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第141話 お試し


「まずは本格的に探索を始める前にこの横浜ダンジョンの38階層で試してみる予定だ。金色の黄昏団とダンジョンに潜るのはこれが初めてになるから、連携に拙いところもあるかもしれないけれど、そこは温かい目で見守っていてくれ」


"初見パーティで38階層とか馬鹿なの、死ぬのwww"

"いや、金色の黄昏団とヒゲダルマなら分かるけれど、それでも次元がちげえ!"

"でもヒゲダルマがパーティプレイとかは想像できないなあ~"

"金色の黄昏団なら余裕でしょ。むしろ連携とかいらなそう"


 那月さんたちとダンジョンに潜って戦闘をするのは初めてだ。実力があることは知っているけれど、それでいきなり最前線の階層に潜ることはしない。これについては那月さんたちも同意見だった。


 やはり最前線でダンジョン探索を行っている人は慎重で話が早い。あのDQN配信者たちとは違って、モンスターやダンジョンの恐ろしさを十分に理解してくれている。


「38階層は洞窟階層だから見通しも良くてモンスターが現れる方向も限られている。奇襲を受ける可能性が低いから、最初にパーティを組んで戦闘を試すにはうってつけだな」


 横浜ダンジョンの38階層は洞窟型の階層だ。洞窟型の階層はフロアとフロアをつなぐ通路だけだから、基本的にはフロアと通路の方からのモンスターの奇襲を気を付けていればいい。


 空からのモンスターの奇襲もないし、マッピングもしやすい。それこそ虹野が使った誘引の蜜などを使われない限りは比較的探索しやすい階層だ。その次は見通しがよくて障害物もない草原階層が初心者にはおすすめだな。


「たぶんみんな俺の戦闘方法はある程度見たと思うけれど、俺はこの大剣を使って戦う。かなり斬れ味がいいし、こちらも剣を振る時にはかなり気を付けるけれど、みんなも注意してほしい」


 38階層のゲートから出発し、通路を進みながらお互いの情報をすり合わせる。お互いの戦闘スタイルについては昨日の飲み会ですでに話したけれど、最後らへんは俺も多少酔っていたからな。改めて共有するとしよう。


 ちなみにこの階層のモンスターだったら、出現するモンスターの攻撃よりも同士討ちの方が危険になりそうだ。特に俺の武器は攻撃力も高いから注意しないといけない。


「ええ、承知しました。例の50階層のボスモンスターであるデュラハンの戦闘を見て、ヒゲダルマさんの戦い方はある程度は把握しています。私はこのロングソードを使用していますね」


 那月さんは金色の鎧を身につけた騎士のような装備をしている。ロングソードは少し大きめで、盾なんかもない。俺と同じで攻撃力重視の戦闘スタイルのようだ。


「僕は双剣で戦うけれど、モンスターと正面から斬り合うんじゃなくてスピードを活かして敵を少しずつ削っていく戦闘スタイルだよ。止めは蒼や大和に任せることが多いね」


 小柄な零士さんは胸当て、足当て、籠手など、急所とやられると機動力を削いでしまう箇所を必要最低限守る装備で両手に短剣を持つスピード重視のスタイルのようだ。


 反対に攻撃の際はモンスターの足や腕、目などの急所を狙って敵の戦闘力を削いでいき、止めは攻撃力のある那月さんと大和さんに任せるらしい。


「俺は蒼と零士が敵を減らすまで一番攻撃力を持つモンスターを引き付けることが多いか。それと、強烈な攻撃をこの盾で防ぐ役割だな」


 ドレッドヘアで少し強面な大和さんは大きな盾を持ち、那月さんよりも重厚な銀色の鎧を身につけている。ダンジョンの外では身につけられないほど重い鎧でも、身体能力の向上したこのダンジョンの中ではそれも装備可能だ。


 ダンジョンの中にはドラゴンブレスのように強力な攻撃を放つモンスターなんかも存在する。そんな攻撃を防ぐ、いわゆるタンクの役割を持つ者がパーティ内にひとりいるだけで、パーティの生存率は一気に上がるからな。


 どうやらこの金色の黄昏団はとてもバランスの良いパーティみたいだ。それに3人も昔馴染みで名前呼びするくらい仲が良いみたいだしな。


「まずは僕たちパーティでの戦闘を見てもらって、その後にヒゲダルマさんも戦闘を行ってもらう感じでいかがでしょうか?」


「ああ、了解だ」


「何かありましたら、遠慮なく教えてください。ヒゲダルマさんの戦闘を直に見て、いろいろと学ばせてもらいます」


「俺からアドバイスできることなんてあまりないと思うんだがな。それよりも那月さんたちはパーティの戦闘に慣れているみたいだし、これまでずっとソロでやってきた俺の方こそ勉強させてもらうよ」


 華奈や瑠奈たちとダンジョンを探索するようになったとはいえ、これまではずっとダンジョンにソロで潜ってきた。むしろ俺の方がパーティでの戦闘方法を学ばしてもらう気でもいる。


 那月さんたちから学んで2人にも教えてあげるとしよう。……また限定配信のリスナーさんからは過保護だと言われてしまいそうだが、俺も多少は2人を応援したいからな。


"最前線の金色の黄昏団の戦闘が配信で見られるとか神かよ!"

"このあとは50階層以上にも行くんでしょ! 最高に盛り上がってキマシタワー!"

"こりゃ余裕で金がとれる配信だぜ!"


 普段最前線で攻略をしている探索者が配信に出ることは結構稀らしいから、リスナーたちも盛り上がっている。俺の普段の配信よりも同接数がかなり多い。きっとリスナーさんが拡散してくれているのだろう。


「グルルル!」


 おっと、腕輪のコメントを読んでいたら、早速モンスターが現れたか。さて、集中するとしよう。


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