堀
2/24加筆修正しました。
「この街を出たら『都市』だから、その後電車に乗って大学に行こう」
行ってきますと柊月と依は境家を出る。
「ほら、あそこ」
少し歩いていくと依が指を差した。その先はもう『都市』らしい。
そしてそこには大きい門…いや、鳥居が見えてきた。そして鳥居の前には、地面の窪みが並行して続いていた。工事でもしているのだろうか。
鳥居の手間側には何人か人が集まって談笑していた。赤子を抱く母親らしき女性らと父親らしき男性ら、他に老人が数名居る。
柊月達に気付くとニコッと微笑んできたので、2人は挨拶がわりに軽く会釈した。
その集団は決して鳥居から出ようとはしなかった。
それにしても、と柊月は前置きして呟く。
「こんなところに鳥居…?」
神社でもないのにと柊月は続けた。
「こっちの世界にはあるんだよ。あの鳥居で都市との境目だってことを表しているんだって」
そして鳥居の横に人影も見えてきた。窪みが続く…堀の向こう側に立っている。驚いてそこに目を遣ると、服装で警察官だと分かった。そのチグハグさに柊月は目を丸くする。
「警察官まで…」
「行き来する人の見張りをしているんだろうね」
「変なの…」
「ね」
あまりいい気分はしないまま、2人は堀をヒョイっと乗り越える。窪みに大した深さなどなく隙間も短い。子供や足が不自由などでなければ、軽々と渡れるものであった。鳥居の横を通り抜け2人は警察官の視界に入る。
警察官の表情は固く、目つきは鋭かった。その視線の先には先ほど挨拶した、境家側にいる赤子を連れた家族連れや老人らがいた。
まるで彼らに入ってくるなよ、と牽制しているようだった。
「ここからはもう『都市』だね」
依は声を顰めて言った。
「なるべく小さい声で話そう。どの言葉が地雷か分からないからね」
柊月は恐怖心を感じながらもコクンと頷いた。
しかし…。
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