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境界  作者: 柿生透
3/79

異界



 柊月は依の半歩後ろについて歩いていた。






 「違う世界…?それに喋ってはいけないって…」


 困惑しながらも柊月は依に尋ねる。


 「ここはもう今まで柊月がいたところ…私たちがいたところとは違う世界ってこと…異界だよ。一見、同じ街で同じ日本に見えるけど」


 上手く状況が飲み込めない。


 「私も柊月と同じように、ある日突然こっちの世界に来たの」


 「…」


 「それで…もうあまり喋らない方が良いと思う。ここは言葉に対して何というか…制約みたいなものがあるんだよ」


 「制、約…」


 「今から私が住んでるところに行こう。きっと柊月のことも受け入れてくれる」


 依は着いてきて、と言って柊月を手招きした。



 懐かしい友人との再会もそこそこに2人は歩き出した。





 一面に広がった灰色の雲は柊月たちを包んでいた。

 






 道なりに沿って2人は歩く。しかしやけに空が大きく見える。マンションなど、背の高い建物が無いからだと気付いた。見かけない空き地もちらほらある。全体的に古めかしい印象があり、タイムスリップしたみたいだと柊月は思った。


 歩いている間自分たち以外の他の人達も目にした。




 「…」




 妙に違和感が残る。何かが違うと思った。





 柊月は少し考えて、せかせか早く歩いている人が1人もいないことに気づいた。





 歩くスピードが遅い…。というよりは辿り着く目的地が無いような歩き方だった。


 フラフラとした足取りで散歩している人。手ぶらで歩いては立ち止まって道端に咲いている花を見ている人。歩くどころか立ち止まって空を仰ぎ見ている人もいる。


 ベンチでただボーッと座っている人も居る。そこはバス停では無い。疲れているようにも見えない。暇を持て余しているようだった。


 小さい子供や高齢者ならともかく、老若男女問わずそのような状態だった。





 仕事に行くために荷物を持って我先にと足早になる人など1人もいなかった。







 「柊月、もうすぐだよ」


 依が振り返る。柊月も依に顔を向けた。


 柊月の表情を見て依も察したのだろう。







 ね、という顔を見せた。



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