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遊ぶ
「すごい子達だったね」
柊月は勉強会が終わった後、依に話しかけた。
「癖の強いって意味が分かった気がする」
「でしょ?」
「先生達がすごい必死になってたし…」
「あの先生達は児童福祉の人で、兼任してるんだって。…それとあまり大きい声で言えないんだけど…、ああいう子達ってみんな『都市』から来ているんだよね」
主人の澪も言及していたことを柊月は思い出した。
「都市?都会から?何か訳があるのかな…」
「ね。でもそれで最近問題か何かあるらしくてね…そのうちご主人様が詳しいこと伝えると思う」
依は声を顰めて言った。
柊月は子供達と公園に行った時のことを思い出す。
わーっとはしゃいで遊具に駆け寄る子。木登りしたり土を掘ったり虫を捕まえて遊ぶ子がいる一方で、ボーッとして何もせず突っ立っている子、そもそも公園や広場に行きたがらず家に残る子もいた。
勉強をしたくなくて、遊びに行こうと外へ出ることは分かる。
しかし、遊ぶことすらしないのはどうにも腑に落ちなかった。