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第117話 何かあった時は


「それにしても、ダンジョンで獲ってきたモンスターの肉とか、俺が作った燻製肉とかで本当に良かったのか?」


「ああ、もちろんだ! 配信で見ていたころからずっと食べたいと思っていたんだ! ブラックドラゴンの燻製肉はちゃんと入っているよな!」


「ああ、多めに入れておいたぞ」


 今回の件についてと、これまで配信でいろいろとアドバイスをくれていたお礼にXYZさんへいろいろと渡したいと提案したところ、お金やマジックアイテムではなく、ダンジョンで獲れたモンスターの肉や食材、その肉を使って俺が作った燻製肉なんかを希望していた。


「いや~こいつはありがたい。嫁さんや娘へのいい土産になるよ」


 どうやらXYZさんは結婚していて子供もいるようだ。俺の周りにあまり既婚者はいないが、俺の配信を見てくれているリスナーさんの中には当然既婚者もいるのだろう。


「鳥取の近くにはダンジョンがないから、ダンジョン産の食材はかなり貴重なんだよ。その上市場にはほとんど出回らないブラックドラゴン肉なんかだから、楽しみで仕方がないぞ!」


「喜んでくれて良かったよ。確かにその辺りだと一番近いのは福岡ダンジョンだから、かなりダンジョンから離れてしまうな」


 当然ながらダンジョンから離れれば離れるほど、輸送費の問題もあってダンジョン産の食材は高く入手しづらくなってしまう。そのこともあって、ダンジョンができた都市の付近はより栄える傾向がある。


「マジックポーチは今度会った時に返すからな」


「いや。マジックポーチは結構な数を持っているからそのまま使ってくれ。どちらにしろそいつは容量の少ないやつだから大丈夫だ」


「……ヒゲダルマのそれはアテにならないからなあ。でも、確かに昔がむしゃらにダンジョン攻略をしていた時はたくさん出てたか。市場ではかなりの高値で売買されているのに、ヒゲダルマはまったく興味がなさそうだったよな」


「あの頃はダンジョン攻略に必要なマジックアイテム以外は興味なかったからなあ。今思えば、あの頃はなんであそこまでダンジョンをひたすら攻略してたんだか……」


「みんなで止めたのに無茶しまくっていたからな。今は攻略をやめてのんびりとした配信になってほっとしたよ。個人的には今のダンジョン飯の配信の方が好きだぞ。それじゃあ、ありがたくこのマジックポーチも使わせてもらうよ」

 

「ああ、何かあったら遠慮なく売って金に変えてくれていいぞ。XYZさんには今までたくさんお世話になったからな。ダンジョン産の食材もそうだが、何か困ったことがあったら、遠慮なく相談してくれ」


「……実は正直なところ、今回ヒゲダルマに直接会おうと思ったのは夜桜さんのこともあるんだが、そういう下心もちょっとあったんだ」


「何かあるのか? 俺ができることなら、いくらでも協力するぞ!」


「いや、今はないから大丈夫だ。ただ、最近タヌ金や月面騎士がダンジョンの外で大変な目にあって思うところがあってな。もちろんできる限りヒゲダルマの力を借りるつもりはないが、嫁さんや娘のことで、俺だけじゃどうにもならなくなった時、俺もなりふり構わずヒゲダルマに助けを求めると思う。その時はぜひ力を貸してほしい」


 XYZさんが真面目な眼差しで俺を見つめ、そのあとに頭を下げる。


「ああ、もちろんだ! その時には遠慮なく頼ってくれ! 鳥取だろうと外国だろうと、どこへでも駆け付けるからな!」


 XYZさんやリスナーさんはその全員が俺の命の恩人だ。俺がどん底で困っている時に優しく手を伸ばし、俺を励ましてアドバイスをくれた。


 俺はその恩を一生忘れない! みんなが困っている時には全力でみんなの力になると決めている。


「……ヒゲダルマらしいな。今日はヒゲダルマに会えて良かったよ。さすがに今は込み入った状況だが、またこっちに出張で来た時には飲みにでも行こう」


「ああ、楽しみだな。俺もXYZさんに会えて良かったし、今回の件は本当に助かった。またこっちに来てくれる時はうまい酒のツマミでも作って歓迎するぞ」


 俺もダンジョンの中では常に油断しないようにあまり酒は飲まないようにしているが、酒は人並みに飲める。今は夜桜とDQN配信者のせいで忙しいが、今度はぜひXYZさんと酒を飲み交わしたい。


 それこそ例のXYZというカクテルを飲んでみてもいいかもしれないな。


「今度来た時はリアルで月面騎士にも会ってみたいから、一緒に飲みに誘ってみるとするか」


「ああ、それはいいな。月面騎士さんも酒は飲めると言っていたぞ」


「おお、そりゃいい。せっかくなら他のやつらも誘ってオフ会をしてみてもいいかもしれないな! 他のみんながどこに住んでいるのかは知らないが、タヌ金のやつはこの辺りに住んでいるんだろ? あいつは俺よりも年上っぽいし、酒も飲めるだろうしな」


「……まあ、集まれる人だけ誘って、みんなで集まるのも楽しいかもしれないな」


 さすがにタヌ金さんは誘っても来ないかもしれないなあ……


 女子高生か女子中学生くらいだろうし、酒は間違いなく飲めないだろう。もしかしたら他のリスナーのみんなには秘密にしておきたいという気持ちもあるかもしれない。


 とはいえ、確かにリスナーのみんなには実際に会ってみたいし、これまで応援してくれてアドバイスをくれたお礼もしたい。XYZさんみたいに埼玉から遠くて来られないリスナーさんも多いと思うけれど、誘ってみてもいいかもな。


 その際は華奈と瑠奈や夜桜たちも誘って、みんなで集まってバーベキューなんかをしてみても楽しいだろう。俺も知っているが、こういうのをオフ会と言うんだよな。


 うん、いつかはみんなでそういうことをしてみてもいいんじゃないか。


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― 新着の感想 ―
某漫画のエピソードが強くてマイナスイメージのカクテルですが、これ以上無い、最高と言う意味もあるんですよね。 いつもいつもそう言う意味で使われるので残念でなりません。
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