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第123話 ギガントキャロキア


 ダンジョン産の唐辛子であるギガントキャロキア――こいつは現在のところ世界で一番辛い唐辛子として有名になっている。俺は毒の耐性があるから大丈夫だが、常人なら素手で触っただけで手が爛れるヤバいやつだ。


 そしてこのダンジョンの深い階層にはこれよりもヤバイ唐辛子が存在したりする。あれは俺でも食べられないくらいヤバい代物だった……


 さすがにそれをこいつらに食わせたらショック死する可能性もあるというリスナーさんの意見もあって、それよりも辛さが数段落ちるこのギガントキャロキアを用意した。


「さっさとあの動画を消さないとこいつを……」


「わ、分かった! あの動画を削除するからデバイスを貸してくれ!」


「………………」


 俺が言葉を言い切る前に降参するリーダーのユキヤという男。もう少し根性を見せろよとも思うが、さすがにこの状況で俺に逆らっても無駄だと諦めたのだろう。ある意味懸命な判断だ。


 この男のデバイスを渡し、変な真似をしないかを監視しながら例のでっち上げ動画を削除させる。


 このままこいつらのチャンネルごと削除させるという手段もみんなで相談したのだが、さすがにそれはちょっと不自然ということもあってまずは例の動画だけだ。


 こいつらのチャンネルについては今日こいつらを拉致するまでに取った数々の犯罪まがいの行為やダンジョン内での禁止行為の動画があるので、こいつを数日後にダンジョン協会に提出してBANしてもらうつもりである。


 俺にはよく分からないが、配信チャンネルをBANされると自分から配信チャンネルを削除させるのとは異なり、新たに配信チャンネルを作ったり収益も受け取れなくなるらしい。


 それにしても、たったの数日間監視をしていただけで、よくここまで違反できるなと感心するほどの酷い言動だった。きっと放っておいてもこいつらの場合は配信チャンネルがBANされるのも時間の問題だっただろうな。




「ほ、ほら消したぞ! これでいいだろう!」


「……よし、ちゃんと消えているみたいだな」


 俺自身も動画が削除されていることを確認し、念のためグループ連絡でリスナーのみんなにも確認してもらった。


「い、言う通りにしたんだから、さっさと俺たちを解放しろよ!」


「そうだ! これで満足だろ!」


 動画を削除するとDQN配信者たちが叫び出す。


 いやいや、さすがにこれだけで開放するわけがないだろうに……


「それじゃあ次はこの動画の大元の動画と、他にもあった動画データを削除してもらうか」


「「「………………」」」


 当然動画は配信チャンネルに上がっている物だけでなく、元のデータがあるはずだ。そしてこいつらの動画には他にも女性にセクハラまがいなことを仕掛けているような迷惑動画もあった。


 こいつらのことだから、たとえ動画を消したところでほとぼりが冷めたらまたあの動画をあげ直すに違いない。他の胸糞悪い動画も合わせて削除するとしよう。


「おっと、その前にさっきの動画を削除した際のペナルティを与えないとな」


 そう言いつつ俺は手に持っていたギガントキャロキアをDQN配信者たちに見せる。


「なっ、ちゃんと言う通りに動画を削除しただろ!」


 デバイスを操作して動画を削除したリーダーのユキヤが叫んだ。


「ああ、安心しろ。ペナルティを受けるのはおまえじゃなくて他の3人だ」


「なにっ!?」


「はあ!? なんで俺たちが!」


「ふざけんなよ!」


「こいつはちゃんと俺の言うことに従ったからな。ペナルティを与えるのは俺の言うことに従わなかったおまえら3人だ。ほら、口の中に入れてやるからしっかりと味わえよ」


「や、やめろ! ぎゃああああ!」


「がはっ! げほっ! ごほっ!」


「ぎええええ!」


 当然素直に食べるわけはなく、口を閉じて顔を俺から背けるが、力づくで無理やり口を開けてギガントキャロキアを放り込み、無理やりしばらくの間咀嚼させる。


 DQN配信者はもだえ苦しみながら暴れて悲鳴を上げる。


 ……すごいな。たった一口食べさせただけでDQN配信者がのたうち回り、汗が滝のように吹き出て、目からは涙と鼻からは鼻水が流れ出てきた。


 うん、やっぱりこれは人が食べる物じゃない……




「さて、それじゃあ次はさっき言っていたこの動画の大元と他の動画が保存してある場所を教えてもらおうか」


 3人がしばらくもだえ苦しんだあと、改めて質問を再開する。


「ふは、ははひ!」


「ふぉふぉひひふ!」


「ひひひ!」


 どうやら先ほどのギガントキャロキアがよっぽどヤバかったらしくてまともに喋れないようだが、3人がものすごい勢いで声をあげた。


「……今回はそっちの茶髪の男が一番早かったな。とはいえ、このままじゃまともに喋れなそうだからポーションを飲ませてやろう。あとちゃんと話したら冷えたミルクもやるからな」


 俺がそう伝えると茶髪の男の顔が一気に明るくなった。いわゆる飴と鞭の飴だが、まさかここまで効果的だとはな。よっぽどこのギガントキャロキアが地獄の苦しみだったらしい。


「もしこいつが嘘を吐いていたら他のやつは教えてくれ。その場合嘘を吐いたこいつにはさっきのギガントキャロキアを1/3じゃなくて、丸々一個を食わせるからな。そして嘘を教えてくれたやつにはポーションとミルクをやろう」


「……うわっ、死ぬほどの辛さが一気になくなった! これがポーションの力かよ! だけどまだ口の中が辛い! は、はやくミルクを!」


「それは大元の動画の場所を確認出来たらだ。ほら、こいつがお前のデバイスだったな」


「わ、分かった!」


 ポーションを少しだけ飲ませてやると、茶髪の男はまともに喋れるようになった。そのまま俺の言う通り素直に従っていく。


 そして俺の言うことに素直に従った茶髪の男にはポーションと冷たいミルクを与え、ユキヤと他の2人には再びギガントキャロキアを口の中に放り込んだ。先ほどと同様に悶えて苦しんだあと、3人が茶髪の男を睨んでいる。


 そう、これこそがリスナーさんたちが考えてくれた作戦だ。ただ単純に脅して動画と配信チャンネルを削除させただけだと、間違いなくこいつらは同じことを繰り返す。それこそ夜桜や華奈や瑠奈まで被害が及ぶ可能性もある。


 それを防ぐためにもこいつらの心を徹底的に折る。加えて飴と鞭をうまく使い、こいつら同士で憎しみ合うように誘導するわけだ。


 ……改めて考えてもえげつない作戦だよなあ。


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― 新着の感想 ―
誰だこんなひどい作戦思い付いたのはっ?! イイゾもっとやれ、ぬるいぞ強炭酸水を飲ませるんだ(笑)
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