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境界  作者: 柿生透
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静けさ


楽しんで頂けたら幸いです。



 「実はさ、誘った側が言うのもアレだけど……今日ここ行くの、結構ギリギリで許されたんだ」


 朝陽がポツリと呟く。盛り上がる遊園地の中では、不釣り合いなほど静かな声だった。


 「え?」


 思いがけない言葉に、柊月は手を止めて朝陽に目を向ける。


 暁もうんうんと頷く。


 「そうなの?大丈夫?」


 「家が厳しいのか?」


 響と勇一郎も案じるような声を出す。


 「大丈夫、大丈夫。ウチは父親が厳しいんだけど、最近はそうでもなくてさ」


 「何日か前に、行っていいかまた聞いてみたら、いいって言われたの」


 そうなんだ、と依が安心したように微笑む。


 「まあ許されなくても、こっそり行くつもりだったけどな」


 朝陽は冗談めかして笑った。


 「けど、近頃はなんだか微妙に優しいから、逆に心配なんだよね」


 そう言って、暁はジュースをストローで吸う。


 太陽がパラソルの上へ移動したためか、テラス席のテーブルは暗くなっていた。


 周囲のざわめきが、どこか遠くに感じられる。


 「もう高校生なんだし、口出しするのやめたんじゃない?」


 「だと思う」


 朝陽と暁は同意して、再び食事に戻った。


 それでこの話はおしまいだった。




 「嵐の前の静けさ、じゃないといいけどな……」


 勇一郎はボソッと、誰にも聞こえないように小声で呟いた。



読んで頂いてありがとうございます!

感想等いつでもお待ちしてます!


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