理由と排除
投稿遅れて申し訳ないです!
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3/28(金)加筆修正しました。長くなってしまいました。笑
その後夕方、柊月が家屋の竈近くを歩いていると、そこに数人の中高生男女がいた。火を起こし風呂を沸かす作業を行いながら彼らは何か話しているらしく、声が聞こえてくる。
「今時ボタンひとつでお風呂沸かせるのに…意味あんのかねこれ」
友人同士で愚痴を言い合っているのだろう、ハーッと漏れ出るため息も聞こえる。
確かに大変だもんなぁ、と柊月は心の中で返した。
正直なところ、まだ直接話し掛けるほど仲が良い訳ではなく柊月も特別社交的な性格ではないため、その会話に参加する勇気は無かった。急に話に加わって距離感分かってないと彼らから引かれてしまうのも嫌である。
慌てて姿を見せないように物陰に隠れながら退散しようとした。
しかし次の言葉に柊月は足を止めてしまう。
「でもこれ終わったら内申上がって推薦で大学行けるじゃん」
「なーそれまでの辛抱だわ」
柊月は思わず聞き耳を立てる。内申?推薦で大学?これに参加したらその後そうなるのか。
「親が行け行けってうるさくてさー」
「受験で有利にならなきゃ絶対こんなとこ来ないわ」
「まじそれな」
「言っちゃあ悪いけど、腕と足両方同時に出して歩き方変だし」
「正直頭使わねぇ生活だよな、ここ」
「…」
彼らは親から命じられたり、自分の将来の計画を立ててここへ来たのだろう。鬱憤が溜まり、友人同士で愚痴を言い合う気持ちはよく分かる。ただ、『こんなとこ』や『頭使わない』とまで言わなくても…と柊月は思ってしまった。
そして共通しているのは、彼らがここに来た訳は自分の受験にとって有利になるからだ、ということである。
自分の将来に対してプランを考え進めているということ自体は素晴らしく、素直に尊敬の念を抱く。
しかし逆にただ興味を持ってとか単なる好奇心からとか、理由らしい理由が無いまま来たという人はいないのかなと思ってしまう。それはそれで面白いのに、と柊月は何故か少し残念な気持ちになった。いや、仮に居たとしてもこの盛り上がっている中でそのようなことは口に出しづらいかもしれない。
しかしそれでも、親が行けと言うから行くなんて最悪の理由じゃないか?
柊月自身、ここにいるのは元の世界に帰る方法を見つけるため、という理由それ自体はある。しかしそれは約束されたものではない。確証などない。手探りで探す1つの手段に過ぎない。
理由、と言ってもそこに明確な違いがあるように柊月は思った。
しかし、それを彼らに言うつもりは無い。責めるべきは彼らではなく彼らを取り巻く環境や社会の方である。
何かメリットがあるから行う。自分にとって得になるから行動する。そうした真面目でしっかりした考えが、『都市』の中で蔓延っているのだろう。
しかし、例えばメリットが無いと判断したら、彼らは非常に冷たい態度に豹変するのではないか。
それはこの『交換授業』のようなモノに対してだけでなく、生身の人間に対してもあり得るだろう。
柊月は急に彼らが恐ろしくなった。
その他にも柊月が中高生の様子について疑問に思ったことがある。
寺の者が、彼らに対してやってほしいことを伝えた時のことだ。
めんどくさい、という反応は分かるが、その後に続いた言葉。
「そんなことやって意味あんのかねぇ」
「自然があるだなんてそんなこと分かりきってんのに」
「そもそも実感したら何かいい事あるの?」
「小学生ならともかく、自分達がやる必要性皆無ー」
「木とか虫とか見て成績上がったら誰も苦労しねぇよ」
「そんなよく分からん時間過ごすならまだ家で勉強するほうがマシじゃね?」
「お前真面目ー」
「…」
彼らの言っていることが分からない訳ではない。その場に居れば周りに合わせて似たようなことを言ってしまうことはよく分かった。
ただ、それでもまず、やってみればいいのに。
そう思ってしまうのだ。
去っていく彼らの姿を見送ると外へ出て柊月は木に背を預けて空を見上げ、依はしゃがんで花に手を伸ばした。
ここに何週間か住んでいて、柊月は思った。ここは肩の力が抜けて、とても安心出来る。自然が豊かで癒されるとか、人が温かいとかそういうことじゃない。
人が作った、意味あるものが少ないから落ち着くのだ。
意味のないものばかりだから、存在意義を問われなくて気が楽になる。
人の役に立つような人工物ばかりに囲まれていたら,その内自分は排除されるのではないかとすら柊月は考えていた。
そして、彼らの発言は『役に立たないなら自分の目の前から排除していい』という理由をまさに表しているように思えたのだ。
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3/13(木)4/3(木)加筆修正しました。




