレファントの身体へ刺さる前にその分厚い体毛により阻まれた。


「ブモオオ!」


 タイタンエレファントが那月さんたちを敵と定め、そちらの方を向いて攻撃を仕掛けてくる。


「動きは遅いけれど、攻撃範囲が広い。あと雪で視界が塞がれないように気を付けて!」


「おう!」


「了解!」


 タイタンエレファントの動きはそれほど速くないが、何せ身体が大きいから攻撃範囲が広い。あの巨大な鼻を振るうだけで辺りに積もった白い雪が舞って視界が妨げられる。


 それに相手は身体が大きくてあまり積もった雪は邪魔にならない。装備を整えたとはいえ、那月さんたちはいちいち雪に足を捕られてしまう。


 那月さんたちは攻撃をかわしつつ何度も攻撃を繰り返すが、相手の防御力はかなりのものらしい。


「ブモッ!」


「やっぱこのままじゃ駄目だな。蒼、使うぞ!」


「僕もいくよ!」


「ああ、了解だよ!」


 3人が合図をすると、真っ赤に燃え上がる炎が3人の武器を纏った。


 そう、3人の武器は51と52階層を探索していた時の武器とは別の物だ。今の那月さんと大和さんのロングソードと零士さんの双剣の柄には大きな魔石が付いている。




※間違えて投稿が1日ずれてしまいました。

次回からいつも通り4日おきの更新となりますm(_ _)m

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