集まり
連れて来られた大学の教室内には他にも大学生が男女数人いた。彼らは来てくれてありがとうと2人を出迎えた。
しかし自分たちのような高校生や、外部の人間などはその教室に1人もいなかった。
彼らは大学の現状について調べている、サークルとも言えないほどの小さいグループのメンバーらしい。
「国立大学が10年以上前に独立行政法人になったことは知ってる?大学の予算が年々減ってきているんだ」
詳しく聞いてみるとそれによって大学の研究者は、文科省や学会から認められたり訳に立つと思われた研究しか取り組めないらしい。研究費欲しさで上にご機嫌取りをしたり、研究者が外国に行ってしまい貴重な人材が国外流出したりする現状を憂いているとのこと。
「大学の学費も半世紀程前は安かったんだ。当時の物価の安さを引いても、高校生が少しバイトすればすんなり払えたんだ」
「え、すごい…」
「でも今は親に頼らないと金額的に無理でしょう?」
他の大学生も会話に加わった。
「親が出すお金で大学に行くんだから、親がこの大学この学部に行けって言うようになったんだよ。自分の行きたい学部じゃなく就職に有利なところに進学しろってね」
「最近は大学の文系学部を廃止しようって話もあるんだ」
大学生は腕を組みながら厳しい表情で言った。
この集まり自体も大学側から目をつけられているため、大っぴらには活動出来ないらしい。
「でも大学はまだマシな方で、田舎や農村に住んでいる人たちに向けられる圧力の方が相当強いだろうね」
「田舎?」
「農村?」
柊月と依は同時に聞き返した。
「あぁ。前時代的な生活を送ってるって、金を使わないだなんて野蛮だって政府は批判してるんだよ。…酷い話だけどな」
その内の大学生の何人かが廊下をチラチラ見ている。何かを警戒している様子だった。
「こっちをずっと見ている奴がいる。…スパイがいるかもしれない。この話はここまでにしておこう」
大学全体の賑やかさとは裏腹に、この教室内は暗く重い雰囲気が漂っていた。
廊下の人影が無くなってから、気をつけてねと彼らから手を振られて2人は教室を後にした。




