里山
更新遅れてしまい申し訳ないです。
楽しんで頂けたら嬉しいです!
3/10(月)、加筆修正しました。
「木を切って薪にする?」
柊月は住職の息子である、荘市の後ろを歩いていた。彼は仏門には下らず、一般人だ。
今日は田んぼではなく少し標高が高い山の方面へ行く。後ろから見る、彼やこの寺の家族の歩き方に若干の違和感を覚えながらも柊月は着いていった。
荘市は後ろを振り返りながらうんうん頷く。
「確かそれで火を起こすんですよね」
薪割りは聞いたことがあります、と柊月は少し目を輝かせながら言った。少し興味がある内容だったからだ。
「力必要だから大変だろうとは思うが…」
「いえ、是非やってみたいです」
柊月はこの農村で慣れない生活を何とか送っていた。
辛くて逃げ出したくもなったが、自ら行きたいと言ったのだから最後までやり遂げようと心に決めていた。
何より行動範囲を広げれば元の世界に帰る方法などが見つかる可能性も、少しは高くなるのではないかと心のどこかで期待していたのだ。
「今日はもう1人の嬢ちゃんはいねぇのかい」
荘市にそう尋ねられて柊月は答えた。
「依は小さい子たちに簡単な勉強とかを教えてるみたいです…。教えるの、上手だから」
本当は一緒に居たかったが段々ここで暮らしていくうちに適材適所ということで、依は子供の世話の手伝いをするようにと実質決められたらしい。実際境家でもこの寺でも子供たちは依にとても懐いていた。
むしろ今まで距離が近過ぎたのだ、これからは1人でも頑張っていこうと柊月は考え方を変えた。しかし若干の寂しさは心の片隅に残ったままだった。
話題を変えようと柊月は口を開く。
「そ、それにしても里山っていうのはほんとに綺麗ですね。これぞ自然って感じで」
「正確には人の手が加わった自然だな」
「え?」
急に後ろから低い声がした。驚いて振り返るとそこには上半身裸の男がいた。年齢は響と同年代ほどだろうか。その男は頭に白いタオルを巻いていた。強面の顔と鋭い目つきに少し怖くなり、そして目のやり場にも困ったため柊月は少し目線を落としてしまう。
しかしその男は淡々と柊月に説明していった。
「里山は人間が手を加えていったもので、放っておけば松とかすぐに腐っちまうんだよ。んで、松以外の樹木がどんどん生えてくる。そうならねぇように下草をむしってきてんだ」
要するに完全な自然形態とか原始林じゃないってことだと言ってその男は説明を締め括った。
「おー川んところの倅じゃねえか。」
荘市がその男に声を掛ける。知り合いだったのか?川のところ?
柊月は急に話し掛けてきた男の存在に驚き、里山の説明について理解が追いつかなかった。だがこれだけは分かった。
草や木なんてどれも同じだと思っていたが、実は人々から考えられた上で作られたものであること。
そして、それについて自分は何も知らなかったこと。
柊月は自分の無知さに恥ずかしくなって居た堪れなくなり、思わず顔を伏せた。
「これから知っていけばいい」
荘市は黙ったままの柊月の心情を知ってか知らずか優しい声で励ますように言った。
「この子、境の爺さんが預かっているもう1人の嬢ちゃんよ」
そして荘市は続けて、男に柊月を紹介した。
「どうも」
そう言って男はぶっきらぼうな様子ではあるが、軽く頭を下げた。
「俺は勇一郎。あんたの名前は?」
読んで頂きありがとうございます。またまた新キャラ登場です!
皆さんは里山の成り立ちをご存知でしたか?
私自身は主人公の柊月と同じく、ほとんど知りませんでした。知ろうともしませんでした苦笑。
感想等頂けたら幸いです。いつでもお待ちしてます!




