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境界  作者: 柿生透
53/99

皮肉


楽しんで頂けたら幸いです。



 「全く、最近勉強に身が入ってないと思っていたら…」


 戸野家では警察が帰ったあと、父親はリビングにどかっと座りビールを煽った。


 「家出なんて俺に対する当てつけか!?」


 大声を出してガン!と飲んでいたビールのコップでテーブルを叩く。顔は赤く染まり、目を三角にして憤慨していた。


 警官がいた時の様子からは想像できないほどの横暴ぶりだった。


 「まだ、家出と決まったわけじゃ…誘拐の可能性だって…」


 「お前俺に隠れてあいつを甘やかしてたんじゃないのか!」


 そう言って拳を壁にドン!とぶつけた。母親はビクッと体を震わせる。



 父親が投げ散らかした食器やグラスの破片が床一面に散らばった。母親は一つずつ拾っていく。


 あぁ、今日も機嫌が悪い。警察が自宅に来て、近所の人から注目を浴びてしまったからいつもよりひどい。


 母親の腹や背中には赤や青、紫色のあざがまだ残っていた。服で隠れて見えないところを殴るのだから、本当にやり方が姑息である。風磨の小さな体にも同じ模様が存在しているのだ。



 母親はふと、1週間ほど前に息子が言った言葉を思い出す。


 『勉強することって自分が変わることなんだって交換授業のお坊さんが言ってた』


 『え、どういうこと…?』


 『勉強したり何か知ったりすると、世界が変わったように見えるんだって。周りは何も変わってないのに違うように見えるのは、それが自分が変わった証拠だって言ってた』


 『あぁ…』


 話の理屈自体は理解出来るが、感覚としては分かりづらいものだった。


 「僕も、いつか今の自分から変わっていくのかな」


 遠い目をして、体を震わせながら風馬はそう呟いた。



 荒れ狂った父親と、破片やゴミで散乱したリビングが目の前に広がっている。



 誘拐で悪い大人に連れて行かれたのならともかく、風馬が自分の意思で家出したというのなら。



 むしろそっちの方がいいかもしれない。




 リビングにある破片を拾って掃除しながら、母親は父親を横目でチラリと見る。


 この男はおそらく、勉強は自分という存在を補強してくれるものとしか考えてないだろう。


 自分が変わるなんてこと、間違っても思っていない。




 でもこの人を見ていて、確かに人は変わるものだと確信した。



 だって警察官の前にいる時と今の様子とでは、まるで別人に見えるのだから。



読んで頂いてありがとうございます!


最後の皮肉は伝わりましたでしょうか…?分かりづらくて申し訳ありません!


感想等いつでもお待ちしてます!


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