赤子
投稿遅れてしまいすみません!
楽しんで頂けたら幸いです!
4/9(水)20(日)加筆修正しました。
「はぁ、お腹が…」
そう呟いたのは現在妊娠中の香葉だった。
「もう、生まれる、かも…」
その言葉と苦しそうな様子に、柊月と依が慌てて彼女に駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか?」
2人があたふたしながら心配していると、海莉や家の者達も駆け寄り
「今すぐ産婆さん呼ぶわね」
と言って香葉は布団に寝かされた。
「2人とも心配ありがとう。あとは任せてね」
大丈夫なのかと背後で心配する小中高生達も、法円が落ち着かせる。
「皆さん、落ち着いて」
私たちは無事赤子が生まれるよう祈りましょうと伝えた。
「産婆さんって、助産師さんのことだよね」
香葉が別室に運ばれた後、柊月は依に耳打ちする。あまり聞き慣れない言葉だった。
「うん、昔の呼び方」
「家に呼ぶって言ってたけど、病院に行かないのかな」
2人でこそこそ話していると
「ここでは出産は自宅で行うんですよ」
と聞いていたのか法円が会話に参加してきた。
「わっ。…え、そうなんですか?」
驚きつつも柊月と依は話を聞く。
「えぇ、都市では病院がほとんどでしょうが、妊娠は病気でないから家で出産していいのですよ」
そして、皆各々農作業に出たり、家事手伝いをして数時間経った頃。
「ンギャ、ンギャァ…」
赤子の泣く声が部屋に響いた。
「おめでとう、元気な男の子よ」
産婆がそう言って赤子を香葉の胸に持っていく。
赤ん坊が生まれたことはすぐに小中高生に伝えられた。
「可愛いー!」
小学生や女子を中心にそんな声が湧き出る。
「ちっさ…!」
そう驚いている者もいる。
「この子の名前は周にしましょう」
これだけの周りの人に祝われたのだからと言って、香葉と夫の凌士は赤子に名前を与えた。
集落の人々にも香葉の出産は伝えられた。
「おめでとうございます」
多くの人がお祝いに寺へやってきた。お返しに寺の者達もごちそうを振る舞う。
「盛大な式にしましょう」
祝いの席では、たくさんの人が赤子の周りに集まった。
特に都市出身の小中高生らは、ほぼ初めて見る生まれたばかりの赤ん坊に戸惑いながらも可愛がる。
「よかったら抱っこしてあげて」
香葉がそう言って、腕で支えながらまず暁の腕に少しずつ赤子を移動させる。
「わ、あ…私、赤ちゃん抱っこしたことなくて…」
暁は緊張しているのか腕が少し震えていた。横で兄の朝陽が大丈夫かと手を伸ばし、背後で柊月と依を始め大勢が見守りつつ早く自分にも抱かせろとうずうずしていた。
「腕で首を支えるのよ」
「く、首?」
「生まれたばかりの赤ん坊はまだ首がすわってないんだよ」
ひょこっとした動作とは裏腹に低い声が聞こえる。柊月にはもう見慣れた声だった。
「勇一郎くん!」
よお、と軽い口調で柊月たちに挨拶すると勇一郎は香様に向き直り
「この度はご出産おめでとうございます」
と祝いの言葉を述べた。
「ありがとう、あなたもぜひ抱っこしてあげて」
香葉がそう言うと、勇一郎は暁の腕から赤子をヒョイっと慣れた手つきで抱き上げた。
「おーおー。可愛い奴め」
そうして体全体をトントン動かして器用にあやしていく。
「勇一郎くん、なんか慣れてるね」
柊月が尊敬の眼差しで言うと
「あぁ、もう小さい時から抱っこは何回もしてたからな」
そう澄ました顔で流した。
我も我もと、小中高生らが赤子を抱っこさせろと順番待ちをしている。
「こっちではまだ小さい子供が赤ん坊を抱っこしてたりするよね」
響が会話に加わってきた。
「慣れててすごいですね…」
依がそう答える。
「逆に都市は少子化が半端じゃないからね。子供を育てるなら里一択だよ」
勇一郎くんも慣れてて大したもんだ、とそう響は言って勇一郎の背中をトントン叩いた。
「都市だと、子育てするまで赤ん坊を抱っこする機会が無いって聞いたけど、マジだったんだな」
勇一郎は抱っこで苦戦している小中高生らを横目でチラリと見ながら言った。
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