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やっぱり最初は薬草採集よね!


 唯一持ち出せたお気に入りのドレスの上から窮屈な革鎧を締める。

 少しばかり埃っぽいけれど、これも今だけの辛抱だとグッと拳を作った。

 静かに息を吸い込んで胸を張り、眼前の建物をじろりと睨みつけながら大きく一歩を踏み出す。

 


 これがこのわたくし、リリアーナ・マティームの大いなる、偉大な、空前絶後の、その他諸々素晴らしい形容詞を全て兼ね備えた成り上がり譚の一ページになるのだわ。



 古びた壁に古びた扉。肩に力の入ったまま扉を潜ると、一番最最初に奥の壁にある受付が目に付いた。


 思いの外綺麗に整頓されている受付には様々な人種の冒険者が各列に並んでおり、その手前は酒場のように乱雑に丸机と椅子が散乱している。


「まあ! リリアーナさん! 早速クエストですか?」

 

 上質なドレスの裾を優雅な足捌きで翻しながら屈強な冒険者たちの間を進むと、複数ある受付の内一番右側に居た受付嬢が嬉しそうに此方に手を振った。


 見覚えのある顔。確か、リリアーナの冒険者登録を受け持った受付嬢だ。

 気安く声をかけてきた受付嬢にツンと顎を尖らせて、入口から見て右手、クエスト掲示板の前に立つ。

 

 やはり庶民の皆様方はドレスが見慣れないのか、此方を見ては恐れ多いと目を逸らすのが分かった。

 流石は冒険者ギルド。身の程を弁えている方が多くてよ。

 リリアーナは満足そうに一つ頷いてから、背丈より大きなクエスト掲示板をまじまじと見上げた。


 此処は冒険者ギルド。リリアーナにとって、一生関わり合いの無いはずだった場所。



 受付嬢は無視をされたというのにそれに気がついていないのか、あいも変わらずニコニコと嬉しそうに笑いながらまばらな人混みを掻き分けてリリアーナの隣にちょこんと並んだ。

 

 他にも受付嬢が居るとはいえ、それで良いのかしら、冒険者ギルドの受付って。


 じっとりと横目で自分よりも少し下にある頭を睨むが、リリアーナの訝しげな眼差しも何のその、掲示板に貼られた穴の空きそうな薄い紙を指差しながら受付嬢は頼んでもいないのに説明を始めた。


「リリアーナさんは今日が初めてのクエストですから、お手伝い系をオススメしますよ! 今いい感じなのは〜」

「……ちょっと! 馴れ馴れしくしないで頂戴!」

「ですが初心者の方には受注出来ないクエストなどもありますし……」

「そんなこと知ってますわ。それに私は、今日受けるクエストは既に決まってますの」


 ピッ、と目的のクエスト表をピンから千切り取る。

 確かにリリアーナは高貴な生まれであるが、とっくのとうに予習しているのだ。


「冒険者の最初のクエストは、薬草採集! これを疎かにした冒険者が足元を掬われるのを何度見たことか……」


 小説で。

 ありとあらゆる冒険譚の主人公が最初に受けるのは大体が薬草採取だ。

 欲を張って討伐クエストに赴いた脇役達がどんな目に遭うのかはお約束とも言えるもので、流石にそんなヘマをするわけにはいかない。

 

 超級冒険者も駆け出しの頃にはこの薬草採集をしているのであって、同じく超級冒険者を目指すのであれば当然、リリアーナもそれを踏襲することになる。

 口元に弧を描いて取ったばかりのクエスト表を受付嬢の胸に押し当てれば、受付嬢は少し困ったように首を傾げた。


「ええ、ええと、確かにリリアーナさんでもこのクエストは受注出来ますが……」

「出来るなら手続きをして頂戴。それとも並んだ方が良いかしら」


 チラリと並んでいる冒険者達を見やれば、人は既に少なく残っているのは酒場利用の客がほとんどだ。

 受付嬢は「ああいえ、それは大丈夫なんですけどぉ」と両手でクエスト表を胸にかき抱いている。

 どうにも動作が丁寧なこと。


「で、でもぉ、薬草採集の森は遠いですよ? 大丈夫ですか?」

「問題無いわ」

「難しいと思ったらすぐに引き返してくださいね……?」

「あなた、このわたくしが薬草採集如きで……まあいいわ。早く手続きを」


 むっつりと唇を引き結んで未だに何か言いたげな受付嬢を視線でせっつく。

 無事に手続きを終えたクエストは常駐依頼という誰でも、いつでも、後から受注しても大丈夫、という依頼ではあるが、受注札を持っていれば優先的に納品出来る。

 

 渡された木札を革鎧の隙間に外れないように挟み込んで優雅に冒険者ギルドの扉を押し開けた。


「ふふふ……わたくしにかかれば超級冒険者なんて、すぐですわ……!」


 ドレスの裾がふわりと風に靡く。ギルドの隣にある貸し出し蔵から背負籠を一つ借りて、門番が守る街と外を隔てる門を潜り抜けた。 

 以前、この門を潜った時は両親と一緒だった。一人で飛び出した街道はどうにも爽快で、それでいて少しだけ心細い。


 しかしリリアーナには野望がある。

 冒険者なんて野蛮な職に就いてでも、叶えたい野望が。






 ああ今思い出しても頭が痛い。この頭を痛める感情は悔恨ではない。怒りだ。

 初めての森歩きは思ったよりも非常に体力を消耗させる。


 今、こうして身体を動かせているのは怒りという気力に他ならない。

 リリアーナは肩を上下に揺らしながら、背負籠の位置を調整するように身体を揺らした。


「ほんッとに今思い出しても頭に来ますわあンのハゲ国王……!!」


 ギリギリと歯を食いしばりながら道無き道を歩く。意気揚々と街の門を出た時とは違い、髪の毛には何かの葉っぱが、ドレスの裾は土で汚れ、しっとりと汗が背中を濡らしていた。


 はしたないと分かっていながら歯軋りを止められないのもきっとしょうがないと母は笑ってくれるだろう。



 遡ること半年ほど前。


 年に一度の王国祭はここより東にある、王の住まう首都で行われた。

 市井でも祭りは開かれていたが、リリアーナ達が参加していたのは当然国王主催の貴族だけが集まるパーティーだ。


 豪奢なカーペットが敷かれたフロア。履き慣れないハイヒールでおめかしをして、粗相の無いようにね、なんて父が笑って言った。


 問題が起きたのはちょうど、国王が赤いカーペットを踏みながら入場してきたその時だった。


 まず、片膝を付いて跪こうとした父が転んだ。腹の出た国王が通り過ぎようとした時だ。

 続いてそれを助けようとした母までもが転んだ。うっかり、国王のマントを引っ掴みながら。


 思わず尻餅を付いてしまった国王。その頭から転び落ちた金で出来た冠。しかし落ちたのはそれだけでは無く。


 冠よりももっと軽くて、しかし王にとっては冠よりも大事な、それはもう大事なモノがパサりと、赤い赤いカーペットの上に滑り落ちていたのだ。


「みんなッ! 知ってたわよッ!!」


 イライラと草を掻き分けて先に進む。未だに見つけた薬草は背負籠の底をうっすらと覆っているだけで、到底納品数には足りない。


「ちょっと、ちょーぉっと粗相をしただけでッ、お家取り潰しだなんてッ! 圧政だわッ!」


 そりゃあまあ確かに、あの日は地方貴族も集まっていたし、人目は少し……それなりに多かったかもしれないけれど。王としての器が問われると思うわ、こんな仕打ち。


 まあ、いい。いえ、決して良くは無いのだけれど、過ぎ去ってしまったことは飲み込むしかない。


 わたくしぐらいの度量があの王にもあれば、とリリアーナは内心舌打ちをしつつ、斜め右方向に見えた薬草を風魔法の力で引っこ抜く。これまた繊細な魔法の行使で背負籠の中に投げ入れた。


「ふん、今に見てなさい……わたくしが、温和で優しい父とおっとりした柔和な母に変わって、このわたくしが……必ずお家を復興させてみせるわ――――超級の冒険者になって!」

 

 風魔法の名残が小さな旋風になって汗を冷やす。化粧はしてこなくて正解だった。


 かつて両親にも褒められ、爺やにも婆やにもメイドにも、家庭教師にも褒められた風魔法を使い熟し、史上最速で貴族と同等の権限を持つ超級冒険者になって見せる。


 ふふふ、ふふふふ。超級冒険者になった自分と、自分を持て囃すメイド達を想像して思わず笑みが溢れる。


 ふふ、ふふふ……。リリアーナの不気味な笑い声は、森中に響いていたとか居なかったとか……。







 太陽も天高く登り、冒険者含めた肉体労働者達が昼休憩に入る頃。リリアーナは森の真ん中で薬草の大群生地を見つけ、太陽に向けて拳を振り上げていた。


「はぁ、はぁ……やっぱ、持ってるん、ですわよねぇ、わたくしッ!」


 身体は既に疲労困憊だ。

 冒険者ギルドで受付嬢が心配していたのも当然のことで、森歩きというのは非常に体力を使う。


 レベルの上がった冒険者であれば体力や筋力でゴリ押せる程の起伏ではあるが、兎にも角にも整備されていない森というのは段差やうねりが多くあって歩き辛く、木の根や巨木倒木を交わしながら歩く必要があったり、迷子にならないよう気を使いながらの探索は慣れない人間にはとても困難なのである。



 が、やはりレベルでどうにかなる程度の問題だ。

 リリアーナは森の中でも開けた場所に見つけた群生地の端っこで、今にも膝を付いてしまいそうだった。


「きゅ、休憩を……」


 手のひらを並べてお椀を作り、水魔法で水球を作る。落ちてきた水球を零さないように捕まえ口を付けようとして、がっくりと肩を落とした。


「き、きたな……」


 手のひらに着いていた土や汗が水に付着してしまっている。

 そういえばさっき転んだ時に手をついたし、歩きながら木を触ったりしていた。


 諦めて水球を揉み潰すように手を洗ってから、再び水魔法を使った。

 先ほどよりも一回りほど小さい水球を両手で捕まえて、今度こそ口を付ける。


「はぁ……、せめて水も風ほど使えたら、楽になるんですけれど。流石に高望みかしら」


 魔法の素養というのは誰にでもある物ではない。複数属性があるだけでも凄いことだと家庭教師は言っていたけれど、こうしていざ実際に使うとなると高望みしてしまう。


 暖かな日差しがポカポカと気持ちが良い。大きな扇子がひと仰ぎしたかのような突風が薬草達を揺らした。

 どこかスッとする緑の匂いを肺一杯に取り込んだリリアーナは、ドレスの裾についた泥を叩いて落とすと立ち上がる。


「お脳まで筋肉な冒険者達とやっていけるか不安でしたけれど、杞憂だったようね。これだけの薬草を持ち帰れば、きっと昇格間違い無しですわ!」


 身体は既に疲労困憊だが、気力は未だに尽きていない。


 リリアーナは疲れた身体に鞭打って、端から薬草を採取していく事にした。

 体力は無くとも魔力はある。魔力豊富な身体に産んでくれた母に感謝だわ。


 二時間ほど掛けて薬草を採取すると、子供がスッポリ中に隠れられそうな背負籠にこんもりと山が出来るほどの成果になった。


「……ちょっと……やりすぎたわね」


 果たして自分はこれを担いで街まで戻れるだろうか。

 群生地中の薬草を採取してやる、と意気込んだは良いものの、帰りのことをイマイチ考えていなかった。リリアーナ大失態。


「でも減らすのも……癪だわ」


 折角だったら大量の薬草を持ち帰り、期待の新人としてギルドに評価されたい。以前読んだ冒険譚に全く同じ流れがあったはずだ。リリアーナは自尊心が大変強かった。


「ぐッ、おも……っ、いえ、これぐらい、なんてこと無いわ……!」


 どうにか背負ったまま立てたものの、重心が安定しないのか足がフラフラと揺れてしまう。冒険譚の主人公もこんな量の薬草を背負ったのだろうか。


 いや、冒険譚よりも上を行くのよリリアーナ。わたくしは没落してもマティーム家の長女。


 超級冒険者になって、マティーム家を再興させ、爺やと婆やには楽隠居出来るだけの退職金を渡し、メイド達を呼び戻す! そしてわたくしはこの経験を著書にし、一財産築くのですわ……!!


 傾き始めた太陽が赤く色づき始めている。

 冷たくなり始めた風に正面から向かうようにリリアーナは歩き始めた。

 木の根に足を取られて転ばぬようにフラフラと、迷子にならないよう風魔法を使いながら。






 結局。


「も、門が、門が見えましたわ……」


 リリアーナが森を抜けるのに夜までかかった。げっそりと窶れた頬は薄汚れ、品の良かったドレスは端が解れている。


 門を照らす大灯の魔石に引っ張られるようにしてヨタヨタと歩くリリアーナを通り過ぎる他の冒険者達が心配そうに見ているが、それにも気付かずリリアーナは森で拾ったいい感じの木の棒を杖にしながら門に入る列に並んだ。


「じょ、嬢ちゃん……先良いぜ、ほら……」

「俺らも後で良いよ……先行きな……?」


 なんて身の程を弁えた態度であろうか。


 冒険者なんてものはお脳みそまで筋肉で出来たフィジカルモンスターの集まりだと思っていたが、貴族に対する態度がきちんとしている者もいるのだな、とリリアーナは感心しながらお言葉に甘えることにした。


 今は没落した身の上であるけれど、お家を再興したら……いや、超級になった時点で「冒険者の真実」とでも名を付けて、彼らのような紳士のことを紹介しよう。 

 自分よりも頭一つ以上大きな冒険者たちの間をヨロヨロと抜けて、リリアーナは遂に先頭にまで辿り着いた。


 太陽が隠れ星まで見える時間に外に居るのは冒険者以外には旅商人ぐらいだが、門番の横に見覚えのある顔を見つけてリリアーナは困惑した。


「リリアーナさん!!」

「はぁ、はぁ、……なんで貴女が居るのかしら?」

「そりゃあ心配してたからですよ! 夜まで帰って来ないんですもん! モンスターは間引いてますけど、何か事故にでもあったんじゃ無いかと思って……!」


 冒険者ギルドの受付嬢だ。相も変わらず馴れ馴れしいが、人畜無害を擬人化したようなその姿が父や母に重なって無碍にもしづらい。


「荷物お持ちしましょうか?」

「……いいえ、結構。それよりも、ギルドは、まだ開いている、わよね?」

「勿論です!」


 開いているのならこんな所で一冒険者に構ってて良いのだろうか。


 受付嬢の勤務形態には疑問が尽きぬが、リリアーナはギルドの運営には興味が無いので放っておくことにした。


 門を潜り抜けてから外に伸びている短い列にカテーシーを一つ。何人かの冒険者が「こ、こけっ!?」「あぶな!」と声を漏らしていたが、きっと後ろの方に居る冒険者がリリアーナを見たいがために転びそうになったのだろう。

 

 リリアーナは薬草で満帆になった背負籠を背負い直すと、街中で木の杖はちょっとね、と門横に支えにしていた木の棒を捨てて歩き始めた。

 ニコニコと気安く話しかけてくる受付嬢に時折返事をしながら、リリアーナはもう一辛抱だと鼻から息を吐き出すのであった。





 ギルドに着くと、先んじて受付嬢が扉を開けた。当然の様に受付嬢より先に中に入る。

 冒険者ギルドに併設されていた酒場は今がまさに稼ぎ時と言わんばかりに賑わっていて、時折巨体が空を舞っていたが不思議とリリアーナの方には飛んで来なかった。


 受付嬢の腕が不自然な動きでリリアーナと酒場の間に入って来たけれど、もしかしたら彼女なりのエスコートなのかもしれない。


 受付の左側、大きく横に長い机が置かれただけのスペースが、納品所だ。

 一応天井から「納品」と書かれただけの看板が吊るされているのだが、もはや木切れがぶら下がっているだけと化している。


 リリアーナは最後の力を振り絞るように荷物を下ろすと、それを納品机の上にトンッと勢いよく乗せた。


「ぜぇ、はぁ……さ、さあ! 納品してちょうだい! これだけの量、早々無いのではなくて?」

「ええ! 初めてのクエストでこんなに採集してくるなんて凄いです!」


 当然の様に机の反対に回った受付嬢がリリアーナの震える手からクエスト受注の木札を受け取る。


 ニコニコと笑みを浮かべ手早く何かしらの作業をしている受付嬢を前に、肩で息をしていたリリアーナは「当然でしょう」と胸を張った。米神を滑る汗を優雅に拭き取って、毛先に付いていた木の葉をそれとなく取って捨てる。

 

 冒険者が集まる冒険者ギルドではポーションの原料となる薬草が足りていないに違い無いし、あらゆる冒険譚から薬草採集は人気が無いとされているから、きっとその分評価もグンッと上がるに違いない。

 

 リリアーナがニンマリと緩む頬を片手で押さえながら受付嬢の作業を見守っていると、ドン! 隣の納品窓口から重い音がした。繋がった机が揺れたほどだ。

 思わずリリアーナがそちらを見やると、間仕切りなんて品の良いものは無い為それがすぐに目に入った。


「な、な……」


 そこには背負籠があった。リリアーナが背負っていて物よりも二回りは大きい。山盛りになった薬草の束がぎゅうぎゅうに詰められていて、納品机の前には筋肉を表現するためだけに石を掘ったかのような冒険者が頭を掻きながら笑っている。


「あらー、多いですね」


 ……そうよね? 多すぎるわよね? 二日? 三日はかかったんじゃないかしら。 


 受付からスライドしてきた別の受付嬢の言葉に、内心嫌な予感がしつつもこっそりと聞き耳を立てる。


「いやぁー、今日は討伐クエストが早く終わったから! ちょっと行ってちょっと取ってきたわ!」


 ゴンッ。リリアーナの額が机を打つ。


「あらーそうなんですね。でも討伐帰りだと時間がかかったのでは?」

「まあほんの二時間ちょっと、すぐよすぐ!」

「あらー、皆さんそう言って持って来てくださるから、在庫が貯まる一方なんですよー」


 ガッ。膝から力が抜けたが無様に転ぶわけにはいかない。リリアーナは根性で机に手を着いた。


「あっ、あっ、だ、大丈夫ですよリリアーナさん!」

「な、なにがよ……」

「初めてで薬草の群生地を見つけることなんて凄いことですし、それに……!」

「…………それに?」

「リリアーナさんもいずれ筋肉が付けば、何とかなります!」


 屈しない。こんなことで決して屈したりはしない。けれど今日はもう、宿に戻って寝てしまいたい。

 疲労からかショックからか、震える膝を何とか動かし、冒険者ギルドから脱出するリリアーナなのであった。


 

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