化け物
楽しんでいただけたら幸いです。
4/1(火)少しだけ加筆修正しました。
「こことか農村の人って鬼とか化け物とかだって聞いたけど…住職さんとかならともかく」
中高生男女がしているその会話に、柊月は思わず「え」と声を出して驚く。勇一郎が言ってたことを思い出した。
「それ、どういうことですか?」
思わず柊月はその会話に加わってしまった。
「え」
「あ、いや」
聞かれていたとは思わなかったのか、話していた男女2人は途端に慌てだした。
「あの、怒ってるとかじゃなくて純粋にどういう意味か知りたいだけで」
柊月はそう付け足したが、正直言うと人に対して化け物だの鬼だの言うなんて失礼じゃないか、と怒りの感情がないわけではない。
しかし今は意味を知りたい気持ちの方が強かった。
彼らは恐る恐るといった様子で話す。
「えっと…よく親とか大人がこういう田舎に住んでる人を化け物とか狼とか言うんです。言わない人もいるんですけど」
出てきた言葉に柊月は驚きを隠せない。
「え…なんで…?」
信じがたい話に眉を顰める。人に対して化け物なんて明らかに悪意ある差別ではないか。理由は何なんだ。いや、理由を知ったところで理解したくないかもしれない。
2人のうち男子の方が、恐る恐る口を開いた。
「比喩表現だとは思うんすけど田舎の人たちはお金を使わなくて、こっちの…都市の法律やルールが通じないから、『人間』じゃないって…。まるで鬼や化け物みたいだって…」
「保守的、とか封建的、とか言ってました…」
だんだんと説明する声が小さくなっていく。話していくうちに内容の酷さを感じていったのかもしれない。いや柊月がこの集落出身だと思って、差別の理由を差別されている本人に言うことに気まずくなったのかもしれない。
「…」
柊月は理由を知って絶句する。そんな差別や差別的表現がこの世界には罷り通ってるのか。
「やはりな」
ふと上から声がする。見上げれば勇一郎だった。この前と同じく上半身裸でタオルを巻いている。
「勇一郎、さん…?」
驚いている柊月をよそに勇一郎は続ける。
「『人ニシテ人ニアラズ』とはこのことよ。農村や田舎が都市に取り込まれるのも時間の問題だな」
元々鋭い目がますます鋭くなった。突然現れた人相の悪い男に、中高生2人が誰?と困惑した表情を浮かべたので柊月は慌てて勇一郎を紹介した。
「おう、よろしく。歓迎するよ」
男女2人も自己紹介する。2人は兄妹だったらしく、兄は朝陽、妹は暁と名乗った。そういえばよく見ると顔立ちが似ている。
気付かないほど話に夢中になっていたのだ。
お互いよろしく、と軽く挨拶を交わしていると、他の誰かの声が聞こえてきた。
「半分裸だからじゃないのー」
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3/13(木)3/30(日)、加筆修正しました




