寺
創作というものは本当に難しいですね…(遠い目)
楽しんで頂けたら幸いです。
3/6(木)8〜10(月)13(木)17(月)4/1(火)加筆修正しました。
目的地のその集落は四方を山々に囲まれていた。中心には寺が立っている。出迎えたのはその寺の住職であった。歳は70代程であろうか。その村は家屋が点々と幾つも存在している。馬小屋らしきものも見えた。田んぼや畑、川や青い森林が柊月達の視界いっぱいに広がる。
その住職家族や親戚の苗字は『里永』だと響は一応2人に教えたが、その名を呼ぶ者は実質存在しない。『寺のとこ』とか『お寺さん』と言っている。周りの集落の人々も全員苗字が里永だからだそうだ。
住職は空心と名乗り、自身の家族や親戚を次々と紹介していった。その中には妊娠している女性もいた。皆僧侶でなくとも薄い生地の着物を着ている人が多く、逆に洋服を着ている人は少なかった。そしてこの家は普段大勢の人や子供たちが出入りしており正確な人数は把握してないとのこと。
そんなに緩くて大丈夫なのかなと思いながらも柊月は挨拶を交わしていく。
「…」
どこからか視線を感じる。
発生源を辿っていくと家屋の縁側などから子供達がジッとこちらを見ていた。おそらく小学校6年生くらいまでの年齢層で、人数はざっと見ただけでも20人はいる。子供達も大人同様着物を着ていたり、靴どころか靴下も履いてない子、半袖短パンの男の子もいた。中には一歳程の赤子を抱いている子供までいた。その子らは見かけない人間に誰だ誰だと興味津々の様子である。
その微笑ましい光景に柊月は思わずクスッと笑ってしまった。
空心の妻、蓮が3人を居間に通してお茶を出した。座布団に座った時、卓の上にお茶以外の何かがあることに柊月と依は気付いた。
「タバコ…?」
手のひらサイズの細長い棒数本の存在に柊月は首を傾げた。響が慌てて
「彼女たちはタバコを吸わないためお気持ちだけ頂きます」
と蓮に伝えた。
田舎の方ではお茶と一緒にタバコも出すものなのかなと柊月は疑問に思った。
茶を飲みながら住職は話を切り出した。
「大変な目に遭ったそうですね、境さんのもう1人のお嬢さんの…」
柊月さん。そう言われた時、自分のことだと思わず柊月は一瞬反応が遅れてしまった。
「あ、いえ…」
締まりのない返答をしてしまった。
彼らは襲撃の話をすでに知っていたのか。慌ててもう大丈夫ですと返したが、
「言葉一つで身の危険に晒されるとは…恐ろしかったでしょう」
と柊月を労った。
「私たちの人生とはまさに塵の如く儚いものです」
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