橋渡し
米価格高が止まりませんね…。一体どうなることやら。
初めての薪割りはとても難しく、そもそも的に当たることすらすぐにはできなかった。
両腕は疲れて重くなり、手の平にはそのうち豆が出来るだろう。
途中から交代し、壮市と勇一郎が軽快に割っていく姿を柊月は後ろから見ているだけになってしまった。いつかは出来るようになりたいと言った柊月を壮市は慣れていけば大丈夫と返した。
割った後は薪をまとめて3人で家に持って帰る。
歩きながら壮市は呟くように言った。
「今はいい時代になったもんよ、ここが人で溢れたら都市へ行けばいいんだから」
「溢れる?」
「里山ってのは人数制限…上限てもんがあるんだ。一定以上増えると食べていけなくなる。だから長男以外の次男坊は江戸へ出稼ぎしたんだ」
そして娘は遊郭に売られる。貧しい時代だったと壮市は遠い目をしながら昔を振り返った。
昔はやはり厳しい環境だったんだなと柊月は相槌を打ちながら思う。
「今も今で問題はあるけどな」
勇一郎は苦虫を潰したような顔で会話に加わった。
「都市の奴らは俺らのことを鬼だの狼だの言う。金出すから減反しろだなんて食糧のこと何も考えちゃいねぇ。要するに極端なんだよ」
初めて聞く2人の話は柊月にとってとても興味深い内容だった。
「足して2で割ればちょうどいいかもしれないですね」
「それがあんたのいる境さんとこだろ」
柊月の発言にすかさず勇一郎が突っ込んだ。
え、と柊月が驚いていると壮市も続ける。
「境さんところは都市とここら一体の橋渡し役を担ってんだよ。都市でドロップアウトしたような奴らを境家が時々世話してんだ。急にうちのようなとこに来たって生活出来ねぇからな。そうやって、何も生活圏は都市の中だけじゃないって選択肢を与えてるんだよ」
「…」
柊月は心の中で感銘を受けた。境家はそんなことを行っていたのか。これまでの恩と、その話によって尊敬などの感情がより大きくなっていく。
しかし。
「都市と里の子供達を交換するらしいですが、それは…」
壮市はタバコに火をつけ、煙を吐いて言った。
「親父は肯定してたが、果たして吉と出るか、凶と出るか…」
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