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第108話 束の間のローストドラゴン


"そういえばダンジョン協会が何か仕掛けてくると思ったけれど、特に何もなかったね。 @月面騎士"

"さすがに依頼の初回から何か仕掛けてくるほど相手も馬鹿じゃないと思うぞ。ヒゲダルマを亡き者にするなら何度か依頼をこなして安心したところでブスリといくだろうな。 @たんたんタヌキの金"

"ダンジョンの外で事を起こすのはまずいけれど、さすがにヒゲダルマを狙うならダンジョン内は厳しい。自分ならダンジョンの外に出たところをブスリといくな。 @XYZ"


「………………」


 とりあえず仮定の話なのは分かるけれど、どうやって俺をブスリといくかの話は止めような。


 もちろん俺もダンジョンの外での襲撃のことについてはちゃんと用心している。常に奇襲対策のマジックリフレクションなどのマジックアイテムを身に付けているからな。


 とはいえ、さすがにダンジョンの外でそんなことをしたら即座に大問題となるから、そんなことをしてこないと信じたい。


"邪魔者を排除するんじゃなくて、利用しようとしているとか定番だよな! @XYZ"

"虹野みたいにいいように利用してポイが妥当なところじゃないか? @†通りすがりのキャンパー†"

"でも相手はヒゲダルマさんだからね~ @WAKABA"

"お金じゃ釣れないし、ダンジョンの外には家もないから失うものもないぞw @XYZ"

"ある意味無敵すぎるwww @ルートビア"


「ダンジョン協会に利用されるつもりもないぞ。いざとなれば、ダンジョンの奥でずっと引きこもればいいだけだからな」


 仮にダンジョン協会が何か仕掛けようとして来ても、ダンジョンの80階層以降に引きこもってしまえば、相手は何もできないだろう。水はマジックアイテムで、食料なんかはダンジョン内でいくらでも確保できるからな。


 ……唯一米と調味料だけは何とかして確保しておきたいところだ。念のため夜桜に数年分の米や調味料を用意してもらっておくのもありかもしれない。今回の件でお金もかなりもらえるらしいからな。


"ヒゲダルマの最強の切り札はそれだからなw ダンジョン内で自給自足できるというのもすごい話だが…… @†通りすがりのキャンパー†"

"無敵の人よりもさらに無敵で草w @ルートビア"

"まあ、この先は気に入った依頼だけ気を付けながら受ければいいんじゃないか? 大宮ダンジョンの深い階層でのイレギュラーモンスターなんて、年にそう何回も発生するわけじゃないし。 @たんたんタヌキの金"


「今のところはそのつもりだな。これまで以上に積極的に協力するつもりもないし、こっちに何かあった時に手を貸してもらえるくらいの恩を売っておくくらいがちょうどいい気がする」


"あんまり距離を近付けすぎても、遠ざけすぎるのも良くない気がするね~ @WAKABA"

"うん、こちらからはダンジョン協会に積極的に近付き過ぎないのがいいと思う。 @月面騎士"


 どうやらリスナーさんも同意見のようだな。とりあえず、今のところは問題なさそうだが、しっかりと警戒はしていくとしよう。




「うわっ、このお肉はとってもおいしいね!」


「本当ですね! それに見た目もとても綺麗です」


「気に入ってもらえてよかったよ。ローストドラゴンは時間が多少かかる料理だからな」


 今日用意した料理はローストドラゴンだ。調理法は普通のローストビーフなどと同じで、最初に表面をしっかりと焼き、そのあとは時間をかけてじっくりと蒸し焼きにして中へ火を通す。見た目はまだ赤いが、しっかりと中まで火が通っているから、半分レアな肉の状態で食べることができる。


 普通のローストビーフとは異なり、ブラックドラゴンの肉を使用しているから、色的にはレッドドラゴンの肉の方が鮮やかな赤色に見えるかもしれないが、味はこちらのブラックドラゴンの方が上だ。


「やっぱりヒゲダルマさんは料理が上手ですね。ちょっとだけ自信を無くしちゃいます……」


「うん、僕が作ったご飯よりもおいしいと思う……」


「俺の場合は料理がうまいというよりも、食材ありきな気がするぞ。それに料理といっても男飯というかキャンプ飯みたいなのが多いから、この前作ってもらった弁当みたいに栄養や色合いのバランスを考えて作ってくれた料理の方が俺は好きだな」


 俺が作る料理は基本的にメインの料理とご飯に味噌汁くらいで、副菜はほとんど作らないからな。それにダンジョン内で収穫した野菜も食べるけれど、基本的には栄養なんてあまり考えていない肉多めの生活になっている。


 この前2人にもらったお弁当や朝食はその辺りのこともしっかりと考えられていた。ああいう料理を作れる方がよっぽど料理上手だと思うぞ。


「本当ですか!」


「頑張って作った甲斐があったね、お姉!」


 料理を褒められて嬉しそうにしている華奈と瑠奈。そこまで喜ぶほどのことでもないだろうに。


"ふふふ、ご馳走様~ 見ているだけでお腹がいっぱいになりそうだよ。 @WAKABA"

"爆ぜろ、リア充! 滅せよ、ヒゲ! @ルートビア"

"これは10回くらい処刑してもお釣りがくるな! @XYZ"

"くっ、せっかく処刑方法は決まったのに、肝心の処刑を実行できるやつがいない件…… @†通りすがりのキャンパー†"


 ……最近2人とこういうやり取りをしていると、リスナーさんたちの反応が怖い。


「あの、ヒゲダルマさんがよろしければ、またお弁当を作ってきましょうか?」


「いつもご馳走になっているし、今度は僕たちがまた作ってくるよ!」


「………………」


 それはそれで嬉しい申し出なのだが、2人の発言を聞いたリスナーさんのコメント欄がさらに荒れている。


 確かにああいったバランスの取れた弁当をたまにでも食べられるのはとてもありがたいのだが、どうしたものかな……


"ちょっ、ヒゲダルマ! これはいろいろとまずいんじゃないか! @月面騎士"


 俺が返事を迷っていると、月面騎士さんから俺に直接ひとつの動画リンクが送られてきた。


 あれ、なんだかデジャブな気しかしないんだが……


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