『交換授業』
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3/10(月)4/2(水)3(木)加筆修正しました。
「ここは言葉に対して決められた制約はありません、安心して下さい」
住職は穏やかな口調でそう言った。柊月はありがとうございますと返す。
お茶を飲み進めていると、
「住職様、本日は2人の紹介と1つある話を耳にしたので参りました」
と響が本題を切り出した。
「近々、小学校で『交換授業』が実施されるそうです」
交換授業とは国内で行われる交換留学のようなものらしい。国は、都市に住む小学生と農村や田舎に住む小学生を一定期間場所を交換して授業受けさせる制度を発表した。
都市と田舎の生活をお互い体験をさせることが目的らしいがそれは建前で、本音は田舎の子供を都市の生活に慣れさせておきたいのだろう。
成人した暁には都市の中で働かせて税金を取る。移住してきた若者によって人口は右肩上がりで増えていき、それによって経済活動が活発になる…とのこと。
子供達から都市に取り込んでいく算段でしょうかと響が問う。
だが、住職の反応は微妙に違うものだった。
「おそらく。…だがうちの子らにとってはともかく、都市の子らにとっては良いことではないかな」
「と言いますと…」
「子は自然の生き物です。幼き時くらい外で思い切り遊ばせた方が肌に合うでしょう」
子供に対して早く大人になれ、なんて言いたくないと住職はぽつりと呟いた。
「むしろ良い案かも分かりませんよ」
そう言うと住職は聖職者らしからぬお茶目さでウィンクのように片目をパチンと閉じた。親しみやすそうな人柄である。
「さあさあ腹が減ったことでしょう、昼にしましょう」
住職はそう言って立ち上がった。
「わぁ、囲炉裏がある…」
依が声を上げる。そこには囲炉裏の周りを囲むように柊月達の食事が並べられていた。
火がパチパチと燃えている様子は何とも幻想的だなものだ。
「火を見てると何となく心が落ち着くね」
柊月達はそう言って食事をとり始めた。
玄米、漬物、焼き魚…など見慣れた料理内容に柊月はホッとして箸を進める。
しかし汁物に手をつけると、中には見慣れない白く丸いものがあった。口に入れるともちもちした食感だった。お餅かな…と食べた事のない味に柊月の頭の中で疑問符が浮かぶ。
美味しくはあったため、構わず柊月は箸を進めた。普段経験したことのない食事形態は最高のソースであり、田舎のゆっくりと流れる時間は心地良い。
そう思えていたのも束の間だった。
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