笑い出す
楽しんで頂けたら幸いです。
この世界へ来た時。
あの日は何の変哲もない一日だった。友達と喧嘩したわけでも、逆に特別嬉しい出来事があったわけでもない。
ただ下校中に何となく違う道を選んだ、平凡な日。予兆めいたことなど、一つもなかった。
それが、気付いた時には『こちら』の世界に居た。特に特徴もないただの高校生の自分が、いきなり異世界に放り込まれたのだ。しかもそこにはかつての同級生だった友人もいた。そして何とか元の世界に戻ろう、せめて生き延びようと、必死にもがいている。
なぜこうなったのか、原因や理由を考えても皆目見当がつかない。唯一、友達の依がいたことには救われたが、それでもなぜお互いここへ来てしまったのか、分かったわけではない。
自分達に降りかかってきたのはただの不条理だ。人が思い描く軌道からは、遠くかけ離れた現実。
まるで神が悪戯しているような……。
そんな人の手に負えない理不尽に、自分は今襲われているのだ。
この世界に来るまで柊月は大学や就活、勉強など将来に対して人並みに計画を立て、思いを巡らせていた。
しかし『こちら』の世界にいる今となっては、そんなものは何の意味も持たない。
柊月は周りをもう一度見渡す。
子供がいるであろう、数人の大人達は法円や壮市に対して
「一体どういうことなんですか、説明してくれないと分かりません」
「私たちは子どもの将来を案じているんだ!」
と大声で叫んでいる。
彼らはまだ小学校にすら上がってない子供の今後や、成人した暁のことを心配しているのだ。
その光景を目にした柊月は、思わず笑い出してしまった。
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