劇薬
楽しんで頂けたら幸いです。
しかし、雲行きが怪しくなったのはここからだった。
「小学生の内からたくさん子に勉強をさせているご両親も見かけます。しかし、正直なところ私はそれを肯定することは出来ません。子供の存在を認めてないことになりますから」
法円のその言葉に聴衆の一部がざわつき出す。
「え……」
「勉強はさせた方がいいんじゃ……」
「存在を認めない……?」
部屋の端にいた壮市がこの場を収めようと助け舟を出す。
「この人は、勉強し過ぎるのも良くないって言ってるのよ。頭でっかちになるからって」
「えぇ、何ですかそれ……」
そのまま数人が疑問の声を上げる。どうやら余計に混乱させたようだ。
「子供が小さい時から勉強させ、ゆくゆくは難関大学へ行く、と今のうちに決めるのもあまり賛成出来ません」
「大学行ったらバカになる、とも言われてるしね」
「えぇ!?」
「はっ?」
法円と壮市の掛け合いに一部は驚きの声を上げる。勉強をさせることを否定されたり、「大学に行くとバカになる」などという言葉を耳にするのは、彼らにとって初めてだったのだろう。
「勉強させるな、なんて時代錯誤な…」
「将来ばかりを見据えて、子供の現状を肯定しないことが問題なのです。まず子供が生きていること自体奇跡なのですから……」
「え、ここでは子供がすぐ死んでしまうんですか!?」
「そうではなく」
「勉強させて受験や就職が上手くいってほしいだけなのに」
「なるべく偏差値の高い大学に入って、就職先も安定させた方が心配ないじゃないですか……!」
次々と声が上がる聴衆らにちょっと落ち着いて、と柊月は心の中で呟く。どうやら彼らにとってこの説法は劇薬だったようだ。
「子供の教育に良いと聞いたからここへ来たのに!」
「その考え自体が相容れませんな」
壮市もため息を吐きながら答えた。
柊月は説法に耳を傾けながら、ふとこの世界へ来た日のことを思い返す。
読んで頂いてありがとうございます!
書いてて思ったのですが、劇薬という言葉の使い方もしかして間違ってる……?
あとでまた修正するかもしれません。
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