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第132話 川のセーフエリア


「……確かにセーフエリアでモンスターも入ってこれないからできるっちゃできるけれど、別にわざわざダンジョンの中で水着になって泳がなくても――」


「ぜひ、バーベキューをしましょう!」


「うん、川で水遊びをしながらバーベキューなんて最高だね!」


 なぜか食い気味で華奈と瑠奈が賛成してきた。


「いやまあ、2人がいいならいいんだけれど……」


 今回は40階層のボスモンスター討伐のお祝いだし、2人がそうしたいのなら別に構わないが。


"うおおおおおお! 水着水着水着水着! あっ、ヒゲダルマの水着姿は死ぬほどどうでもいいです! @XYZ"

"華奈ちゃんと瑠奈ちゃんの水着配信とか神回すぎる!! @ルートビア"

"うむ、これは男としても期待せざるを得ないな! @†通りすがりのキャンパー†"

"2人にとってもいろいろとチャンスかもしれないね~ @WAKABA"

"3人の水着姿か! @たんたんタヌキの金"


「………………」


 ああ、そういうことか。


 華奈と瑠奈の水着姿が見られるかもしれないとリスナーさんたちが非常に盛り上がっている。まあ、普通の男なら2人の水着姿を見たいと思うのが正常だよな。


 俺もこのダンジョンに潜る原因のひとつが女関係でなければ、間違いなく2人の水着姿は見たいと思っていただろう。とはいえ、2人が賛成してリスナーのみんなが喜んでくれるなら、特に反対する理由もないか。


「分かった、それじゃあ来週は41階層のセーフエリアでバーベキューをしよう。基本的な食材と道具はこっちで持っていくから、何かほしいものがあれば準備してきてくれ」


「はい! いろいろと準備しておきますね! うう……もう少しダイエットしておけば良かったです」


「僕も急いで新しい水着を買いに行かないと!」


 ……いや、食材について言ったんだけれどな。


 まあ、最近はDQN配信者のこともあり、だいぶ忙しくてイライラとさせられてきたからな。久しぶりにのんびりと過ごすのも悪くないだろう。


 さて、俺の方は俺の方でいろいろと食材を準備しておくとするか。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「うわっ、本当に大きい川だね!」


「ダンジョンの中にもこんな場所があるんですね!」


「川や湖なんかを含んでいるセーフエリアはかなり珍しいからな」


 そして次の週、華奈と瑠奈と一緒に41階層にあるセーフエリアへとやってきた。


 この階層は森林のエリアとなっていて、森の中を大きな川が流れている。その川の下流に位置するセーフエリアにはちょうど半分と河原に光り輝くセーフエリアの境界があった。


 仕組みは分からないけれど、なぜかダンジョン内のモンスターはこのセーフエリアへ入ってこようとはしない。モンスターによる検証で、セーフエリアに入れないというわけではなく、入ったところでダメージを与えられるわけではないのだが、セーフエリアに近付くのを酷く嫌がるようだ。何かモンスターにだけ嫌がる匂いなどが出ているのかもしれない。


"キタキタキタ~! @ケチャラー"

"水着水着水着~! @ルートビア" 

"とっても綺麗な川だね~ @WAKABA"


 2人の水着が見られるということもあって、リスナーさんたちのテンションも非常に高い。この階層は2人の最高到達階層ということだけあって、来る時はだいぶ慎重に来たが、セーフエリアまで来れば一安心だ。


 みんなの希望もあって配信時間を夕方にしたこともあって、今日はリスナーさんが全員揃っている。夕方と言ってもダンジョンの中は常に昼間のように明るい。そして雨も降らないので、今日は川で水浴びができそうである。


 当然今日の配信は限定配信なので、俺が以前に招待したリスナーさんしか今の配信を見ることはできない。


「この辺りでいいか。それじゃあまずは小屋を出してと……」


 マジックバッグから小さな小屋を取り出す。


「すごっ! こんなものまでマジックバッグに入るんだね」


「とりあえず自分で持てさえすれば何でも入るみたいだぞ」


 5メートル四方の小さな移動式の木製小屋だけれど、もちろんダンジョンの外ではこんな重いものを持てるわけがない。だが、ダンジョン内ではこれくらいの物なら軽々と持てる。


「着替えはここでしてくれ。荷物なんかも置いといていいからな」


 この河原には視界を遮るものはない。俺はともかく、2人の着替える場所は必要だ。


「ありがとうね、ヒゲさん! ちょっとくらいなら覗いてもいいよ!」


「ちょっ、ちょっと瑠奈、何を言っているのよ!」


「……社会的にいろいろと終わるからそんなことはしないぞ。華奈も安心してくれ」


「は、はい! ヒゲダルマさんはそんなことをしないと信じているので大丈夫です。でもちょっとくらい……いえ、何でもありません!」


「ちぇっ、もっと慌ててくれてもいいのにね!」


 そんなことを言いながら華奈と瑠奈は小屋へと入っていった。


 さて、俺の方もいろいろと準備をするか。


"ヒゲダルマ、分かっているな! 今のは完全に着替えをのぞいてくれというフラグだぞ! @XYZ"

"うむ。ヒゲダルマは捕まるだろうが、男にはやらなければならない時がある! @†通りすがりのキャンパー†"

"2人のあられもない姿が見られるのなら、ヒゲダルマが逮捕されるくらい惜しくはない! @月面騎士"


「……いや、完全に犯罪だからな」


 のぞきという行為が許されるのはフィクションの中だけである。着替えや風呂をのぞいたら普通は捕まるからな。


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