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境界  作者: 柿生透
97/99

喋らずに


楽しんで頂けたら幸いです!


1/20(火)、加筆修正しました。よろしくお願いします。



 

 堀を軽く助走して跳び越え、鳥居の脇を通り抜ける。ここからはもう安全地帯ではない。都市に入るのだ。


 その瞬間から柊月と依は口を閉ざした。


 響はそんな2人の様子に気づき、「僕達がいるから大丈夫」と声をかけると勇一郎に目配せした。勇一郎も無言で頷く。





 やがてたどり着いた駅のホームは、人でごった返しになっていた。同じ日本とは思えない、と柊月は心の中で呟く。


 「……」


 満員電車の中、柊月は周囲の会話に耳を傾ける。


 「この後……でイベントがあって……」


 「ご飯何にする?」


 「待ち合わせしてから行こうか……」


 なんてことない、ありふれた会話である。



 それでも柊月は思う。


 彼らもまた、口に出してはいけない言葉を避けながら生活しているのだろうか、と。





 待ち合わせ場所の駅構内は、人でごった返していた。その混雑ぶりは、元の世界と何ら変わらない。


 柊月は3人からはぐれないよう歩きつつ、目をせわしなく動かしていた。


 そして、ふと視線がぶつかる。


 「あっ」


 思わず声が漏れた。


 そのぶつかった視線の主は暁で、朝陽も隣にいる。


 「おーい」


 「ここだよ!」




読んで頂いてありがとうございます!

感想等いつでもお待ちしてます!


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