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教える
「ねぇ、依は喋らないほうがいいって言ったじゃない?」
柊月は考えていたことを依に切り出した。
「私勉強教えて大丈夫なのかな」
教えるということは喋って説明するということなのだからと柊月は悩んでいた。
「私も最初はそう思っていたけど、あくまで小学生や小さい子の勉強だからそれは大丈夫だと思う。…ただ念の為、国語はやめたほうがいい」
私も国語は教えてないと依は答えた。
「にしても、今日は特に癖の強い子達が多い日だ…」
そして依はため息を吐きながら小さく呟いた。
「今日から新しくお勉強のお手伝いをしてくれる柊月さんです。みんな拍手!」
先生から紹介された柊月の視界に入るのは幼稚園児から小学校低学年ほどの子供達だ。人数は20人いないくらいだろうか。
こちらを見て拍手する子。床か何か下を向いて俯いてる子。ボーッと虚空を見つめている子。今すぐにでも駆け回りたいのか立ち上がって走ろうとする子とそれを止める他の先生。
その様子を見ながら柊月はよろしくお願いしますと挨拶した。
「よろしくお願いしまーす!」
そう返事した子供達は半分もいなかった。