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境界  作者: 柿生透
41/99

談笑の裏で


楽しんで頂けたら幸いです。


4/8(水)、加筆修正して『数え年』から『談笑の裏で』というエピソード内容となりました。



 「皆さん、おはようございます」


 朝の読経が終わったのか、住職の空心が皆に挨拶する。おはようございますと返す声は、初日よりも明らかに大きくなっているように感じられた。


 「体調のほどはいかがですか」


 何て返そうかと皆考えていたのか、少しだけ沈黙が流れた。


 「そろそろスマホやパソコンや、あとお菓子が恋しくなってきたのでは」


 空心が微笑みながらそう問うと皆笑い出す。柊月達は既に空心の話に込められたユーモアや、社交辞令ではない心からの気遣いに気付き始めていた。


 「俺はポテチとかコーラとかも恋しいっすね」


 朝陽など男子高校生らが冗談めかしてそう言った。また笑いが起きる。少しずつ住職やこの寺の大人たちに慣れてきたのだろう、和やかな雰囲気がそこには漂っていた。


 「では都市に帰るまでの辛抱ですね、皆さんもう少しだけ耐えてください」


 「ふふっ」


 「はーい」


 心を許し始めていることが目に見えて分かる状況であった。


 「ストレスが溜まったら、お家や都市では話せないことを言って構いませんよ。誰にも告げ口しませんし、そもそもここに人は滅多に来ませんからね」


 またアハハと笑い声が湧き出る。


 皆でワイワイ談笑している中、その輪に参加してない小中高生も少数ながらいた。


 理由を挙げるなら、小学生の場合、単純に大人と話すより、友人同士で遊びたいという気持ちの方が強いからだろう。外に出て友達とキャーキャー言いながら追いかけっこをしている子がいた。


 また、大勢の人と話すことにどうしても緊張してしまったり、単に1人でいるのが好きだから会話に加わらないという理由もあるだろう。部屋の隅でぼーっとしている子や虫か何かをジッと見ている子もいた。


 それ以外にも単純に会話に入るタイミングを逃したり、なんとなく人と話す気分じゃなかったということもある。



 しかし中高生の場合、いずれの理由にも当てはまらないことに柊月は気付いた。



 輪に入らない中高生らは、時々訝しげな目でこちらを見ているように思える。


 どことなく固い表情であるのは、おそらく『無意識に』自分のアイデンティティーという固い殻を、決して壊さないようにしているからではないかと柊月は予想した。


 そしてそれは自分だけでなく、他人に対しても向けられてしまうのだろう。



 …この『里山体験』によって自分の考えや意見を変えるつもりはない。

 あんな軽い口調でベラベラ話す僧侶なんておかしい、聖職者らしくない。

 そしてそんな僧侶と仲良く話すあいつらもおかしい…。



 彼らはそう思っているように見えた。


 ここにいる時間が早く過ぎ去るのをただ待っているだけのようである。



 そしてその中には柊月に『ナンパ?』と聞いてきた少女もいた。


 そういえば彼女の名前は何だっただろうか。


 柊月は頭の中にある過去を探り始める。





 その時、


 「はぁ、お腹が…」


と部屋の奥から声が聞こえてきた。



読んで頂いてありがとうございます!


この後のエピソードも後日必ず加筆修正しますのでお待ち下さい!


感想等いつでもお待ちしてます!


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