「始まりの探求」「愚者」「彷徨」
気付けば3つ目の一人作品、当初は相棒と2人で1つの作品をやる予定だったんですけどね、
詳細は僕の小説の後書きとかから分かります、
ひとまずはこの作品を最後まで読んで頂けると幸いです
第1章
前世の記憶が残っている気がする
いつも夢で見る。
茶髪で赤茶の目の誰かがモンスターと戦っている夢、
僕の髪はほぼ真っ黒だ、でも目の色は同じ。
そして僕の両親の目の色はどちらとも銀色
だ。
だから僕の目の色はおかしい。
そしてそれは僕の妹、スカーリアも同じだ。
スカーリアの目の色は綺麗な透き通った黄緑。
髪の色はほぼ真っ黒。
両親は僕らをいつも神の子だとか勇者の生まれ変わりだとか言って自慢した。
それなのに両親はいつも僕達が失敗だとかをするとその失敗に見合わないような大き過ぎる罰を与えてくる、無事に上手くいった時でも虐待、
いい加減耐えられなくなって僕達は抜け出すことにした
*
あの家を兄と抜け出してもう6年、
今でもあの頃のことを鮮明に思い出せる、
嬉しい気持ちや、辛い気持ち、
それら全てを鮮明に思い出せてしまう。
学校でのテストはいつも満点だったけど、
親は自慢だけして褒めてくれないから、いつも兄に褒めてもらい、甘えていた、そしてそれは今でも変わらない。
「お兄ちゃーん」
私は拠点にしている兄が見つけた廃れて忘れ去られた小さな学校に帰るや否や何かの研究をしている兄に抱きついた
「おかえり、スカーリア」
手を止めて私の頭をそっと撫でてくれた。
兄の手はあまり大きくないが、暖炉の炎のような心地良さがある。
兄がいじっていた球体の金属で出来るているであろう物を見てみるが何か分からない、だがどこか懐かしい気がする
何故だろうか、私はこんなの見たことがない、
それなのに走馬灯のように薄らと、そしてハッキリ過去か未来かの景色が流れる
誰かの手が見える、これは…自分だ、
そしてその手は水色っぽい透明な刃が伸びる剣を持っていた。
更にその奥には威圧感のあるモンスター、
そのモンスターが兄がいじっていた物と同じものを持っていて…………
そこで私の記憶は止まった。
私は兄に今のを話そうか悩んでしまった。
とても嫌な予感がする。
兄が私から離れてしまいそうな、
そんな感覚。
さっきのことを話す時がいずれ来る。
その時まで待っていよう
そして私はアルバイトで稼いだ千リリス銀貨を3枚兄に渡した、百リリス銅貨も5枚あるが、これは私のお小遣いだ、ずっと、貯めて、いつか兄と一緒に安定した生活を手に入れる為の。
*
妹が僕に千リリス銀貨を3枚渡してきた、
彼女は僕の為に毎日休みもなく頑張っている、
あと少しでこれの研究も終わる筈だ、
研究が完了すればきっと僕らは今よりも安定した、裕福な暮らしが出来ると思う。
あと少し、あと1年くらい頑張ればきっと妹と一緒に平和な暮らしが出来る。
しかし翌朝、僕が頑張って進め続けた研究のデータや、実験に使ったアイテム、それら全てを王都の研究者達に奪われてしまった、
僕は今までの努力を忘れることにした。
忘れてこのまま妹と仲良く暮らそう、
僕は諦めることにした。
*
今日は目覚めると兄が珍しく私の為に朝ごはんを作ってくれていた、パンの上に目玉焼きを乗せただけのシンプルな物だった、なぜか懐かしく感じた、昨日のように記憶が溢れる。
昨日のと同じような視点、
でも昨日より少し背が低い気がする。
刃がボロボロになって斬るのでは無く殴るようにモンスターを倒す私、短剣を持って歩く、そして突然足元が青白く光って……そこで記憶が一瞬止まった。
そして再び動き出すとそこは茶色が多い常に秋のような風景の町だった。
ここは確か、勇者が生まれた町、ムリン、遠い昔に滅んでしまったので私は行ったことがない、だとすればこれは一体いつの、誰の記憶なのだろう…
気付けば記憶の溢れは収まり兄が私のことを心配そうに見つめてきていた。
「スカーリア?どうかした?」
「なんでもないよ、心配しないで、エイダート」
私は無意識の内に兄を名前で呼んでしまった。
初めて呼ぶ筈なのに何故か何度も呼んだような気がした、でも私は気にせずに兄が作ってくれた朝ごはんを食べた
兄が研究をしに行かない、
目玉焼きとパンを食べる私を幸せそうにただ見続けている。
それだけで私はすぐに分かった、
遂に兄も私も恐れていた事が起きてしまった、
研究するべきものが奪われれば研究なんて出来ない、
研究しないならここに居る必要はない。
私は朝ごはんを食べ終え手を合わせてすぐ、
口を開いた
「お兄ちゃん、旅に行こう」
兄は驚いた様子だった、
しかしすぐに頷いた。
「そうだね、行こう、ここに留まる理由はもう無い。」
*
僕は妹に職員室のような部屋に立てかけてあった短剣を渡した、
そして僕は同じく片手向け長剣を腰に掛けた
妹の方を見ると短剣をどこで手に入れたか分からないバックラーの裏に装着していた、
そして腰にも1本の短剣があった。
僕はいつの日かの記憶が刺激された気がした
荷物を纏めていると妹が1万リリス金貨を5枚渡してきた、一体どこでこんな量を…
そう思ったが多分頑張って貯めていたのだろう、感謝しながら受け取ると妹が両手で1本の長剣を差し出してきた、僕が持っているのと同じくらい、もしくはもっと質がいい物だ、どうやら妹はこうなるのが分かっていたらしい、
2本とも腰に装着すると邪魔なので妹に貰った方は背中に装着することにした、
鎧のひとつもないが一応冒険者らしい格好になった、
鏡で自分の姿を嬉しそうにみているスカーリア、
なんだか嬉しそうだ、
そんなに旅に行きたかったのだろうか、
僕もスカーリアの横に立って鏡を見てみる。
なんだかかっこいい、スカーリアが嬉しがるのにも納得出来てしまった。
度の途中できっと必要になるといってスカーリアはフード付きのマントまで着ている、何か犯罪でも犯すつもりなのだろうか、不安だ
僕らは小さな廃校から出て感謝の気持ちと共に一礼してから旅に出た。
旅に出たとは言ってもまだ町からすら出ていない、そして何を目的にするかすら決まってない。
それについて妹に指摘しようとした時、
「お兄ちゃん、私ね、勇者と私たちの前世について調べたいの」
そう言った、
これはかなり長い旅になる予感がする。
「そうか…そうだな、そうしよう」
当然合意する、多分嫌だと言っても妹は諦めなかったと思うから
僕らは最後の準備として雑貨屋に向かった。
地図もコンパスも無しに旅なんてできない、
危うくぼったくられるところだったが、通常よりもかなり安い値段で地図とコンパスを買うことが出来た。
後から知ったのだがギルドに行けば無料で質のいいコンパスが貰えたらしい…
今更ながら、どうして妹は勇者や前世について知りたがっているのだろうか、
いつか僕らの前世は勇者だ。だとか言い出しそうで将来が不安だが、今は行くしかない、
謎が多い勇者についても知りたいし
*
ついに冒険が始まった。
私は嬉しくてスキップしながら街からそう離れていない草原の未舗装の道を歩いていた。
兄は既に疲れた様子でぐったりと歩いている
「お兄ちゃん、もう疲れたの?」
「い、いや、まだ、大丈夫…」
明らかに疲れた様子でそう言った。
お兄ちゃんはいっつも拠点で動かず研究ばっかりしていたから多分体力がないんだろう、
私は毎日アルバイトが忙しかったから体力には自信がかなりある。
多分隣町まではかなり時間がかかると思う。
兄がもう音を上げそうになっているからだ。
私達が今向かっている町は昔は勇者が生まれたムリンという場所だったとされるリムという町だ、噂では名物が食パンしかないとかどうか、
その食パンは王都にも出回るほど美味しいらしい、私は食べたことがない、と思う
「す、スカーリア、そろそろ休まないか?」
「お兄ちゃん、まだ1時間も歩いてないよ」
嘘だろ…?と言わんばかりに目を見開く兄、
彼は恐ろしく体力がない。今分かった
この旅はモンスターに遭遇したら終わりかもしれない、正直兄が戦闘で活躍出来るとは全く思わないから、
そしてそんな事を考えつつ街からかなり離れた頃、数十体はいるであろうゴブリンの群れが現れた。
逃げるべきな気しかしない、ただ兄はもう足が麻痺して動けなくなっている
「お兄ちゃん!戦うよ!」
私はバックラーの裏から短剣を抜いて長剣をイメージしながら魔力を込めた。
すると短剣から透明な水色の魔力の剣が伸びた
長剣になった短剣をゴブリン達に向けた。
「キシャァァァァァ!」
群れの前方にいたゴブリン10匹程度が襲いかかって来た
短剣をスパッと横に一閃させた
ゴブリン達は身体の魔石を砕かれ塵になった
これで10体…残りは20体、行けるッ!
逃げるか戦うかで葛藤するような様子のゴブリン達を軽く斬った
魔石はお金になることを思い出し、魔石ではなく首を斬ったため塵にはならなかった。
どうやらこの死体から魔石を抽出するらしい、
兄に任せよう______
月光と焚き火の光に照らされながら私はカップの中のスープを啜っていた
「あぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
余り遠くない場所から時々叫び声が聞こえるのは兄がゴブリンの体内の魔石を抽出しようとしているからだ、兄も私もグロイのは苦手では無いはずがいざ触るとなるとやはり無理なようだ
兄が手とその手に持ったナイフを血まみれにしながら戻ってきた
「スカーリア、僕にあんなこともうさせないでくれよ…」
「無理、多分これからも金策でやると思うから」
兄が弱音を吐くが残酷にもこれからもやると思うのでそう返した
兄は涙目になりつつ近くにあった綺麗な小川へ手を洗いに行った。
ボーッと焚き火を見つめていると一瞬世界が真っ暗になったと思えば焚き火の火が消えて空から太陽の心地いい光が差してきた
どうやら寝てしまっていたようだ
「おはよ、スカーリア」
向かい側に座っていた兄が立ち上がって近付いて来た、そして私にスープが入ったカップを差し出してきた。
それを受け取りながらふと気付いてしまった
兄の服が湿ったように色が変わっている、
そして私の服も____
「お、おおおおお兄ちゃん私が寝てる間に服脱がしたでしょ!!!!!」
兄がビクリと震えた
「い、いや、えと…す、スカーリアの服も血で汚れてたから洗っただけで………」
*
「うー……ありがと…」
スカーリアが頬を赤らめながら感謝の言葉を小声で言ってくる、なんやかんや彼女は礼儀が凄く正しい。
「それじゃあ、僕は少し仮眠をとるね」
水を飲もうとしていた妹にそう伝えて地面に寝っ転がった、スカーリアは一瞬困惑したようだが、すぐに小さく頷いて近くにあった切り株に座って水を飲んだ
そんな妹の様子を見て安心しつつ僕は浅い眠りについた
少し体を揺らされた、そんな気がして僕は目を開けて体を起こした。
そして見えた世界は薄暗い、地下としか思えないようなジメジメ感のある牢屋の中だった。
スカーリアはどこだ…?
周りを見ても暗くてよく見えない、遠くにある光源に向かって歩こうとして腕と足に力がかかって何かがガシャンと音をだした
どうやら鎖で拘束されているようだ、一体どうしようか…
なんとかならないかと鎖を押したり引いたり、合計4本の鎖同士をぶつからせてみたりするが鎖同士に軽く傷が付く程度でビクともしない。
やばいどうしよう本当にどうしようもない
誰か来るといいなぁ……
僕は諦めた。そう、諦めた
だってもうどうしようもないんだもん
*
いつの間にかうたた寝していたらしい、
なんか手首と足首に繋がってる、どうやら地下室らしき場所に誘拐されたようだ、
武器は全て何者かに取り上げられたらしい、
いくら地下といえど多少の魔力はある、
風魔法で刃を作り出す魔法、ラミナドヴェントで足首に繋がった鎖を、その次に手首に繋がった鎖を切断した
兄は、エイダートは大丈夫だろうか、
心配になりつつ私は地下室から出ようとした、
意外にもトラップは無く、牢獄のような空間からは脱出出来た、牢獄のような空間から出た先には廊下のように四角く掘られたような空間が広がっていた
壁には今にも消えそうな弱い火が灯ったランタン、いや、あれは炎の精霊だろうか、随分と弱っているようだ、更にいえば1度死んでしまったような…
*
なんか力を感じた
僕が得意だが1度も使ったことがない炎魔法に込める時の魔力に似た感覚を感じた
だけどそれは凄く弱い、多分いつも炎属性の魔力を感じている
もしかしたら呼び掛けたら答えてくれるのでは無いだろうか
誰か居るのか!
届いただろうか、多分すぐに分かる
少し待っていると炎の精霊の声が聞こえた
『助けて』
『痛いよ、痛いよ…』
『出してくれェェ!!!』
そんな助けを求める声が沢山聞こえてきた
なんか1つおじさんみたいな声が聞こえたが多分そういう個性なんだと思う、多分珍しいやつ
ひとまず応じたが…
どこかに閉じ込められている様子だ、
助けに来る様子はない、
いやちょっとまて僕魔法使えるじゃん
「イグニート」
魔法で両手両足に繋げられた鎖をトロトロに溶かした、正直凄く熱い、手と足が凄くヒリヒリする、火傷してしまった、いてぇぇぇ!!と叫びたくなるのは我慢してこの牢獄っぽいところから出た
そして少し歩いたところに黒髪に黄緑色の目の少女がいた、どうやら妹は無事だったようだ
そしてふと気付いた
廊下のようなこの空間の壁に弱い炎が灯ったランタンがあった、いや、あれは炎の精霊…
僕の呼び掛けに反応した精霊達に違いない
「あ、お兄ちゃん!大丈夫だった?」
「大丈夫だよ、そっちも…大丈夫そうだね、
まずはここからの脱出だけどその前に…」
近くにあったランタンの戸を開けた、
勢いよく飛び出した精霊は僕に近付いてふわっと溶け込むように消えた、これが契約的なあれか、どうやら僕は懐かれたらしい。
他の全てのランタンの戸を開けた頃には廊下のような空間は真っ暗になっていた
すると早速数匹の炎の精霊が姿を現して周りを明るく照らしてくれた
「お兄ちゃんって精霊に懐かれやすいんだね、
これなら脱出も捗るね!」
「そうだね、行こう」
僕らは歩きだした、
この謎の空間から脱出する為に___
*
なんか脱出出来た、
なにがあったのか簡単に説明すると……
廊下の奥に階段発見。
登ったら目の前に普通に昼寝してた所があった
そして僕らの武器もそこに落ちていた
以上。
なんということでしょう、
恐ろしく短い
こんな短い脱出劇があってたまるか
そして僕らは今、
何事もなくリムにいる、脱出した後すぐに歩き、
リムに辿り着いた、僕らが野宿した場所は案外リムに近かったらしい。
それなら歩けばよかった…と後悔したが炎の精霊が仲間になったので結果オーライということにしておく、
妹いわく、炎の精霊は他の属性精霊と比べるとかなり懐きづらいのだとか、僕はやっぱり火に好かれている、昔、焚き火に近付いた時、火の勢いが急に強くなって火傷したことだってある、関係ないかもしれないけど
ひとまず、僕らはリムの街で宿を探している
この街がかなり腹立たしく、路地裏に1度入れば絶対に出れないかもしれないくらいに入り組んでいるのだ、着いた時は明るかったのにいつの間にか暗くなっている、どういうことだろう
迷子になりながらなんとか見つけたのはどこか見覚えのある宿、もうどうしようもないので妹にも承諾を得てその宿に入ると___
「らっしゃっせぇい!!!!!!!!!!」
耳が壊れるかと思うくらいの轟音が響いた、
殺す気か?
キーンと鬱陶しい耳鳴りは意外にもすぐ去ったが妹がバタンと倒れた、そんなに??
すぐに部屋を借りて(妹を気絶させたお詫びで無料にしてくれた)部屋に入り妹を布団に寝かせてあげた、まだ風呂に入ってないが…
多分大丈夫、うん、朝入ればいい。
*
その宿は見覚えしかなかった、
また記憶が蘇ってきた、似た街、違うのは見えるのが空が夜の空ではなく深い緑の葉が生い茂っていたことくらいだと思う、
そしてその宿に入っていくと……
記憶も現実も同じように爆音を轟かせた、
そして私の記憶はそこでプツッと途切れた…
世界が明るくなると宿の布団の中にいた、
兄が運んでくれたのだろう、
後でお礼を言わなくては、
そう思いながら布団から出てふと気付いた、
まだお風呂に入っていない、
寝る前は絶対にお風呂に入ると決めていたのに…
この宿は確か夜にしかお風呂が使えない、仕方ない、夜までは我慢だ、
兄はまだ寝息を立てて気持ちよさそうに寝ている、一体どうしようか…部屋の外で暇を潰したいが…多分扉を開けた瞬間兄が起きてしまう、
どうしようか…と悩んでいると兄が目覚めた、
「ご、ごめん、起こしちゃった?」
「うぅ…おはよう、スカーリア」
どうやらただ普通に起きたらしい
安心した。ここにいても暇だ、軽く散策に行こう
「私は外で暇を潰してくるね〜」
そう言って部屋をササーっと出た、
多分兄は2度寝したと思う、
だがどうしようか、宿から出たは良いが道が分からない、澄んだ蒼空を見て私は適当に歩きだした、適当に歩けばきっとどこかいい店に辿り着ける、と思う、
迷子になることなく武器屋についた。
この武器屋には何があるのだろう、気になって店の中に入って行ってしまった、
店はごく一般的な武器屋といった感じで、大剣や槍、盾などがごちゃごちゃと並んでいた、
かなり普通の武器しかない、
武器の手入れを…と思ったが魔力の剣しか使ってないので手入れの必要が無かった。
来た意味がない……
私は扉の方に引き返した、
でも、
何も買わずに出るのもちょっとなぁ…
申し訳ないので何かを買おうと思って店の奥の方に向かって______
何も買わずに店を出た。
結局良さげなものは何も無かった。
そして武器屋の隣に立っている服屋にも入ってみた、そしてすぐに出た。
私が絶対に着たくない類いの服が大量に並んでいるのが見えたからだ、
そろそろ兄も起きる頃合いだろう、
私は宿に戻った。
部屋では兄が眠そうに欠伸をしながら布団の上に座っていた。
丁度起きたらしい、私は天才かもしれない
兄を引っ張って1階の食堂で朝食を食べに行った。
*
妹がなんか言ってどっかいった気がする、
寝よう。
起きてボーッとしていたら扉が開いて妹が戻ってきた、んでなんか気付いたら食堂にいた。
なんでだろ、とりあえず目の前のご飯を食べた。
味がよく分からなかったが美味しかったということにしておこう、
朝ごはんのメニュー、結局なんだったっけ…
食後、妹はこの街の散策に出かけた、
マッピングしに行くとか言っていた、
僕はというと……
「あぁもう分かんねぇ!!!」
旅の道中で拾った道具の研究をしていた、
多分魔道具の類いなのだが…
この筒のような形の魔道具にはボタンがあって、それを押すと何かが起こる物だと思うのだが…
そしてもう1つ、この筒のような道具と同じようなクリスタルらしきものが先端に張られたクルクル回るL字型の棒が付いた太い筒、こちらも多分棒を回せば何かが起きるのだが…
さっぱりわからない。
諦めて寝よう…
気付いたら夜だった、
そして僕は今妹にゴミを見る目を向けられている、更に言えば正座までさせられている。
「お兄ちゃん…?
どーしてこんな時間に起きたのかな…?」
笑顔で僕に質問をしてくる、怖いです本当に
「えっとですね…あの魔道具の使い方がさっぱり分からず…そのままふて寝をしてしまいまして……」
「そっか…なら仕方ないよね…」
許してくれそうだ
「それじゃ、お兄ちゃんは今日寝る必要無いだろうから寝ないでその魔道具の研究してね!」
嘘だろ?
「は、はひぃ…」
思わずそんな声が漏れた。
ま、まぁ?なんとかなるはず、うん、多分なんとかなる、朝までに使い方が分からなかったら多分僕は1日ご飯抜きになってしまうだろう……
そして夜ご飯を妹とたべて部屋で僕は小さな灯りだけを頼りに研究を進めていた___
朝だひゃっほい!!!!
あの魔道具は恐ろしく便利だ、
小さい方は中に入っている更に小さな筒状の魔力が込められた物体、魔蓄機とでも呼ぼう__その魔蓄機の力でいちいち魔力を込めずとも後ろ側のボタンを押すだけで先端から光がピカァ!と溢れるのだ、そして大きい方の魔道具、これも小さいのと同じ効果なのだが、グルグル回る棒を回すだけで魔力が生み出され先端からピカァ!と光が溢れるのだ。
そして中々起きない妹に腹いせで思いっきり顔に光を照らしてやった。
どうやら僕は朝食無しらしい。
そして妹が朝食を済ませて部屋に戻ってきた。
今日はダンジョンに行くらしい、
僕はダンジョンに行きたくないが…
あの光を生み出す魔道具があるのだ、きっと行っても問題ないだろう、
そうして僕らは街の中心にあるダンジョンに向かった、
噂ではここには大昔、大きな木が生えていたらしい、そしてその下にこのダンジョンがあるらしい。
「なぁスカーリア、これ凄くないか?」
「うん、すっごく便利だね」
徹夜で無事に研究を終わらせたこの魔道具、(名前は魔光具になった)これを妹は小さいやつ、僕はでっかいグルグルする方を持ってダンジョンを探索している、
上層の方は宝箱も魔石もあまりレアでは無いので中層、3階の辺りまでわざわざ降りて来た、
そしてここは恐ろしく暗い、しかしここでも魔光具があればなんの問題もない、素晴らしいッ!
モンスターが来た時地面に置いてると間違えて踏んだ時が怖い、帰ったらいつでも腰ら辺に掛けておける道具を作ろう…
そう思っていると早速モンスターがやって来た、
僕は腰の長剣を抜いて中型のゴーレムモンスターと対峙した、このゴーレムは外殻が恐ろしく硬いが1度破れば再生することが絶対にないのでゴリ押しでなんとかなる、
僕目掛けて叩きつけてきた拳の節を剣で叩き斬る、そして露出した柔らかい内側に突きを入れてそのまま首を跳ね飛ばした、そこから潤滑油が勢いよく血のように溢れたが、それが収まったら恐る恐るゴーレムの魔石を抽出した、
ちなみに妹はというと近くの宝箱に掛かっていた鍵を開けるのに苦戦している
そして僕はそれの護衛、なのだが………
以外にもモンスターが来ない、僕らは嫌われているのだろうか、気配はあるのだが中々襲ってこないのだ、ゴーレムの気配もあるが襲ってこない、普通相手の強さを感じ取れないゴーレムは問答無用で襲ってくるのだが、何故か今はゴーレムすら襲ってきてくれない、そう、暇だ。さて、モンスターがこないのであれば...
僕は地面に寝っ転がった。
「お兄ちゃん!!??」
妹が困惑した様子で僕を見てくる、それもそうだろう。なんせ薄暗くて色々危険なダンジョンの中なのだから、
そういえば、ある程度の強さを得た者は「ステータス」というスキルを習得出来るらしい、
僕はそれをまだ使えないので僕は強くないらしい、どうやったらステータスを得られるのだろうか、というか、強いの基準が分からない。
多分どこかの書物に研究結果的なのがある筈だ、ダンジョンから出たら図書館に行ってみよう。
そんなことを考えていると3匹の長剣や松明を持ったゴブリンが歩いてきた、やっと戦闘が出来そうだ…と思ったがゴブリン達は僕を見ると持っている物を落として転びそうになりながら走って逃げていってしまった。
どうやら僕はモンスターに嫌われているのかも知れない。
モンスターに嫌われるのもなんだか悲しい。
戦闘したいです。本当に…
「スカーリア~、開きそう?」
「あ、あと少し…あっ」
なんか不穏な声が聞こえた
「だ、大丈夫?」
多分大丈夫じゃないと思う
「ギリセーフ!!ギリセーフ!!あ、開いたよ」
大丈夫だったらしい、良かった…
「流石…かな?中身はなんだった?」
「えっと…大っきい魔石と…変なのと…変なの」
「変なのってどんなの…?」
立ち上がってスカーリアと並んで宝箱を覗き込む…
本当に変なのと変なのしかなかった。
確実にこの大きな魔石はかなりの金額になると思う、でも他の変なのに関しては何なのだろうか、
嫌な予感がした。なんというかその…また徹夜させられそうな……
妹がかなりぐったりとしているので仕方なくダンジョンから出た
もう二度とやりたくないとかどうか、次からは僕がピッキング担当らしい
嫌だなぁ………
無事に宿に辿り着いた、疲れた、何もしてない筈なのに
自室に入るとスカーリアが倒れるように畳に寝っ転がった。
おかしいなぁ、そんなに頑張ったっけ。
いや、スカーリアはピッキングにかなり集中していた、これくらいで当然なのだろう
「お疲れ、スカーリア」
「ねぇお兄ちゃん、お兄ちゃんって今日何かした?」
あ…
言われてみれば何もしてないかもしれない
「な、何もしてないです」
妹がゴミを見る目で僕を見てきた。
死んでもいいだろうか
妹に徹夜を命じられてしまった
飯が抜きじゃなかったのが幸いだった
そして僕は徹夜で変なの2つの研究をした。
分かったことは………
*
「何にも分かりませんでした。
お願いしますご飯抜きだけは勘弁を…」
兄が土下座という遠い国から伝わった便利な姿勢になっている
きっと頑張ったのだろう、”特別に”許そう。
「仕方ないなぁ…ご飯抜きにはしないであげるよ」
「スカーリアさん絶対ご飯抜き以外でなんか罰しようとしてるでしょ!」
私は目を逸らした。
何かしら罰するつもりだったが、
こう言われてしまっては何も出来ない…かな
「ところでスカーリアさんスカーリアさん、
朝ご飯は食べないのですか?」
忘れていた。早く食堂に行こう
「そうね、お腹も空いてきたし、早く食べに行こっか」
兄と一緒に部屋を出た、兄は足が痺れて歩くのが遅かったから先に食堂に行って朝ご飯を作って貰うことにしたのだが………
「なぁなぁ嬢ちゃん、良かったら俺と一緒に飯食わねぇか?」
変なのに絡まれてしまった
「ルミナス・ヴェント」
「そこをどいてください」
風魔法を手の平で滞空させて脅すようにそう言った
しかし魔法について一切詳しくなさそうな屈強な変人は見えにくい風魔法を頑張って見ようと顔を近付けて____
「いっだい顔がァっ」
顔に綺麗な縦向きの傷が出来た。
多分この傷は一生跡として残るだろう…
怯えて変人は逃げていった、
無事に食堂で待ち構えていた爆音店主に朝食の注文を済ませて席に着いた、そして丁度兄が歩いて来た、いくらなんでも遅過ぎる気がするがまぁいいだろう、
「足の痺れってこんなに辛いんだね…」
疲れた様子で私の隣に座った
本当に疲弊してるようだ、
そして丁度爆音店主が料理を持ってきた
相変わらずシンプルな目玉焼きとベーコンだけだった、少し物足りない気がしなくもないがこのくらいが丁度有難い、あまり多いとダンジョンで動けなくなってしまう、途中でお腹が空いても干し肉を食べればきっとどうにかなる…
そんなことを考えていると兄が私の肩を叩いてポケットから何かを取り出して見せてきた、
宝箱に入っていた変なやつの1つだ
もしかしなくとも研究が終わったのでは…?
「研究が終わりません…」
「えっと…どれくらい進んでるの…?」
「えっと…このボタンを押すと赤色のなんかが出てくる、までは分かってて、もう1つは全く…」
「なるほど、ちょっと貸して」
兄が頷く前に奪ってボタンを押してみる、
すると兄が言った通りに向けた先に赤い点、そしてその間に赤い線が生まれた、弓に付ければかなり精度が上がりそうだ
どうやらこれも魔力で使えるらしいらしい、
それに使う魔力はそこまで多くないので魔力が少ない人でも十分使えそうだ
そして大きさからしてこれ以外なさそうだが…
「他になんか機能がある気がするんだよね」
だそうだ、多分ない、
「お兄ちゃん、多分ないよ、絶対、ない」
私がそう断言すると兄は絶句してしまった
余程ショックだったようだ、
「で、でも、側面にボタンが…」
「え?…ほんとだ」
側面にあるボタンを押そうとしたが固くてビクともしない、壊れる可能性なんて考えずに力ずくでボタンを押した。
すると赤い光が緑色に変わった、
かなり見やすいがこれは敵に簡単に気付かれてしまいそうだ、
とりあえず側面のボタンをもう一度押した
するとまた赤色に戻り、やや見えにくくなった
ちょっと楽しい
「強引だけど無事に研究は終わったね」
そういって私の頭を撫でてくれた、旅立ってからまだ1週間も経ってないと考えると案外まだ冒険してないなとか思ってしまう
いつになったら次の街に行くんだろうか
「スカーリア、所持金はどれくらい?」
あれから1リリスも使っていない、それにダンジョンでいくらか稼いである
結構な金額あったはずだ
「確か…10万リリスよりも多かった…かな?」
「それじゃあ僕の所持金と合わせて15万リリス、そろそろ次の街に行くかい?」
確かにそろそろ次の街に行きたい、
行こう、
「そうだね、次の街も気になるし、行こっか」
兄も頷く、
私達は部屋に戻って荷物をまとめ、
爆音店主にお礼を言って店を出た
「あざしたぁぁぁぁぁあ!!!」
爆音が轟くと少しして近くの住人が宿に押し掛けてきたが私達は気にせずに街を出た
旅の再開だ
新たな出会い、新たな記憶を求めて
私達は心地良い朝日に照らされながら歩きだした
第二章
リスターまでの遠すぎる道のり
街を出てから数日、リスターまではそう遠くないが今回はゆっくり歩いているためかなり時間がかかっている、
だがそんなタイムロスのおかげで新たな出会いもあった、
銀髪の女性、名前はノアと言うらしい、
彼女に出会った時に妹がなぜか驚いたような様子でいたが気にしないでおこう
そしてもうひとつの出会い、これは発見と言うべきだが、
なんと洞窟型のダンジョンが山にあったのだ
そしてノアさん含む僕ら3人はそのダンジョンの攻略に入ったのだが…
暗いし怖い、地図に載ってなかったから新しいダンジョンなと思ったら中にはまだ白骨化していない死体や焚き火があったであろう空間の壁に寄りかかり胸の辺りにナイフが刺さったまま白骨となった死体まであった
僕とスカーリアはそういうのを見る度に叫び声を上げ、ノアさんは平然としていた、
骨と同じくらいノアさん怖いです、
意外にもモンスターはいない、
もしかしたら魔光具がなかったらスカーリアも僕もここまで来てないかもしれない
「きゃぁぁぁぁぁ!?!?!?」
「ちょっスカーリアどうした?!」
急に叫ばないでほしい、心臓に悪い
「お兄ちゃん、今叫んだの私じゃないよ」
え?どういうことだ?
もしかして……
魔光具をノアさんの方に向けるとノアさんが怯えるようにうずくまっていた
あらかわいい。
「だ、大丈夫で…ぎゃぁぁぁぁ!!!」
ノアさんに声を掛けようととした時、少し大きめな空間の奥にぐちゃぐちゃな死体の山があった、震えが止まらない手で妹の視界を遮った。
妹は守った、なんとか守った。
「お、お兄ちゃん、隙間から少し見えるよ」
どうやら僕は妹を守れなかったらしい
というか妹がこのグロさでも大丈夫というのが意外過ぎる、流石我が妹
そして無事にダンジョン探索が終わった頃、
僕とノアさんは足の震えが止まる気配が無かった、
地上は既に日が暮れていたので大急ぎで野営地の用意をする、リムで買った質のいいテントは想定よりも大きく、3人が寝っ転がっても広めにスペースが残る程だ、更にそこに荷物を置いてもまだ広い、この広さで馬車の車両くらいの大きさまで小さく出来るのだ、正直すごいと思う
野営地が出来たら水筒の僅かな水を3人でシェアしつつ少し飲み、なんとも言えない干し肉を無言で食べた、その時スカーリアが茶色い球を食べていたが気にしないでおこう、きっとお土産かなんかだ、
何事もなく僕らはテントの中で眠る、
スカーリアが真ん中で僕とノアさんはスカーリアにやや抱き着くように眠った、
安心感のあるいつものスカーリアの気配のおかげかグロい悪夢を見ることは無かった
そして朝が訪れた、
スカーリアはまだ心地よさそうに寝ている、
ノアさんはどうやら起きてテントを出たようだ
とりあえずテントを出て日を浴びつつ散歩でもしよう、そう思ってテントを出て、
朝日とは逆の方向に歩いた、
振り向けばかなり小さくテントが見えるくらいまで歩いた、前方になにやら川があるようだ、
どのくらい綺麗なのか確認しようと足早に近付こうとした時、どこからかノアさんが歩いて来た
「エイダートさん、お久しぶりですね、
まさかこんな形で会えるとは思いませんでした」
何を言っているんだろうか
「ノアさん、なんの事ですか?」
「あぁ、あの頃の記憶が残っているのはエイリリアさんだけでしたか、まだ完全には戻ってなさそうですが」
本当に何を言っているんだろう
「エイダートさん、私はずっと待っていますよ
歴史が繰り返させるとき、そのの時は必ず、必ず私を殺してください、
闇が存在し続ける歴史を、必ず消し去ってくださいね」
何故だろうか、こんなにも胸の奥がズキズキと痛むのは、ノアさんは僕の目を真っ直ぐ見つめて、微笑んだ
覚えてる、僕はこの人に会ったことがあるんだ
「ノア…さん……」
「エイダートさん、約束です」
ノアさんがフワッと姿を消した
しかしまた声が聞こえる
「エイダートさん、また、会いましょう
その時は、きっと私たちは戦うことになる
それでも、私を忘れないでくださいね」
背後の方からそう声が聞こえた
「ノアさんッ!!!」
遠くに見える山々の隙間から朝日がチラついてノアさんの顔はよく見えなかった。
でも確かなことは、ノアさんは涙を流しながら微笑んでいた事だろう
そして太陽はあっという間もなく完全に姿を現した、そしてどこを探してもノアさんの姿は見えなかった
*
僕には前世の記憶が残っている
それは、仲間と共に厄災を滅ぼす勇者の記憶
それは、仲間が真なる厄災と知りながらも目を背け続けた愚者の記憶
僕は、ノアさんを殺したくない
しかし旅を続けるならいずれ戦わざるを得ない
その時は、前世と同じように封印では今度こそ世界は滅ぶ、
僕はノアさんを殺さなくてはならない
きっと最後は………………
僕は、勇者の、愚者の生まれ変わりだ
第3章
不老と変態、そしてミス
「なぁスカー、本当に道あってるのか?」
「あってる筈だよお兄ちゃん、この地図、少し汚れてるけど流石に道を間違える程じゃないし」
不安過ぎる、地図をそっと覗くと、僕が記憶している地図ではここの道を右に行かなければならない筈なのだが…地図を見ながら歩く妹は左に曲がった
「スカー、ここ右じゃない?」
「違うよ、地図では左に曲がると着くって描いてあるよ」
面白そうだから従っておこう、
なんか伝説の剣とかあったら良いなぁ
更にしばらく歩いていると深い森の中に入った、地図をどう見てもこんなにも濃密は森はこの大陸の遥か西にしかない筈…
もしやこれは彷徨の森かもしれない
彷徨の森というのは地図にも載っておらず、全貌も把握されてない、そして更に恐ろしいのが常に移動をしていて、彷徨の森を意図的に探すのは難しく、1度迷い込んでしまうと脱出出来ても元居た土地に戻れないということだ、
そしてその森に迷い込んだ可能性があるということは…?
「なぁスカー、ここって彷徨の森じゃないのか?」
「そんな訳ないじゃん…でも地図に森が書いてないな………」
「スカー、引き返さないか?
今ならもしかしたら間に合うかもしれない」
こういう時に限って妹は頭の悪いことを言う
例えばこう…
「めんどくさいからこのまま道のりにごー!」
やっぱりだ。
カサカサと落ち葉を踏む音が濃霧の中に響く、
木々がざわめく、人の侵入を拒むように突如倒れる木、少し霧が強くなっただろうか、いつの間にか足元が見えない、スカーとはぐれない為にスカーの手をつかもうとした、しかし僕の手が掴んだのは濃霧だけで妹の白くて小さな手は何処にもない、彷徨の森の特性の1つ、森の中でのランダムワープだ、つまりスカーと僕のどっちかが森のどこかに強制移動させられてしまったという訳だ
まずはスカーと合流しなくてはならない、
ただどう合流すればいいのだろうか
そうだ、炎精霊を使えばもしかしたらスカーと僕の魂の共鳴を感じ取ってくれるかもしれない
「いるかい?炎の精霊さん」
「いるぜェ⤴︎︎︎」
珍しい個体が反応してくれた
「僕と魂が共鳴している人間を探してくれないかな」
「そいつァもしかして女か?」
「そ、そうだよ」
嫌な予感
「ヒャッハー!!!!!」
風の精霊と見間違える程の速度で霧の中へ消えていった
妹のことは炎精霊に任せて僕は僕に出来ることをしよう、
そう思って辺りの探索をしようと思った瞬間、足に伝わるずっひりとした感覚が消えた、
どうやら彷徨の森には崖らしき物があるらしい
そう意識した頃には既に体は宙を舞い、
更に少し後には既に僕は再び地面の感覚を全身で味わった
最後まで読んで頂きありがとうございます、
もしかしたら先に後書きを読んでいる人もいるかもしれないが…
今作は僕と相棒で書いている作品の数百年後~という設定となってます、ネタバレしそうで怖いのでこれ以上はやめておきます、
最後まで読んでくださった読者の皆様に炎と風の加護を!